環境に対する基本的な考え方(環境基本方針、気候変動に対する当社の基本的な考え方)
東京海上グループは、地球環境保護・環境価値創出がすべての人間、すべての企業にとって未来世代に対する重要な責務であるとの認識にたち、企業活動のあらゆる分野で、安心・安全でサステナブルな社会の実現に向けて取り組みます。
事業活動を通じた地球環境の保護・環境価値の創出
事業活動において、気候変動対策を、クリーンエネルギーの普及促進、自然災害への対応等、気候変動の緩和・適応の両面から進め、自然資本・生物多様性の保全への取組みとあわせて、地球環境の保護・環境価値の創出を推進してまいります。
1. 気候変動の対策
グローバルな課題であるとともに、保険業界に直接的な影響があるため、本業である保険ビジネスはもとより、機関投資家、そしてグローバルカンパニーとして真正面から取り組むべき最重要課題として位置付けています。国際機関や政府、産業界、学術機関、市民社会等さまざまな機関・業界の皆様との建設的な対話や協働をふまえ、気候変動対策に主体的に取り組むことで、脱炭素社会への移行推進に貢献していきます。
2. 再生エネルギー等のクリーンエネルギーの普及促進
気候変動の緩和の側面から、再生可能エネルギーの分野における商品・サービスの提供等を通じて、クリーンエネルギーの普及を促進し、脱炭素社会への移行に貢献していきます。
3. 自然災害への対応
気候変動の適応の側面から、当社の長い歴史の中で蓄積した自然災害や防災・減災に関する知見を商品・サービスの開発や提供につなげ、事前・事後の安心・安全の提供を通じて、自然災害に負けない社会づくりに貢献していきます。
4. 自然資本・生物多様性の保全
地球環境を守るためには、気候変動対策に加え、自然資本・生物多様性の損失を止め、回復させる「ネイチャーポシティブ」の実現が不可欠です。当社は自然関連課題の解決につながる商品・サービスの開発・提供を通じて、自然共生社会づくりに貢献していきます。
自社およびバリューチェーンにおける地球環境の保護と環境価値の創出
東京海上グループは、自社およびバリューチェーンにおいて、環境関連法令等および当社の同意した環境に関する各種協定を遵守しながら、環境負荷の低減と環境価値の創出に向けた取組みを進めてまいります。
1. 環境負荷の低減
資源・エネルギーの消費や廃棄物の排出による環境への負荷を認識し、脱炭素・低炭素(温室効果ガス削減を含む)、資源循環、省資源・廃棄物削減、省エネルギー、グリーン購入、自然共生等をバリューチェーン全体の視点で推進し、環境負荷の低減に努めます。
2. 持続的環境改善と汚染の予防・軽減
目的・目標を設定し、取組み結果を検証することにより持続的に環境を改善し、環境マネジメントシステムを継続的に運用・改善することを通じて、環境汚染の予防・軽減に取り組みます。
3. 環境啓発活動および企業市民活動の推進
社内外に対して、環境保全に関する情報の提供、コンサルティング、啓発・教育活動を推進するとともに、良き企業市民として地域・社会貢献活動を推進し、環境保護の促進に努めます。
ガバナンス・管理体制
環境基本方針の改廃は、東京海上ホールディングスの取締役会において決定します。ただし、軽微な修正は経営企画部担当業務執行役員が行うことができます。また、方針の遵守状況と環境負荷の低減の取組みは経営会議等で審議のうえ、取締役会に報告し、適時適切に透明性のある情報開示に努めてまいります。
ステークホルダーエンゲージメント
東京海上グループは、地球環境の保全・環境価値の創出、自社およびバリューチェーンにおける環境負荷の低減等に向けて、未来世代、地域社会および先住民を含む様々なステークホルダーとの対話・連携・協働および積極的かつ定期的な環境啓発・情報発信に努めてまいります。
東京海上グループは、これらを推進するにあたり、別紙に示す環境に関する国際的な協定・イニシアティブ等を支持します。
この環境基本方針はグループ全社員に通知して徹底するとともに、一般に公開します。
2021年12月21日制定
2024年10月16日改定
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※国連持続可能な開発目標、国連気候変動枠組条約・パリ協定、仙台防災枠組2015-2030、生物多様性条約・昆明・モントリオール生物多様性枠組、ラムサール条約、ワシントン条約、世界遺産条約、United Nations Communities of Ocean Action for supporting implementation of SDG 14、国連グローバル・コンパクト、国連環境計画・金融イニシアティブ、持続可能な保険原則、責任投資原則、気候関連財務情報開示タスクフォース、自然関連財務情報開示タスクフォース、CDP、21世紀金融行動原則、国連ビジネスと人権に関する指導原則
