イニシアティブへの参画

東京海上グループは、世界人権宣言や国際労働基準、OECD多国籍企業行動指針を支持・尊重しています。また、国連グローバル・コンパクト、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)、持続可能な保険原則(PSI)、国連責任投資原則(PRI)をはじめとするイニシアティブへの参加を通じ、安心・安全でサステナブルな未来づくりに貢献していきます。

人権・労働・環境・腐敗防止

国連グローバル・コンパクト

国連グローバル・コンパクト(The United Nations Global Compact= UNGC)は、企業等が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することで、社会の良き一員として行動し、持続可能な社会を実現するための世界的な枠組みづくりに参加する自発的取り組みです。
国連グローバル・コンパクトが提唱する人権・労働・環境・腐敗防止に関する行動10原則の考えや内容は、東京海上グループの取り組み姿勢やサステナビリティ憲章と共通するものであることから、東京海上ホールディングスは、2005年から国連グローバル・コンパクトに署名し支持を表明しています。
なお、当社は国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンに参加し、2022年度は「防災・減災分科会」「WEPs分科会」等に取り組みました。2023年度以降も「Participant」として、これらの取り組みを推進していきます。

  • 当社は国連グローバル・コンパクト10原則に対する取り組み状況を毎年報告しています。

持続可能な金融・保険

国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI) - 持続可能な保険原則(PSI)

国連環境計画・金融イニシアティブ(T he United Nations Environment Programme Finance Initiative, UNEP FI)は、世界の400超の金融機関が参加し、経済発展と環境・サステナビリティに配慮したビジネスの在り方を調査・研究し、実践していくためのイニシアティブです。
東京海上グループは、グループ全体でサステナビリティを推進していくとの観点から、2022年1月にUNEP FIの署名主体を東京海上日動から東京海上ホールディングスに変更し、グループとして、事業活動を通じた環境・サステナビリティの取り組みを推進しています。
2022年6月にはPSI 10周年イベントに参加し、隅相談役(東京海上日動PSI署名時の社長)が祝辞を寄せる(ビデオメッセージ)等、その成功に貢献しました。2023年5月には韓国で開催されたアジア太平洋地域ラウンドテーブルにおいてアジア太平洋地域における脱炭素化への金融機関の役割に関するパネルディスカッションにパネラーとして登壇しました。

UNEP FIのPrinciples for Sustainable Insurance(PSI, 持続可能な保険原則)は、保険業界におけるESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組み状況を調査・研究し、実践するワーキンググループです。
東京海上日動は、PSIの策定メンバーであり、その趣旨や考え方に賛同して、2012年6月に起草メンバーとして署名しました。以来、世界各地の保険会社とともに、保険業界においてESG(環境・社会・ガバナンス)を考慮した活動を推進しています。2018年度からは、PSI TCFD Insurer Pilot Working Group に参加しています。TCFD提言に沿ったグローバルな保険業界の気候関連財務情報開示の枠組みづくりに取り組み、その成果物として2021年1月に公表された報告書“Insuring the climate transition”の公表に貢献しました。2022年6月にはPSIの10周年記念イベントに参加、2030年に向けESGへの取り組みの加速を求めている国連のThe Decade of Actionにも保険業界として貢献していくべきことを訴えました。

環境省・持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(21世紀金融行動原則)

21世紀金融行動原則は、2011年に、環境省の中央環境審議会の提言に基づき、環境金融への取り組みの輪を広げていく目的で、幅広い金融機関が参加した「日本版環境金融行動原則起草委員会」によりまとめられました。直面する環境・社会・ガバナンス等のさまざまな課題に対し、国内金融機関が本業において最善の取り組みを進めていくためのもので、UNEP FIやPRIと方向性を一にしており、地球の未来を憂い、持続可能な社会の形成のために必要な責任と役割を果たしたいと考える金融機関の行動原則です。
東京海上グループでは、東京海上日動が起草委員会の委員として積極的に参加し、グループ会社6社(東京海上日動、東京海上日動あんしん生命、日新火災、イーデザイン損害保険、東京海上ミレア少額短期、東京海上アセットマネジメント)が本原則の趣旨に賛同し、署名しています(2023年8月末現在)。
東京海上グループは、これからも、持続可能な社会の形成を金融・保険が後押しできるよう、取り組んでいきます。

