D&Iの推進・人材育成

ダイバーシティ&インクルージョンの推進

東京海上グループでは、多様な価値観を持ち、意欲と能力のある社員がジェンダー・年齢・国籍・障がいの有無等に関わらず能力を最大限発揮していくことが、世界中のお客様に提供する商品・サービスの品質を高めていくうえでも重要であると考えています。具体的には、ジェンダーギャップの解消、高年齢社員や障がい者など誰もが活躍できる職場づくりや、国籍や人種を問わない採用、多様な経験を持つ社員の中途採用・育成等を進め、グループ全体のダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)推進に取り組んでいます。

東京海上グループにおけるD&I

D&Iの定義

東京海上グループでは「ダイバーシティ」と「インクルージョン」を以下のとおり定義しています。これはD&Iへのさまざまな取り組みの基礎となるものです。

ダイバーシティとは

社員一人ひとりの個性を形づくる属性、資質及び経験

インクルージョンとは

すべての社員が、お客様、ビジネスパートナー、社会に最大限貢献できるようダイバーシティのあらゆる面が受け容れられ、育まれ、尊重される職場をつくること

D&Iビジョン

D&Iの取り組みを通じて実現したいと考える「Attract」「Empower」「Develop/Promote」「Retain」の4つの重要な観点から、当グループのD&Iビジョンを以下のとおり策定しています。
これらを当グループの人材に関する考え方を示す'Our People'と併せ、D&Iに関するグループのコミットメントとし、D&Iへの取り組みを進化させていきます。そして「Attract」「Empower」「Develop/Promote」「Retain」を実現することで、真にインクルーシブなグローバル保険グループをめざします。

真にインクルーシブなグローバル保険グループ Attract・私たちは、誰もが持てる力を遺憾なく発揮できる会社として、個々人の属性にかかわらず多様な人材から選ばれる会社を目指します。 Empower・私たちは、全ての社員が存分に活躍できる真にインクルーシブな職場環境をつくり、お客様や社会に貢献するために必要な環境を整備し、適切な裁量を付与します。Develop/Promote・私たちは、様々な経験と学びの機会を提供することに加えて、全ての社員に活躍の場を与えることで、社員一人ひとりが、仕事を通じて成長できるように支援します。Retain・会社と社員の間には強固な信頼関係が構築され、社員はそれぞれの貢献に応じて公正に評価され、適切に処遇されます。”Our People” 東京海上グループにとって最も大切な資産は人材であり、'Good Company'ビジョンを実現するための原動力です。東京海上グループは、お客様や社会に安心と安全を提供するためにあらゆる事業領域において不可欠な人材を確保します。東京海上グループは、情熱と意欲をもって挑戦する社員に対して成長に資する役割や機会を与えます。東京海上グループは、真のグローバルカンパニーを目指し、ダイバーシティ&インクルージョンを尊重します。多様な人材が持てる力を遺憾なく発揮できる環境をつくることを通じて'Good Company'への果てしない道を歩み続けます。

D&I推進体制

D&I推進体制

東京海上グループはD&Iの取り組みを加速し、グループのすべての社員が多様なバックグラウンドを活かし、持てる力を最大限に発揮できる環境をつくるため、2021年4月にグループダイバーシティ&インクルージョン総括(Group Chief Diversity & Inclusion Officer、以下「CDIO」)及びダイバーシティカウンシルを創設しました。
ダイバーシティカウンシルはグループCEOが委員長を務めるCEO直轄の諮問機関と位置づけ、CDIOのリーダーシップのもとで国内外グループ会社を代表するメンバーと、D&Iの重要なテーマについて議論しています。詳細は「Human Capital Report 2023(P57)」をご参照ください。

D&Iの取り組み

D&I風土醸成

東京海上グループでは、D&I推進を成長戦略そのものであるととらえ、グループCEO自らさまざまな会議やセミナーでトップメッセージを発信しています。詳細は「Human Capital Report 2023(P58)」をご参照ください。

ジェンダーギャップ解消

ジェンダーギャップの解消はグループ共通の課題として取り組んでいます。女性社員一人ひとりが自律的にキャリアを構築し、より広いフィールドで活躍できるための環境づくりや人材育成を、長年にわたり積極的に推進しています。