東京海上グループは、「安心と安全をお届けすることにより、お客様や地域社会の“いざ”をお守りすること」を事業の目的としており、事業を通じて社会のお役に立ち続けることで、100年後もお客様や社会から必要とされるGood Companyをめざしています。これまで私たちは、長年にわたり保険事業で培った知識と経験をいかして、安心と安全の提供を通じて社会の発展に貢献できるように努めてきました。これからも社会課題の解決に取り組み、安心・安全でサステナブルな未来づくりに貢献することで、グループの企業価値を永続的に高めながら、当社を取り巻く全てのステークホルダー、更には幅広く社会全体のお役に立つ価値をつくりだしていきます。
気候変動は、お客様や社会の安心と安全に脅威をもたらすグローバルで人類史的な課題であり、自然災害の激甚化は、保険業界に直接的な影響をもたらします。そのため、私たちの本業である保険ビジネスはもとより、機関投資家、そしてグローバルカンパニーとして真正面から取り組むべき最重要課題と位置付けています。東京海上グループは、2015年12月の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議で採択されたパリ協定の合意事項達成に向けた、国際機関や政府、産業界、学術機関、市民社会等さまざまな機関・業界の皆様との建設的な対話や協働をふまえ、気候変動対策に主体的に取り組むことで、脱炭素社会への移行推進に貢献していきます。
以下では、気候変動が私たちの事業と社会に及ぼす影響を把握し適切に対応していく戦略と、様々な事業活動を通じた脱炭素社会への移行の実現に向けた東京海上グループの取組みについてお伝えします。
小池 昌洋
ガバナンス
東京海上ホールディングスでは、気候変動対応を含むグループ全体のサステナビリティ戦略を加速すべく、2021年4月にグループサステナビリティ総括(CSUO)を新設し、CEOとチーフオフィサー等で構成するサステナビリティ委員会を創設しました。委員会の下部組織として機能毎に部会等を設置しモニタリングも強化していきます。委員会では、サステナビリティ戦略に関する審議等を行い、チーフオフィサー等の担当領域毎にグループベースで取組みを推進します。
なお、東京海上ホールディングスの取締役会では、サステナビリティ委員会にて審議された気候変動を含むグループ全体のサステナビリティ戦略を決議し、当該戦略に基づく計画の取組状況について定期的に執行からの報告を受け、監督を行います。
効果的なリスク管理と収益機会の拡大
私たちは、気候変動が私たちのビジネスにさまざまなリスクをもたらすことをふまえ、グループ全体のリスク管理、およびリスクベース経営(ERM)に基づく事業活動を実施しています。同時に気候変動がビジネスに新たな機会をもたらす可能性も認識しており、お客様のニーズおよび、その変化に対応した商品・サービスを提供することで収益機会の拡大を図ります。実際の気候変動は、主に次のようなリスクと機会を私たちのビジネスにもたらします。
- 物理的リスク
- 気候変動は自然災害の頻度の高まりや規模の拡大に繋がり、保険料率の算定や保険金支払いに影響を及ぼす可能性があります。私たちは、ERMプロセスを通じて、新たなリスクにも適切に対応できるように、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)シナリオ等を使用した分析・評価も行い、気候関連リスクも含む幅広い分野を重要なリスク管理の対象としています。
- 移行リスク
- 世界的な脱炭素化の動きが加速し脱炭素社会への移行が進むことで、法規制等の強化、技術革新、資産価値の変動、投資環境およびお客様ニーズの変化等が予想され、私たちはこれらの変化に機敏に対応する必要があります。私たちはこうした移行リスクのエクスポージャーの把握を進めています。
- 機会
- 温室効果ガス排出削減・停止が推進される過程では、主力電源の移行が進む中、太陽光発電や地熱発電、陸上・洋上風力発電など再生可能エネルギー事業に対する保険へのニーズが増大する可能性があります。こうしたニーズに十分に応えられるように、保険引受におけるリスク評価を高度化し、再生可能エネルギー事業向けの保険をさらに開発・提供してまいります。
気候変動戦略の実践
私たちのビジネスは、お客様や社会の“いざ”をお守りする商品・ソリューションを提供することであり、気候変動はその必要性をさらに高めるものであることを認識しています。新たなリスクを特定し、お客様ニーズの変化に適した商品・サービスを開発・提案することが重要です。私たちは、保険引受業務、投融資業務を通じてこれらを実践します。
私たちは、事業の遂行を通じてもたらされる環境・社会への影響について、その重要性を十分認識しており、パリ協定の合意事項達成に向けて、脱炭素社会への移行に貢献できる保険引受・投融資を行っていきます。
