コーポレートガバナンス

東京海上ホールディングス(以下、当社)は、「東京海上グループ経営理念」を定め、株主、お客様、社会、社員等のステークホルダーに対する責任を果たしていくことで、グループの企業価値を永続的に高めてまいります。

そのために、健全で透明性の高いコーポレートガバナンスを構築し、持株会社としてグループ会社を適切に統治することが重要であると認識しており、「東京海上ホールディングス コーポレートガバナンス基本方針」を策定しています。この中で、株主の権利・平等性の確保や取締役会等の責務について定めています。

コーポレートガバナンス体制

当社のコーポレートガバナンス体制は、監査役会設置会社をベースに任意の指名委員会・報酬委員会を設置するハイブリッド型の機関設計としています。当社は、重要な業務執行の決定を取締役会で行っており、社外取締役や社外監査役の知見を活用することで、質の高い意思決定を行っていること、取締役会で議決権を有しない監査役が中立で客観的な監査を行っていることおよび指名委員会・報酬委員会の審議に基づき役員の指名・報酬を決定しており決定過程の透明性を確保していることから、こうした体制が現時点では最適と判断しています。

取締役会は、グループの経営計画の決定や各種基本方針の決定等、当社の重要な業務執行を決定するとともに、取締役の職務の執行を監督する責務、適切な内部統制システムを構築する責務等を負います。
取締役の員数は定款上15名以内とし、このうち、原則として3分の1以上を社外取締役とします。また、取締役の任期は1年とし、再任を妨げないものとします。取締役会は、その実効性を確保するために、多様性と適正規模を両立した構成とします。2025年6月末現在、取締役会は7名の社外取締役を含む13名の取締役で構成されています。

監査役は、株主の負託を受けた独立の機関として、企業の健全で公正な経営に寄与し、社会的信頼に応えることを目的に、取締役の職務執行を監査します。監査の実施にあたっては、監査役会で定めた監査役会規則、監査役監査基準、監査方針および監査計画等にしたがい、質の高い監査を実施するよう努めています。

監査役の員数は定款上6名以内とし、このうち、原則として過半数を社外監査役とします。監査役の任期は4年とし、再任を妨げないものとします。2025年6月末現在において、監査役会は社外監査役3名を含む5名の監査役で構成されています。

当社は、当社および主なグループ会社の役員の選任および役員報酬の決定のプロセスにおける透明性の向上を図るため、社外取締役を中心とする指名委員会および報酬委員会を設置しています。

指名委員会においては、社長・取締役・監査役・執行役員の選任・解任および選任要件・解任方針等について審議し、取締役会に対して答申します。

報酬委員会においては、社長・取締役・執行役員の業績評価ならびに報酬体系および報酬水準、役員報酬の決定に関する方針等について審議し、取締役会に対して答申します。

これらの指名委員会および報酬委員会は、原則として、委員の過半数を社外委員とし、委員長は社外委員から選出します。構成員の状況は以下のとおりです。

指名委員会
委員長 片野坂 真哉(社外取締役)
委員 大薗 恵美(社外取締役)
進藤 孝生(社外取締役)
小宮 暁(取締役会長)
小池 昌洋(取締役社長)
報酬委員会
委員長 遠藤 信博(社外取締役)
委員 御立 尚資(社外取締役)
ロバート・フェルドマン(社外取締役)
松山 遙(社外取締役)
小池 昌洋(取締役社長)

コーポレートガバナンス体制を支える仕組み

取締役の選任にあたっては、会社の業態をよく理解し、会社経営に必要な広範な知識を有し、取締役会の構成員として会社の重要な業務執行を決定するに十分な判断力を有している者を選任することとしています。また、監査役の選任にあたっては、監査役としての職務能力、過去の実績・経験等を勘案し、質の高い監査を実施することによって、会社の健全で持続的な成長を確保し、社会的信頼に応える良質な企業統治体制の確立に寄与することができる者を選任することとしています。

社外取締役が存在することにより、取締役の職務執行に対する取締役会による監督の実効性を確保しています。社外取締役からの様々な見識に基づくアドバイスを受けることにより、重要な業務執行の決定を適切に行うことが可能な体制を確保しています。また、社外監査役が存在することにより、中立かつ客観的な立場からの監査体制を構築しています。監査役会による監査の実効性を高め、当社の経営の透明性・健全性を維持することが可能な体制を確保しています。

社外役員の選任にあたっては、選任要件と独立性判断基準(東京海上ホールディングス コーポレートガバナンス基本方針別表)を設けています。

2025年6月末現在、社外取締役を7名、社外監査役を3名選任していますが、上記基準に照らして当社からの独立性を有していると判断できることから、10名全員につき株式会社東京証券取引所が定める独立役員としての届出を行っています。