①東京海上日動の取り組み

東京海上日動では、多様な価値観を持った社員が意思決定の場に参画することで意思決定の質を高めていくとの考えのもと、「あらゆる意思決定の場に女性が当たり前に参画している状態」をジェンダーギャップ解消の目指す姿としています。この「目指す姿」の実現へ向けて、“あらゆる意思決定の場への女性参画”及び “女性社員一人ひとりのエンゲージメント向上”の両軸での推進をジェンダーギャップ解消の取り組み方針とし、女性社員一人ひとりが「働きがい」を実感しながら成長し続けられる環境づくりに取り組んでいます。
また、「女性管理職以上の比率について2030年度に30%達成」することを定量目標として策定し、個々人のキャリアビジョンをふまえた役割付与と年間を通じたOJT、部門を越えた人事異動や各種研修の実施等、本人の意欲と能力に応じて挑戦が可能な環境を整える取り組みを加速しています。

②グループの取り組みと成果

グループ各社での取り組みとともに、グループ全体でも女性社員に向けたさまざまな機会を提供しています。2019年度には、国内グループ会社の女性社員を対象に、グループ内キャリアカレッジ「Tokio Marine Group Women's Career College (TWCC)」を開講しました。自らの発意で集まった参加者が互いに刺激し合い、多様な価値観や考え方に触れることで、自らのキャリアについて考え、気付きを得る場となっています。
こうした取り組みにより、現在国内グループ会社では500名超の女性管理職が活躍しています。また、東京海上ホールディングスでは取締役2名、監査役1名、執行役員2名、東京海上日動では取締役1名、監査役2名、執行役員5名が女性であり、多様な意見を経営に生かしています。
このようなグループ全体での取り組みや実績等が評価され、東京海上ホールディングスは2013年度、2015年度、2017年度、2018年度の4度「なでしこ銘柄」に選定されました。また、女性の活躍推進に積極的に取り組んでいる企業の男性リーダーによる「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言や2019年5月に発足した「30% Club Japan」にグループCEO自らが賛同を表明しています。
東京海上日動では、経済産業省主催の「ダイバーシティ経営企業100選」を受賞しています。本賞は、経済産業省が「ダイバーシティ経営によって企業価値向上を果たした企業」を選定・表彰するもので、同社は母性保護や育児支援制度の充実、社員全体の役割の変革を通して多くの女性が活躍し続けている点、障がい者雇用の推進やノーマライゼーション意識の向上等の取り組みが評価されました。

さらに、東京海上日動キャリアサービス、東京海上ディーアールをはじめ、グループ6社が「女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業」として厚生労働大臣より「えるぼし」の認定を受けました。認定は評価項目を満たす項目数に応じて3段階あり、5社が最高位の認定を受けています。

海外での取り組み

米国PURE社は、社員は自らの仕事に情熱を持ち、組織に献身的で、自発的な努力を惜しまないことを望んでおり、人は安全で公正に扱われ、尊重されている環境でこそ、可能性を最大限に発揮できると考えています。
社員リソースグループ (ERG:Employee Resource Group)は、2021年以降各地で発足した社員が自主的に運営するグループです。当社が政策やコミュニティ課題への対応を判断するためのリソースとして活用されるとともに、多様で包括的な職場を築くために次のようなイニシアティブを実施しております。

PURE United (Ally) 活動する地域社会の声をお聞きし、社会から疎外されたグループとの連帯促進を通じて社員の意識向上や一体感を醸成します。
Asian & Pacific Islander ERG アジア太平洋諸島人であることを認識するコミュニティを形成し、心理的安全が確保された環境においてメンバー同士がお互いの類似点と相違点を認識し、成長し合う場を形成します。
PURE+(LGBQTIA+) LGBQTIA+を尊重する意識を高め、成長を促し、平等を確保します。
PURO Orgullo
(ヒスパニック&ラテンX)
PUREのヒスパニック/ラテン系コミュニティのために支援的な環境を作ることで、メンバーの個人的および専門的な成長を促進する社員のネットワークです。
The BERG(Black ERG) 同じ志を持つメンバーが、コミュニティ参加・文化リテラシー・能力開発を通じて、アイデアを実現し、自己を高めるための場を提供します。
Women’s Leadership Council 協業や地域社会との共生文化を強化しながら、有能な女性メンバー同士で高め合うためのネットワークとサポートシステムを構築します。

多様な人材の活用

エイジフリーの実現

東京海上グループでは、高年齢社員の積極的な継続雇用や継続的な自己開発等を通じて、グループ全体の持続的な成長や本人の活躍につなげています。詳細は「Human Capital Report(P.61)」をご参照ください。

障がい者の雇用促進

東京海上グループは「障がい者の雇用促進と働く環境づくりを通じて社会課題を解決し、誰もが安心して暮らせる共生社会の実現に貢献すること」をめざし、グループ各社において障がい者雇用とノーマライゼーションの意識浸透に努めています。詳細は「Human Capital Report(P.61)」をご参照ください。

