コーポレートガバナンス

東京海上ホールディングス(以下、当社)は、「東京海上グループ経営理念」を定め、株主、お客様、社会、社員等のステークホルダーに対する責任を果たしていくことで、グループの企業価値を永続的に高めてまいります。
そのために、健全で透明性の高いコーポレートガバナンスを構築し、持株会社としてグループ会社を適切に統治することが重要であると認識しており、「東京海上ホールディングス コーポレートガバナンス基本方針」を策定しています。この中で、株主の権利・平等性の確保や取締役会等の責務について定めています。

コーポレートガバナンス体制

当社のコーポレートガバナンス体制は、監査役会設置会社をベースに任意の指名委員会・報酬委員会を設置するハイブリッド型の機関設計としています。当社は、重要な業務執行の決定を取締役会で行っており、社外取締役や社外監査役の知見を活用することで、質の高い意思決定を行っていること、取締役会で議決権を有しない監査役が中立で客観的な監査を行っていることおよび指名委員会・報酬委員会の審議に基づき役員の指名・報酬を決定しており決定過程の透明性を確保していることから、こうした体制が現時点では最適と判断しています。

1 取締役会

取締役会は、グループの経営計画の決定や各種基本方針の決定等、当社の重要な業務執行を決定するとともに、取締役の職務の執行を監督する責務、適切な内部統制システムを構築する責務等を負います。
取締役は、原則として3分の1以上を社外取締役とします。また、取締役の任期は1年とし、再任を妨げないものとします。取締役会は、その実効性を確保するために、多様性と適正規模を両立した構成とします。2023年6月末現在、取締役会は7名の社外取締役を含む15名の取締役で構成されています。

2 監査役・監査役会

監査役は、株主の負託を受けた独立の機関として、企業の健全で公正な経営に寄与し、社会的信頼に応えることを目的に、取締役の職務執行を監査します。監査の実施にあたっては、監査役会で定めた監査役会規則、監査役監査基準、監査方針および監査計画等にしたがい、質の高い監査を実施するよう努めています。
監査役は、原則として過半数を社外監査役とします。2023年6月末現在において、監査役会は社外監査役3名を含む5名の監査役で構成されています。

3 指名委員会・報酬委員会

当社は、当社および主なグループ会社の役員の選任および役員報酬の決定のプロセスにおける透明性の向上を図るため、社外取締役を中心とする指名委員会および報酬委員会を設置しています。
指名委員会においては、社長・取締役・監査役・執行役員の選任・解任および選任要件・解任方針等について審議し、取締役会に対して答申します。
報酬委員会においては、社長・取締役・執行役員の業績評価ならびに報酬体系および報酬水準、役員報酬の決定に関する方針等について審議し、取締役会に対して答申します。
これらの指名委員会および報酬委員会は、原則として、過半数を社外委員とするとともに、委員長は社外委員から選出しています。構成員の状況は以下のとおりです。

指名委員会
委員長 片野坂 真哉(社外取締役)
委員 大薗 恵美(社外取締役)
進藤 孝生(社外取締役)
永野 毅(取締役会長)
小宮 暁(取締役社長)
報酬委員会
委員長 遠藤 信博(社外取締役)
委員 御立 尚資(社外取締役)
ロバート・フェルドマン(社外取締役)
松山 遙(社外取締役)
小宮 暁(取締役社長)

コーポレートガバナンス体制を支える仕組み

1 取締役・監査役の選任基準

取締役の選任にあたっては、会社の業態をよく理解し、会社経営に必要な広範な知識を有し、取締役会の構成員として会社の重要な業務執行を決定するに十分な判断力を有している者としています。また、監査役の選任にあたっては、監査役としての職務能力、過去の実績・経験等を勘案し、質の高い監査を実施することによって、会社の健全で持続的な成長を確保し、社会的信頼に応える良質な企業統治体制の確立に寄与することができる者としています。

2 社外役員

社外取締役が存在することにより、取締役の職務執行に対する取締役会による監督の実効性を確保しています。社外取締役からの様々な見識に基づくアドバイスを受けることにより、重要な業務執行の決定を適切に行うことが可能な体制を確保しています。また、社外監査役が存在することにより、中立かつ客観的な立場からの監査体制を構築しています。監査役会による監査の実効性を高め、当社の経営の透明性・健全性を維持することが可能な体制を確保しています。

社外役員の選任にあたっては、選任要件と独立性判断基準(東京海上ホールディングス コーポレートガバナンス基本方針別表)を設けています。
2023年6月末現在、社外取締役を7名、社外監査役を3名選任していますが、上記基準に照らして当社からの独立性を有していると判断できることから、10名全員につき株式会社東京証券取引所が定める独立役員としての届出を行っています。