氏名 選任理由 取締役会等への出席状況
御立 尚資
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社取締役に就任以来、長年のコンサルティング会社での実務経験や企業経営を通じて培われた経営の専門家としての見識に基づき、この期待される役割を適切に果たしているためです。 2024年度に開催した12回の取締役会の全てに出席しました。
遠藤 信博
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社取締役に就任以来、長年の企業経営を通じて培われた経営の専門家としての見識に基づき、この期待される役割を適切に果たしているためです。 2024年度に開催した12回の取締役会の全てに出席しました。
片野坂 真哉
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社取締役に就任以来、長年の企業経営を通じて培われた経営の専門家としての見識に基づき、この期待される役割を適切に果たしているためです。 2024年度に開催した12回の取締役会の全てに出席しました。
大薗 恵美
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社取締役に就任以来、長年の企業戦略研究等を通じて培われた企業経営等に関する見識に基づき、この期待される役割を適切に果たしているためです。 2024年度に開催した12回の取締役会の全てに出席しました。
進藤 孝生
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社取締役に就任以来、長年の企業経営を通じて培われた経営の専門家としての見識に基づき、この期待される役割を適切に果たしているためです。 2024年度に開催した12回の取締役会のうち11回に出席しました。
ロバート・フェルドマン
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社取締役に就任以来、長年の金融機関におけるエコノミストとしての経験を通じて培われた見識に基づき、この期待される役割を適切に果たしているためです。 2024年度に開催した12回の取締役会の全てに出席しました。
松山 遙
(社外取締役)
同氏には、社外取締役として、取締役会に提言を行うとともに、適切な監督機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社取締役に就任以来、長年の弁護士としての経験を通じて培われた企業法務に関する見識に基づき、この期待される役割を適切に果たしているためです。 2024年度に開催した12回の取締役会の全てに出席しました。
和仁 亮裕
(社外監査役)
同氏には、社外監査役として、適切な監査機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社監査役に就任以来、長年の弁護士としての経験を通じて培われた企業法務に関する同氏の見識に基づき、適切な監査機能を果たしているためです。 2024年度に開催した12回の取締役会および11回の監査役会の全てに出席しました。
大槻 奈那
(社外監査役)
同氏には、社外監査役として、適切な監査機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が当社監査役に就任以来、長年の金融機関におけるアナリストとしての経験を通じて培われた企業経営等に関する同氏の見識に基づき、適切な監査機能を果たしているためです。 2024年度に開催した12回の取締役会および11回の監査役会の全てに出席しました。
清水 順子
(社外監査役)
同氏には、社外監査役として、適切な監査機能を発揮することを、役割として期待しています。同氏の選任の理由は、同氏が長年の金融機関における実務経験および国際金融に関する研究等を通じて培われた見識に基づき、この期待される役割を適切に果たせると判断したためです。 2024年度に開催した12回の取締役会および11回の監査役会の全てに出席しました。

(1) 取締役会の実効性評価の方法

当社は、取締役会のさらなる機能発揮に向け、毎年1回取締役会の実効性評価を実施しています。2024年度は、取締役および監査役の全員を対象に、取締役会の運営や機能発揮に関するアンケートを行いました。取締役会は、その結果等を踏まえ、取締役会の現状および今後の対応等について審議しました。アンケートの主な項目は以下のとおりです。

  • 取締役会の機能発揮の状況
  • 取締役会の運営状況
  • 取締役会における論議の状況
  • 取締役会の規模、構成および多様性
  • 指名委員会および報酬委員会の運営状況

なお、当社は2022年度に第三者機関を活用した取締役会の実効性評価を実施しており、今後も必要に応じて実施します。

(2) 取締役会の実効性評価の結果

取締役会においては、取締役および監査役が活発に発言し、自由闊達で建設的な議論が行われており、取締役会の機能発揮は概ね十分であると評価しています。
実効性のさらなる向上に向け、以下のような意見もあり、対応を行っていく予定です。

意見 取締役会が論議すべき重要課題に関する論議時間をより一層確保すべきである。
対応 「戦略論議」のみを実施する取締役会の開催を継続する。また、意見を求めたいポイントを資料に明示すること、関連の深い複数の議題の審議を纏めて行うこと等により、審議全体の効率化を図り、重要課題に関する論議時間をより一層確保する。