お客様とのエンゲージメント(深度ある対話)
当社グループは、保険引受・投融資先とのエンゲージメントを通じて、2050年までに保険引受・投融資ポートフォリオの温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロを目指します。
グループ内で企業取引の多くを担う東京海上日動では、お客様とのエンゲージメントを通じて、脱炭素への移行を支援する保険商品・ソリューションの提供を行っています。同社では保険引受に伴うGHG排出量の約9割を占める大口取引客先「200社」(※1)と対話し、「160 社」以上との対話水準を下記のレベル②以上とすることを目標として掲げています。またこれらの「200社」を対象に、エンゲージメントを通じて脱炭素計画の策定を求め、2030年までに脱炭素計画を有していない企業とは取引(※2)を行わない方針とします。
| レベル | 内容 | 対話イメージ |
|---|---|---|
| ➀ | 課題把握 | 企業の経営計画やIR資料等をもとに脱炭素化移行の計画や取り組みを把握するとともに、当社が保有する支援メニューを提示。 |
| ② | 課題認識をふまえた提案 | 各企業と課題認識を共有のうえ、課題解決のための具体的な提案を実施。
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| ③ | 保険引受・ソリューションの提供 | 課題解決に向けて当社が提案したメニューや保険の提供を通じて企業を支援。 |
これらの取組みにより、お客様の脱炭素計画の策定を後押しし、ともにトランジションを進めるパートナーとして脱炭素への取組みを進めています。
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(※1)プライム上場企業のうち東京海上日動の収入保険料上位150社、GHG排出量上位100社から選定
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(※2)保険引受(労災保険等、個々の社員の健康や福祉を支援する保険は対象外)、株式投資、債券投資、企業融資
保険商品・サービスを通じたトランジション支援
私たちはグローバルな保険グループとして、新たなリスクを継続的に把握し適切に対応するため、世界をリードする科学者や研究者との連携による気候変動・自然災害リスク研究を通じて、広範で専門的な知識の習得に努めています。この専門知識をお客様や地域社会に役立つ保険商品・サービスの開発・提供に生かすことで、脱炭素社会への移行に向けた取組みに役立てています。
東京海上グループでは、グループベースでの脱炭素関連保険料を2026年度末時点で「450億円」とすることを目標として設定しています。脱炭素関連保険料を、洋上風力や太陽光発電等の再生可能エネルギー事業者向けの保険や電気自動車・蓄電池の延長保証保険等、脱炭素社会の実現に直接的に貢献する保険と定義し、2020年にグループ入りした再生可能エネルギーを専門に取り扱うTokio Marine GX(TMGX=旧GCube)や、主要グループ会社である東京海上日動等を中心に、脱炭素に貢献する保険商品の提供を進めています。
脱炭素に貢献する商品・サービスラインナップについては順次拡大しておりますが、さらなる価値提供に向けて、グループ全体で保険引受ノウハウの共有や再保険制度の活用を進めるとともに、再生可能エネルギー事業者向けの保険における世界的なリーディングプレーヤーであるGCube(当時、現TMGX)を中核に据え、2025年5月よりグループ横断のプロジェクト「Tokio Marine GX(TMGX)」を始動しました。風力や水素をはじめとする再生可能エネルギーや、CCS/CCUSなど、脱炭素を担う多様な分野において、当社グループの専門性を結集し、グローバルで保険引受が可能な体制を強化しています。
機関投資家としても、脱炭素社会への移行に向けた取組みを推進しており、東京海上日動を中心に、気候変動や自然資本・生物多様性など環境・社会課題の解決に資するサステナビリティ・テーマ型投融資やインパクト投資を行っているほか、グループ内で資産運用を専業とする東京海上アセットマネジメントでは、2012年より太陽光発電所を投資対象とする再生可能エネルギーファンドを運営しています。
気候変動リスクに対する保険引受・投融資方針
気候変動は、自然災害の激甚化や経済・社会への影響を通じて、当社グループのお客様や地域社会の安全・安心、さらには保険引受・投融資判断にも深く関わる重要な経営課題です。
こうした認識のもと、当社グループでは、保険引受・投融資における気候変動リスクへの対応を強化すべく、以下のセクターに対する保険引受・投融資方針を策定し、リスクと機会の両面から持続可能な社会への移行に貢献しています。