氏名 選任理由 取締役会等への出席状況
御立 尚資
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社取締役に就任以来、長年のコンサルティング会社での実務経験や企業経営を通じて培われた経営の専門家としての見識に基づき、この期待される役割を適切に果たしているためです。 2022年度に開催した10回の取締役会の全てに出席しました。
遠藤 信博
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社取締役に就任以来、長年の企業経営を通じて培われた経営の専門家としての見識に基づき、この期待される役割を適切に果たしているためです。 2022年度に開催した10回の取締役会の全てに出席しました。
片野坂 真哉
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社取締役に就任以来、長年の企業経営を通じて培われた経営の専門家としての見識に基づき、この期待される役割を適切に果たしているためです。 2022年度に開催した10回の取締役会の全てに出席しました。
大薗 恵美
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社取締役に就任以来、長年の企業戦略研究等を通じて培われた企業経営等に関する見識に基づき、この期待される役割を適切に果たしているためです。 2022年度に開催した10回の取締役会の全てに出席しました。
進藤 孝生
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、長年の企業経営を通じて培われた経営の専門家としての見識に基づき、この期待される役割を適切に果たせると判断したためです。 -
ロバート・フェルドマン
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、長年の金融機関におけるエコノミストとしての経験を通じて培われた見識に基づき、この期待される役割を適切に果たせると判断したためです。 -
松山 遙
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、長年の弁護士としての経験を通じて培われた企業法務に関する見識に基づき、この期待される役割を適切に果たせると判断したためです。 -
和仁 亮裕
(社外監査役)
同氏には、社外監査役として、適切な監査機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社監査役に就任以来、長年の弁護士としての経験を通じて培われた企業法務に関する同氏の見識に基づき、適切な監査機能を果たしているためです。 2022年度に開催した10回の取締役会および10回の監査役会の全てに出席しました。
大槻 奈那
(社外監査役)
同氏には、社外監査役として、適切な監査機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社監査役に就任以来、長年の金融機関におけるアナリストとしての経験を通じて培われた企業経営等に関する同氏の見識に基づき、適切な監査機能を果たしているためです。 2022年度に開催した10回の取締役会および10回の監査役会の全てに出席しました。
清水 順子
(社外監査役)
同氏には、社外監査役として、適切な監査機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が長年の金融機関における実務経験および国際金融に関する研究等を通じて培われた見識に基づき、この期待される役割を適切に果たせると判断したためです。 -

3 取締役会の実効性評価

当社は、取締役会のさらなる機能発揮に向け、毎年1回取締役会の実効性評価を実施しています。2022年度は、当社として初めて第三者機関を活用した取締役会の実効性評価を実施しました。

(1) 取締役会の実効性評価の方法

取締役および監査役の全員を対象に、第三者機関によるアンケートおよびインタビューを実施し、匿名性を確保した形でそれらの分析内容および評価結果等のフィードバックを受けました。取締役会は、この分析内容および評価結果等を踏まえ、取締役会の現状および今後の対応等について審議しました。アンケートおよびインタビューの主な項目は以下のとおりです。

  • 取締役会の役割および機能
  • 取締役会の規模および構成
  • 取締役会の運営状況
  • 取締役会における論議の状況および課題
  • 議長に対する評価および議長の在り方
  • 機関設計の変更
  • 昨年の実効性評価の結果に対する対応状況
  • 指名委員会および報酬委員会の構成、役割および運営状況
  • 社外取締役に対する支援体制
  • 当社のガバナンス態勢および取締役会の実効性全般
  • 取締役および監査役の機能発揮についての自己評価

(2) 取締役会の実効性評価の結果

第三者機関より、当社の取締役会は、適切な議題設定と運営のもと多くの重要な経営課題について十分な論議がなされ、議長、社内外の取締役および監査役がそれぞれの役割・機能を適切に果たし、取締役会として高い実効性を確保しているとの報告を受け、取締役会としても同様の評価を行いました。
取締役や監査役からは、以下のとおり実効性のさらなる向上に向けた意見もあり、対応を行っていく予定です。

意見1 論議時間の確保と論議テーマについてさらに検討すべきである。
対応1 取締役会の開催枠を追加し、論議時間の確保に取り組む。
意見2 指名委員会および報酬委員会の論議内容について取締役会にもう少し詳細に共有したほうがよい。
対応2 取締役会に報告する内容を明確化したうえで、報告内容の充実に取り組む。

4 役員に対するトレーニング

当社は、取締役、監査役および執行役員がそれぞれに求められる役割や責務を適切に果たすことができるよう、知識の習得および更新の機会を設けています。

5 役員報酬

(1) 2022年度の取締役および監査役の報酬等の総額等

区分 報酬等の総額 報酬等の種類別の総額 支給
人数
定額報酬 業績連動報酬 株式報酬
取締役 836百万円 373百万円 292百万円 171百万円 16名
 取締役
(社外取締役を除く)
736百万円 291百万円 292百万円 152百万円 10名
 社外取締役 100百万円 81百万円 なし 19百万円 6名
監査役 123百万円 123百万円 なし なし 6名
 監査役
(社外監査役を除く)
72百万円 72百万円 なし なし 3名
 社外監査役 51百万円 51百万円 なし なし 3名
959百万円 496百万円 292百万円 171百万円 22名
  • ※1支給人数には、2022年6月27日開催の第20回定時株主総会終結の時をもって退任した、社外取締役ではない取締役2名および社外監査役ではない監査役1名が含まれています。
  • ※2報酬等の総額および報酬等の種類別の総額には、上記※1の取締役2名および監査役1名に対する報酬等が含まれています。
  • ※3株式報酬には、報酬等として付与した株式交付信託のポイントに係る費用計上額を記載しています。