当社は、取締役、監査役および執行役員がそれぞれに求められる役割や責務を適切に果たすことができるよう、知識の習得および更新の機会を設けています。

(1) 2024年度の取締役および監査役の報酬等の総額等

区分 報酬等の総額 報酬等の種類別の総額 支給
人数
定額報酬 業績連動報酬 株式報酬
取締役 922百万円 450百万円 231百万円 240百万円 17名
 取締役
(社外取締役を除く)
797百万円 353百万円 231百万円 213百万円 10名
 社外取締役 124百万円 97百万円 なし 26百万円 7名
監査役 123百万円 123百万円 なし なし 6名
 監査役
(社外監査役を除く)
72百万円 72百万円 なし なし 3名
 社外監査役 51百万円 51百万円 なし なし 3名
1,045百万円 573百万円 231百万円 240百万円 23名
  1. ※1
    支給人数には、2024年6月24日開催の第22回定時株主総会終結の時をもって退任した、社外取締役ではない取締役2名および社外監査役ではない監査役1名が含まれています。
  2. ※2
    報酬等の総額および報酬等の種類別の総額には、上記※1の取締役2名および監査役1名に対する報酬等が含まれています。
  3. ※3
    株式報酬には、報酬等として付与した株式交付信託のポイントに係る費用計上額を記載しています。

(2) 役員報酬の決定に関する方針

役員報酬の決定にあたっては、「透明性」「公正性」「客観性」を確保します。

役員報酬体系は、以下の構成とします。

対象者 定額報酬 業績連動報酬 株式報酬
常勤取締役
執行役員
あり あり あり
社外取締役
非常勤取締役
あり なし あり
監査役 あり なし なし
  • 取締役および執行役員の報酬の基準額における各報酬の構成については、原則として役位の高さに応じて業績連動報酬および株式報酬の割合を高めます。

各報酬導入の目的は以下のとおりとします。

報酬の種類 目的
業績連動報酬 企業価値向上に対するインセンティブを強化するため、会社目標および個人目標を設定し、その達成度に対する評価に連動した業績連動報酬を導入する。
株式報酬 株主とリターンを共有することでアカウンタビリティを果たすため、当社株価に連動する株式報酬を導入する。

取締役および執行役員の報酬の水準は、当社業績や他社水準等を勘案し、役位別に基準額を設定の上、職責の重さを加味し、取締役会が決定します。

取締役および執行役員の報酬等のうち、定額報酬および業績連動報酬については月例で支給します。株式報酬については退任時に交付します。

取締役および執行役員の個人別の報酬等の内容およびその他役員報酬に関する重要な事項は、取締役会が決定します。なお、報酬委員会諮問事項については、同委員会の答申を踏まえ、決定します。

株主をはじめとするステークホルダーへの対応

当社は、株主総会における議決権の行使が適切になされるよう環境を整備します。具体的には、『招集ご通知』の早期発送や、集中日以外の日程での株主総会の開催、インターネットを通じた議決権行使サイトの採用等を行っています。また、株主総会における議決権の行使や剰余金の配当の支払いにおいて株主をその有する株式の内容および数に応じて平等に取り扱います。

当社は株主・投資家との対話のための活動全般を統括する業務執行役員をおき、活動を企画・実施するための専門部署を設置しています。専門部署は、決算発表、投資家向け説明会等の株主・投資家との対話に向けて、関連部署と連携して、株主・投資家に正確で偏りのない情報を提供するよう努めています。

当社は、「インサイダー取引防止規程」に基づき、未公表の重要事実の管理を徹底するとともに、未公表の重要事実を用いずに株主・投資家との対話を行っています。

政策投資として保有している株式(非上場株式および資本業務提携による出資等は除く)について、当社は、2024年5月に開催した取締役会において、当社グループのリスクポートフォリオを見直し、社会課題解決や成長分野等に対して資本を振り向けるために、2029年度末までにゼロにすることを決定しました。なお、本決定の前まで、当社は取締役会において、中長期的な取引関係の強化等の保有目的の適切性および保有の経済合理性を検証していました。

また、政策投資として保有している株式の議決権行使基準にしたがい、企業価値を毀損させる可能性がある議案については、これらを精査した上で賛否を決定しています。

当社は、「東京海上グループ経営理念」を定め、株主の負託に応え、収益性、成長性、健全性を備えた事業をグローバルに展開するとともに、お客様へ安心と安全を提供し、社員が創造性を発揮できる企業風土を構築し、広く社会の発展に貢献することにより、企業価値を永続的に高めることに努めます。

適切な情報開示と透明性の確保

当社は、「東京海上グループ ディスクロージャー方針」を定め、経営の透明性や公平性を確保することを目的として、会社の経営成績等の財務情報や経営理念、経営計画等の非財務情報の適時、適切な開示に努めます。

コーポレート・ガバナンス報告書

コーポレート・ガバナンス報告書(2025年6月23日更新)PDF

コーポレートガバナンス強化に向けた取組みの変遷