サステナブル投資

責任投資原則(PRI)

責任投資原則(Principles for Responsible Investment(PRI))は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)・国連グローバル・コンパクトの主導で、世界の金融機関・機関投資家等が資産運用の意思決定の中で、ESG(環境・社会・ガバナンス)課題に配慮する姿勢・方針を表明し、実践していくための原則です。東京海上グループでは、以下のグループ会社が、責任投資原則(PRI)の考えに賛同し、署名しています。

署名機関(署名年月) 取り組み内容
東京海上アセットマネジメント(2011年4月) 責任投資原則(PRI)の考え方に賛同し、運用会社の立場として署名しました。同社は、各ラインの運用責任者等からなる責任投資委員会および責任投資グループを設置し、責任投資に関する基本方針、プロセス、体制を整備し、投資分析や商品開発、議決権行使の際にESG課題を考慮した取り組みを行っています。
東京海上日動(2012年8月) 責任投資原則(PRI)の考え方に賛同し、資産保有者(アセットオーナー)として署名しました。同社は、ESG投融資方針を定め、ESGエンゲージメントやESGインテグレーションの取り組みを行っています。

日本サステナブル投資フォーラム

特定非営利活動法人日本サステナブル投資フォーラム(Japan Sustainable Investment Forum(JSIF))は、欧米で積極的に行われているサステナブル投資(Sustainable Investment)やESG投資を日本で普及・発展させるための活動を行っています。ESG投資関係者の情報交換・意見交換、論議、調査研究の場として機能しており、ESG投資の健全な発展と持続可能な社会の構築をめざしています。
東京海上日動および東京海上アセットマネジメントは、日本サステナブル投資フォーラムのメンバーとして、サステナブル投資の調査研究やその健全な発展に向けた取り組みに参加しています。

気候変動・自然災害

Partnership for Carbon Accounting Financials (PCAF)

Partnership for Carbon Accounting Financials (PCAF)は、投融資に伴う温室効果ガスの排出量の計測および開示手法を開発する国際的イニシアティブで、東京海上日動は2022年1月に加盟しました。これまでに、上場株式および社債、商用ローンおよび非上場株式、プロジェクトファイナンス、商業用不動産、住宅ローン、自動車ローン、ならびにソブリン債に関する温室効果ガス排出量の計測・開示手法の開発を行っており、2022年11月には保険引受ポートフォリオに係る温室効果ガスの排出量の計測手法を開発し公表しています。
東京海上日動は温室効果ガス排出量の計測・分析に係る技術を磨いていくとともに、投融資先との脱炭素に向けた対話(エンゲージメント)の質を高めることをめざしています。

国連防災機関(UNDRR) - 災害に強い社会に向けた民間セクター・アライアンス(ARISE)

2000年に国連加盟国によって採択された防災・減災のための戦略的枠組である国連防災機関(UNDRR、The United Nations Office for Disaster Risk Reduction)は、2015年11月に、2014年に東京海上日動が参加した防災・減災のための民間セクター・パートナーシップ(Private Sector Partnership for Disaster Risk Reduction(DRR-PSP))を強化・再編し、災害に強い社会に向けた民間セクター・アライアンス(ARISE、Private Sector Alliance for Disaster Resilient Societies)を発足させました。
東京海上日動は、2022年5月にUNDRRが主催した第7回グローバルプラットフォーム会合(GP2022)・ステークホルダーフォーラムに参加し、「リスクマネージャーとしての保険会社」について発表しました。

ジュネーブ協会

The Geneva Association(GA, ジュネーブ協会)は、世界の保険会社約70社のCEOで構成される保険業界のシンクタンクです。
東京海上ホールディングス会長の永野毅は、同協会のエグゼクティブコミッティーメンバーとして、同協会が行う保険業界における重要な課題(気候変動と環境、健康と高齢化、社会経済のレジリエンス、新技術およびデータ、サイバー、賠償責任、公共政策および規制等)の調査・研究を主導・支援するとともに、「気候変動と新たな環境課題(Climate Change and Emerging Environmental Topics)」ワーキンググループの共同議長として、気候変動・自然災害リスクの調査・研究、社会への情報発信を主導しています。