ノーマライゼーションの推進

東京海上日動システムズではこれまでバリアフリー対応を進めるとともに、身体にハンディキャップのある方をITエンジニアとして採用しています。目の不自由な方がヘルスキーパーとしてオフィスマッサージ業務を担うために、事務フロアにマッサージルームを設置・運営し、2009年9月からはハンディキャップのあるメンバーによる「スマイルカフェ」(社内喫茶店)、「スマイルオフィスサービス」(名刺作成や印刷、書類の電子化等の業務)を提供する等、ノーマライゼーション推進に積極的に取り組んできました。
「スマイルカフェ」は社員の憩いの場となっており、店頭販売とワゴン巡回販売で毎日延べ400名ほどの利用があります。また、近隣の福祉施設で作られたパンやお菓子の販売も行っています。「スマイルオフィスサービス」では、年々担当業務の種類を増やし、社員から頼りにされています。
一般の社員とハンディキャップを持つメンバーが共に働くことで、お互いに元気・笑顔をもらい、働きがいが向上するという相乗効果も生まれています。

人材の育成・活躍推進

Human Capital Report(人的資本レポート)の発行

保険事業は“People’s Business”と呼ばれており、社員をはじめとする「人」が創り上げる「信頼」が全ての源泉です。当社は、「人」の力の最大化が、「お客様や地域社会の“いざ”をお守りする」という当社のパーパス実現につながると確信し、創業以来、「人」への投資と人材育成に取り組んできました。その想いは、今も変わることはなく、「人」を成長の原動力と捉え、「人」の力の最大化に真正面から取り組んでいます。
人的資本経営という考え方や、人的資本経営に関する情報開示の動きが急速に広まっており、今後、ステークホルダーの皆様が、さまざまな場面で、人的資本に関する情報を参考にされることが予想されます。
このような中、当社の人的資本経営に対する考え方と取り組みについて、そのままお伝えすることで、ステークホルダーの皆様に、当社について、より深くご理解いただけるとの考えから、「Human Capital Report 2023」を発行いたしました。
これまでも統合レポートや本サステナビリティレポートにおいて、人的資本に関する情報をお届けしてまいりましたが、今回、人的資本に絞ったレポートを発行することで、「人」に対する当社の考え方および具体的な取り組みを、より深くご理解いただけるものと考えています。

東京海上グループのパーパスと人材に対する考え方

東京海上グループの「人材」に対する考え方を「Tokio Marine Group-Our People」として定めています。この考え方をベースとして、グローバル保険グループの実現に向け、国内外を問わず多様な人材の計画的な育成ならびにエンゲージメントの向上に取り組み、パーパスの実現に貢献する人的資本価値を向上させていきます。
詳細は以下をご参照ください。

人的資本への投資を積極的に加速

当社は、パーパスを起点に事業活動を通じて社会課題を解決し、その結果として企業価値を高めていくことをめざしています。複雑化していく社会課題に柔軟に対応し、解決していくためには、国内外4万人を超えるグループ社員の力がキーサクセスファクターであり、100年後もお客様や地域社会から信頼され、真に必要とされる良い会社"Good Company"であるために、人的資本への投資を行い、さらなる磨きをかけていきます。
詳細は以下をご参照ください。

人材育成を促進する各種取り組み 人的資本への投資

人材育成の取り組み

東京海上グループの原点である保険事業は“People's Business”であり、「人」とその人が創り上げる「信頼」がすべての競争力の源泉です。私たちは「人」の力を信じて、自ら考え、スピードにこだわり、成長し続ける人材の育成をめざします。
例えば、東京海上日動では、「すべての社員が成長し続ける会社」を目標に掲げ、「個人」と「組織」の2軸で人材育成方針を策定し、これらの相乗効果を出して社員一人ひとりの成長スピードの加速をめざしています。
具体的には、年間を通じた上司と部下との定期的な面談をマイルストーンとする「人材育成サイクル」に基づき、社員一人ひとりのキャリアビジョン・なりたい姿や強み・弱みについて丁寧なすり合わせを行うとともに、社員本人の育成につながるチャレンジングな役割を付与しながら、成長に向けた継続的な支援・フォローアップを行っています。
役割を付与する際には事業を通じた社会課題解決の重要性を示すと共に、目標設定にあたっては、当社グループのパーパスに立ち返りながら、お客様や地域社会の課題解決に繋がる価値提供に向けた具体的な行動を検討のうえ、各社員の役割や納得感を踏まえた目標を設定しています。その結果、社員の社会課題解決を含むパフォーマンスによって業績賞与が決まります。
また、社員の多様なニーズ・キャリアビジョンに応える幅広い研修機会やe-Learning等の学習ツール、「プロジェクトリクエスト制度」や「JOBリクエスト制度」といった社員の挑戦を支える制度等、人材育成に関連する豊富なプログラムを用意し提供しています。
詳細は以下をご参照ください。