石炭火力発電・炭鉱開発(一般炭)
石炭火力発電・炭鉱開発(一般炭)については、新設および既設を問わず、新規の保険引受・ファイナンスを行いません(※3)。
上記に加えて、電力・エネルギーセクターとの取引に専門性を有する一部の当社グループ会社においては、石炭を主業とする企業(※4)の保険引受・ファイナンスを行いません(※5)。
北極圏における石油・ガス
北極圏(北極野生生物国家保護区(ANWR、Arctic National Wildlife Refuge)を含む、北緯66度33分以北の地域)における石油・ガスの採掘事業(※6)についても新規の保険引受・ファイナンスを行いません。
オイルサンド
気候変動、生態系、人権等への負の影響を踏まえ、オイルサンドの採掘事業についても新規の保険引受・ファイナンスを行いません。
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(※3)パリ協定の合意事項達成に向け、CCS/CCUS(二酸化炭素回収・貯留/二酸化炭素回収・有効利用・貯留)や混焼などの革新的な技術・手法を取り入れて進められる案件や、パリ協定に沿った脱炭素計画を有している事業/企業については、慎重に検討の上、対応を行うことがあります。また、電力・エネルギーセクターとの取引に専門性を有する一部の当社グループ会社においては、石炭を主業とする企業(※4)以外が実施する案件に石炭火力発電・炭鉱開発(一般炭)が含まれる場合には、対応を行うことがあります。
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(※4)発電量の30%以上を石炭火力発電から得ている企業、もしくは一般炭の年間採掘量が2,000万tを超える企業。ただし、パリ協定に沿った脱炭素計画を有する企業については慎重に検討の上、対応を行うことがあります。
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(※5)個々の社員の健康や福祉を支援する保険(労災保険等)は対象外とします。
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(※6)パリ協定に沿った脱炭素計画を有する事業/企業については慎重に検討の上、対応を行うことがあります。
なお、投融資においては、財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮したESG投融資に関する方針を策定した上でESGの取組みを推進し、気候関連の要素を投資の意思決定プロセスに組み込むことで脱炭素社会への移行を支援していきます。また、こうした取組みを通じてESG評価の知見を蓄積し、投資判断プロセスの高度化に努めています。
加えて、東京海上アセットマネジメントでは、各資産の運用責任者で構成される責任投資委員会を設置・運営しており、ESGにかかるスチュワードシップ活動やアクティブ・エンゲージメントを推進しています。
東京海上グループは、事業活動を行う国や地域において適用される気候変動関連の法規制を遵守します。万一、国際的に認められた気候変動対応の原則と、事業活動を行う国や地域の法令との間に矛盾が生じた場合には、当該法規制を遵守しつつ、国際的に認められた気候変動対応の原則を尊重する方法を追求します。
気候変動に対する自社の取組み
気候変動への対応は世界的な課題であり、さまざまな機関・業界の皆様との連携が必要と考えています。東京海上グループは、次のような分野において、プライベートセクターの立場からイニシアティブをとってきました。
国内および国際的なサステナビリティ取組みの推進
東京海上グループは、グローバルに活動する保険会社として、国内および国際的イニシアティブを支援し、気候変動を含めた環境への課題解決に向けてリーダーシップを発揮できるように努めています。私たちは、2008年の立ち上げ以来、ジュネーブ協会の気候変動イニシアティブ(現在は、気候変動と新たな環境課題プロジェクト)の共同議長を務めており、気候変動を経営戦略やリスク管理に組み込もうとする保険業界をグローバルに支援しています。
東京海上ホールディングスは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の創設時のメンバーかつTCFDの署名企業であり、情報開示を通じてTCFD提言への支持をしています。また、東京海上日動は国連環境計画金融イニシアティブの持続可能な保険原則(PSI)の創設署名企業であり、PSIのTCFD保険パイロットグループの創設メンバーです。