ClimateWise

ClimateWiseは、英国皇太子が主催するイニシアティブで、欧州の主要保険会社等約30社が共同で気候変動にかかるさまざまなリスクと機会に関する調査・研究を行い、経済・社会生活に与えるリスクの削減に向けた提言活動を行っています。ケンブリッジ大学サステナビリティ・リーダーシップ・インスティテュートが運営しています。
東京海上グループからは、Tokio Marine KilnおよびTokio Marine HCC Internationalがこのイニシアティブに参加しています。また、Tokio Marine KilnのCROであるVivek Syalが、ClimateWise Insurance Advisory Councilメンバーに就任しています。
東京海上グループは、これからもClimateWiseの7原則に沿って、気候変動の緩和と適応に向けた取り組みを推進していきます。

アジア太平洋金融フォーラム(APFF)

アジア太平洋経済協力(Asia-Pacific Economic Cooperation, APEC) 財務大臣プロセス(Finance Ministers Process, FMP)はAPEC域内のさまざまな財務・金融課題に官民が連携して取り組むためのプラットフォームとして、2013年にアジア太平洋金融フォーラム(Asia-Pacific Financial Forum, APFF)を発足させました。東京海上日動はAPFFにメンバーとして参加し、災害リスクファイナンシングと保険(Disaster Risk Financing and Insurance, DRFI)および、サステナブルファイナンス推進に資する気候関連開示の普及に関する論議をリードしています。
DRFIに関しては、APEC-FMPの下、2019年の財務大臣会合にて域内での巨大災害債券(Cat Bonds)の活用を推進する方針が了承されたことを受け、2020年9月にCat Bondsに関するオンラインワークショップが世界銀行とAPFFの共催で開催され、APEC域内普及に資する情報・意見交換が行われました。その後2022年10月にはインドネシア、タイ、フィリピンのスピーカーを招聘したCat Bondsに関するオンラインワークショップが実施されています。
2022年4月には、パンデミックリスクに対し、官民連携してAPEC地域における財務的な備えをどのように進めるべきかについて、オンラインでのラウンドテーブルが開催され、東京海上日動は元受保険会社の立場から議論に臨んでいます。
また、サステナブルファイナンスに関しては、APFF傘下に設けられたSFDN(Sustainable Finance Development Network)にも参画し、日本のTCFDコンソーシアムに倣い、気候関連財務情報開示を促進するための体制構築をAPEC域内で展開させる活動を行っています。

  • DRFIには、複数国を束ねて国を被保険者(insured)として自然災害リスクをカバーするものから、一般の住宅・家財を持つ個人を対象に民間保険会社が地震等の保険カバーを提供し、政府が再保険者(reinsurer)とするものまで幅広いバリエーションがあります。

Insurance Development Forum

Insurance Development Forum(IDF)は、自然災害に対して脆弱な国々における保険スキームの普及促進を図る民間主導の官民連携パートナーシップとして、2016年に設立されました。東京海上グループは2018年よりIDFの運営委員会および実施委員会のメンバーとして参加しています。IDFでは災害リスク保険の普及を世界各地で進める専門家が集い、相互に経験を共有し、刺激し合います。
我が国は官民連携スキームとしての地震保険制度をはじめ、数多くの災害対応経験があることから、日本の知見は貴重視されています。一方、IDFを通じて培ったネットワークは前述のAPFFでの論議にも役立っており、当社は両イニシアティブを有機的に結ぶ役割も果たしています。

気候変動・自然関連ディスクロージャー

CDP

CDPは、世界の主要な機関投資家が連携して、世界の企業の気候変動への戦略(リスク・機会)や温室効果ガス排出量に関する開示等を求めるイニシアティブです。東京海上ホールディングスは、毎年「署名機関投資家(CDP Signatories)」として参加し、企業における気候変動・温室効果ガス排出、エネルギーに関するサーベイ調査をサポートしています。