社員との対話

東京海上グループでは、経営全般・人事施策・職場環境に関する社員との対話を重視し、フィードバック結果をマネジメントの改善に活かしています。

グループ一体感醸成

パーパスの浸透度の測定、およびD&I推進を図ることを目的に、毎年カルチャー&バリューサーベイを実施しています。国内外のグループ会社に対して多言語で同じ質問をするのが特徴であり、スコアは高い水準で推移しています。
詳細は以下をご参照ください。

エンゲージメントの向上

社員一人ひとりのエンゲージメントの状態を的確に把握し、実効性のある対策をタイムリーに実行していくため、エンゲージメントサーベイを導入しています。
詳細は以下をご参照ください。

グローバルなビジネスに対応する人材の育成・確保

グローバル人材戦略の推進

東京海上グループでは、海外ビジネスの重要性が一層高まるなか、世界各国・地域のグループ会社において多様な人材を採用・育成し、グローバル保険グループの実現を支える人材基盤を構築していくことが重要であると考えています。そのために、2012年以降グローバル人材戦略を策定し、継続的にさまざまな施策を推進しています。

東京海上グループ グローバル人材戦略の柱
  • 1.グローバルリーダーの育成
  • 2.専門性を備えた機能別人材の育成
  • 3.グローバル人材の裾野拡大
  • 4.当社企業理念の浸透、体制・インフラの整備

2023年度からグループ一体経営の推進を担うグループ経営リーダーを安定的・継続的に輩出する仕組みとして、Tokio Marine Group Leadership Instituteを設立し、グループ経営リーダーへの登竜門として、国内外グループ横断で、独自の高品質な育成プログラムを提供しています。
詳細は以下をご参照ください。

さらに裾野拡大の観点では、2012年度に開始した東京海上日動グローバルコース従業員(入社3年目)を対象とするグローバル研修(海外短期派遣)や、海外トレーニー派遣等、さまざまな育成機会を設けています。
これらの施策を着実に推進していくため、東京海上ホールディングスにグローバル人事を担当する専門部署を設置するとともに、主要グループ会社の人事部門責任者を集めた「グローバルHR会議」を定期的に開催し、人事部門間の連携強化、グループ共通の人材育成や人事戦略等に関して論義しています。今後も世界各国・地域のグループ会社の意見や要望を積極的に取り入れながら、グローバル人材戦略を推進していきます。

グローバル経営・専門人材の安定的確保

テクノロジーの深化やグローバル化、人口動態の変化など東京海上グループを取り巻く環境は急速に変化しており、こうした不確実性の高い外的環境の変化を確実に捉え、経営に反映させていく重要性がより一層高まってきております。このような大きな変化に対応できる高度な専門性やマネジメント力をグローバルに発揮し、グループ経営を牽引する人材を安定的に輩出する仕組みとして、2019年4月から東京海上ホールディングスに新たな人事制度を導入し、そうした人材に対してグループ横断でのタレントマネジメントを推進するとともに、国を跨いだ各種研修も継続的に実施しています。

未来を担う人材の確保

東京海上日動では、性別や国籍、新卒・キャリア採用を問わず、グローバルに活躍できる多様で優秀な人材の確保に取り組んでいます。今後も幅広く採用活動に取り組み、優秀でたくましい人材の確保に努めるとともに、職場体験や社員との交流を通じて社会課題や新たなソリューションを考える機会を提供し、「未来世代」の育成にも貢献してまいります。
詳細は以下をご参照ください。

働き方の改革

東京海上グループでは、多様な社員が生産性高く働くことで、会社と社員が持続的に成長していくことをめざし、働き方の変革を推進しています。

「生産性高い働き方」を追求するための取り組み

東京海上グループでは、ワークルールの柔軟化など「生産性高い働き方」を追求する取り組みを進めています。こうした取り組みを通じて得られた時間を、社員一人ひとりが個人の成長に向けて有効活用し、より高い付加価値の創出につなげることで、社員と会社双方の持続的な成長をめざしています。
詳細は以下をご参照ください。

育児視線の進化

女性の活躍領域が拡大し、結婚・育児を経験しながらキャリアを継続する中、育児をしつつキャリアをあきらめることのないよう、休業休暇制度などさまざまな両立支援策を整備することで、社員が安心して出産・育児ができる体制としています。
詳細は以下をご参照ください。

東京海上グループ各社で活躍する女性の幅広い貢献に着目し、グループ横断でその女性たちやアライ(応援者)のストーリーを共有することにより、国際女性デーを祝し、D&Iの重点取組みであるジェンダーギャップ解消やインクルージョンの実現に向けた歩みを一層進めていきます。