(2) 役員報酬の決定に関する方針

役員報酬の決定にあたっては、「透明性」「公正性」「客観性」を確保します。
役員報酬体系は、以下の構成とします。

対象者 定額報酬 業績連動報酬 株式報酬
常勤取締役
執行役員
あり あり あり
社外取締役
非常勤取締役
あり なし あり
監査役 あり なし なし
  • 取締役および執行役員の報酬の基準額における各報酬の構成については、原則として役位の高さに応じて業績連動報酬および株式報酬の割合を高めます。

各報酬導入の目的は以下のとおりとします。

報酬の種類 目的
業績連動報酬 企業価値向上に対するインセンティブを強化するため、会社目標および個人目標を設定し、その達成度に対する評価に連動した業績連動報酬を導入する。
株式報酬 株主とリターンを共有することでアカウンタビリティを果たすため、当社株価に連動する株式報酬を導入する。

取締役および執行役員の報酬の水準は、当社業績や他社水準等を勘案し、役位別に基準額を設定の上、職責の重さを加味し、取締役会が決定します。
取締役および執行役員の報酬等のうち、定額報酬および業績連動報酬については月例で支給します。株式報酬については退任時に交付します。
取締役および執行役員の個人別の報酬等の内容およびその他役員報酬に関する重要な事項は、取締役会が決定します。なお、報酬委員会諮問事項については、同委員会の答申を踏まえ、決定します。

株主をはじめとするステークホルダーへの対応

1 株主の権利・平等性の確保

当社は、株主総会における議決権の行使が適切になされるよう環境を整備します。具体的には、『招集ご通知』の早期発送や、集中日以外の日程での株主総会の開催、インターネットを通じた議決権行使サイトの採用等を行っています。また、株主総会における議決権の行使や剰余金の配当の支払いにおいて株主をその有する株式の内容および数に応じて平等に取り扱います。

2 株主・投資家との対話

当社は株主・投資家との対話のための活動全般を統括する業務執行役員をおき、活動を企画・実施するための専門部署を設置しています。専門部署は、決算発表、投資家向け説明会等の株主・投資家との対話に向けて、関連部署と連携して、株主・投資家に正確で偏りのない情報を提供するよう努めています。
当社は、「インサイダー取引防止規程」に基づき、未公表の重要事実の管理を徹底するとともに、未公表の重要事実を用いずに株主・投資家との対話を行っています。

3 政策投資として保有している株式

政策投資として保有している株式は、当社グループのリスクポートフォリオを見直し、社会課題解決や成長分野等に対して資本を振り向けるために削減します。
当社は、取締役会において、国内保険子会社が政策投資として保有している国内上場株式につき、中長期的な取引関係の強化等の保有目的の適切性を確認するとともに、保有に伴うリスク・リターンを、ポートフォリオ全体および個別に検証することで、保有の経済合理性を確認しています。なお、経済合理性の有無は、保険取引および株式運用の双方のリスク・リターンから算出されるROR(Return On Risk)を、当社の資本コストと比較して判定しています。
2022年10月に開催した取締役会で2022年3月末を基準に検証を行い、ポートフォリオ全体のRORが資本コストを上回っていることを確認しました。また、RORが資本コスト未満の個別企業については、当該企業との事業方針に係る対話、保険プログラムの見直しや新規提案等を通じ、収益の改善に向けた取組みを行っています。

また、政策投資として保有している株式の議決権行使基準にしたがい、企業価値を毀損させる可能性がある議案については、これらを精査した上で賛否を決定しています。

4 株主以外のステークホルダーとの適切な協働

当社は、「東京海上グループ経営理念」を定め、株主の負託に応え、収益性、成長性、健全性を備えた事業をグローバルに展開するとともに、お客様へ安心と安全を提供し、社員が創造性を発揮できる企業風土を構築し、広く社会の発展に貢献することにより、企業価値を永続的に高めることに努めます。

適切な情報開示と透明性の確保

当社は、「東京海上グループ ディスクロージャー方針」を定め、経営の透明性や公平性を確保することを目的として、会社の経営成績等の財務情報や経営理念、経営計画等の非財務情報の適時、適切な開示に努めます。

コーポレート・ガバナンス報告書

コーポレートガバナンス・コードの各原則(プライム市場向けの原則を含む)につきまして、全て実施しています。

コーポレートガバナンス強化に向けた取組みの変遷