私たちは、企業が気候変動や環境課題についての規制や政策対応の策定に参加することも重要であると考えています。そのため、私たちは気候関連の課題に関する国内および国際的な政策対話に積極的に参加してきました。脱炭素社会への移行を支援するためのビジョンと行動の確立を目指した2019年の日本政府による「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」策定につながった取組みもあります。この戦略では、TCFD提言への対応をグリーンファイナンス推進の柱の1つとして掲げ、2019年5月に創設された日本TCFDコンソーシアムにも言及しています。私たちは、TCFDコンソーシアムの設立発起人の1人であり、企画委員会メンバーとして積極的に関与することで、TCFD提言に従った日本における気候関連情報開示の普及・促進に貢献できるように努めます。
科学と研究の推進
東京海上グループは、気候変動・自然災害リスクについて、2006年以降、東京大学、名古屋大学、京都大学、東北大学等を含む様々な最先端の研究機関と連携しています。これらの研究を自社の経営戦略に統合するだけでなく、研究内容・成果を個人および企業のお客様、地方自治体、非政府組織、国際組織と共有しています。また、毎年、法人顧客や関係者を対象とした自然災害リスクセミナーを開催し、研究活動で得られた最新の研究成果を共有しています。
事業を通じて気候変動に対する強靭化をサポート
安心と安全をお届けするという私たちの事業目的は、保険商品の提供だけに留まるものではありません。私たちの専門知識を活用することで、大規模自然災害が発生した場合の被害を最小限に抑え、復旧・復興を促進することができると考えています。国立研究開発法人防災科学技術研究所などと連携し、新しい防災・減災ソリューションの開発にも取り組んでいます。
アジア太平洋地域では、東京海上グループは、2015年から民間セクターを代表し、アジア太平洋経済協力(APEC)の財務大臣プロセス(FMP)における災害リスクファイナンスおよび保険(DRFI)の革新と促進を支援しています。DRFIは、アジア太平洋地域の持続可能な財政の将来へのロードマップ「セブ行動計画」の下での優先政策課題として特定されており、深刻度を増す気象災害の影響を受けるコミュニティの強靭性を高めることを目的にしています。
私たち自身の事業においても、気候への悪影響に対処すべく、温室効果ガス排出量の削減目標を設定しています。東京海上グループは、2030年までに2015年のベースラインと比較して事業活動に伴う自社温室効果ガス排出量を60%削減する目標を設定し取り組んでいます。また、2030年までに本社ビルを含む主要拠点での100%再生エネルギー化を目標として掲げました。
東京海上グループとして、2013年度から11年連続で自社の事業活動に伴うGHG排出量においてネットゼロ(※7)を達成しました。これは、アジア太平洋地域でのマングローブ植林を通じた継続的な国際貢献の取組みによるものです。マングローブ植林は、脅威にさらされている生態系を活性化するだけでなく、CO2排出の吸収と固定を通じてCO2排出量をオフセットします。私たちは1999年にマングローブの植林を開始し、2025年3月31日現在、アジア太平洋地域9か国の12,970ヘクタールにマングローブを植林しました。そして、1999年4月から2023年3月末までのマングローブ植林により生み出された生態系サービスの経済価値は累計2,023億円に達しているとの試算結果を得ています。さらに、2019年10月には、東京海上グループは、国連「SDGsの目標14の達成に向けた海洋行動コミュニティ」に参画し、2007年に公表した「マングローブ植林100年宣言」を改定して、マングローブを基盤とした解決策の提供を通じて価値創出を目指す「マングローブ価値共創100年宣言」を公表しました。また、私たちは省エネルギー対策を採用し、エネルギー消費量の削減や、エコ安全ドライブやリサイクル部品の活用にも取り組んでいます。
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(※7)自社の事業活動に伴うもの(Scope1+2+3(カテゴリ1,3,5,6))
最後に
私たちは、気候変動が私たちの事業や社会に広範な影響を与えること、そしてこの変わりゆく状況に対して適切に対応していかなければならないことを認識しています。お客様ニーズの変化に対応したソリューションを見つけ出し、気候変動対策に向けた国際的な対応を進めるために国内外で対話に取り組み、事業活動を通じて脱炭素社会への移行に貢献することにより、気候変動に伴う各種課題の解決に取り組んでまいります。
気候変動への対応や各種取組みの詳細につきましては、私たちのTCFD提言に沿った気候関連情報開示、サステナビリティレポート、統合レポートをご覧ください。
2025年11月1日更新