金融安定理事会(FSB)・気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)

金融安定理事会(Financial Stability Board, FSB)の下で組織された気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climaterelated Financial Disclosures, TCFD)が2017年6月に公表した提言は、気候関連リスク・機会の情報開示の促進において中心的な役割を果たしてきました。
東京海上ホールディングスは、自社におけるTCFD提言に基づく開示への取り組みはもとより、TCFDへメンバーをおくり、2017年のTCFD提言公表に貢献する等その枠組みづくりに関わってきました。国内では「TCFDコンソーシアム」の発起人の一人および企画委員会委員として、国内外の官民関係当事者との論議・意見交換を通じ、我が国およびアジア太平洋諸国におけるTCFDの普及・促進に向け取り組んでいます。

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フォーラム

TNFDは、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)、国連開発計画(UNDP)、Global Canopy および世界自然保護基金(WWF)が発起人となり、2021年6月に発足した国際イニシアティブです。自然関連の財務情報を開示する枠組を構築し、企業等における自然関連情報の開示を促進することで、資金の流れを自然に良い影響をもたらす「ネイチャー・ポジティブ」に転換することをめざしています。
2022年1月、東京海上ホールディングスは、「自然の豊かさを守る」取り組みを一層推進していく観点から、TNFDフォーラムの取り組みに賛同し、参加しました。

環境価値創造

環境省 エコ・ファースト制度

エコ・ファースト制度は、企業が環境大臣に対し、地球温暖化対策、廃棄物・リサイクル対策等、自らの環境保全に関する取り組みを約束し、当該企業が環境分野において「先進的、独自的でかつ業界をリードする事業活動」を行っている企業(業界におけるトップランナー企業)であることを環境大臣が認定する制度です。
東京海上日動は、2008年にエコ・ファースト企業に認定されました。2014年には新規約に基づき、保険事業を通じた地球環境保護、地球温暖化対策、自然災害による被害の防止・軽減に向けた取り組み(「「Green Gift」プロジェクト等を通じたお客様参画による環境配慮型保険の提供」「産学連携を核とした気候変動や自然災害に関する研究」)等が認められ、エコ・ファースト企業として再認定を受けました。
現在、エコ・ファースト企業として推進している主な取り組みは以下の通りです。

  • 「Green Gift」プロジェクト等を通じたお客様参画による環境配慮型保険の提供
  • 2050年度までに、東京海上日動のCO₂排出量を60%削減(2006年度比)等

2020年度も、保険業界におけるトップランナー企業として、他業界のエコ・ファースト企業とともにエコ・ファースト推進協議会主催イベントに参加し、環境啓発活動を行いました。
東京海上日動は、これからも、エコ・ファースト企業として、地球環境保護、地球温暖化防止に向けた取り組みを推進していきます。

環境省「COOL CHOICE」への賛同

「COOL CHOICE」は、CO2等の温室効果ガスの排出量削減のために、脱炭素社会づくりに貢献する「製品への買換え」、「サービスの利用」、「ライフスタイルの選択」等、地球温暖化対策に資するあらゆる「賢い選択」を促す国民運動です。
東京海上日動は、地球温暖化対策のため、政府を挙げての国民運動「COOL CHOICE」に賛同し、オフィスにおける夏季・冬季の節電はもちろんのこと、商品・サービスから寄付やボランティアに至るまで、あらゆる事業活動において脱炭素に資する賢い「選択」に取り組んでいきます。

環境省・気候変動キャンペーン「Fun to Share」への賛同

環境省は、2014年3月から気候変動キャンペーン「Fun to Share」を行っています。本キャンペーンは、豊かな低炭素社会づくりに繋がる情報・技術・知恵を国民全体で共有することで、気候変動問題への関心や危機感を醸成するだけでなく、企業・団体・地域・国民がつながる機会が創出され、世界に誇れる日本初の「ライフスタイル・イノベーション」をめざしていくとされています。東京海上日動は、環境省が立ち上げた気候変動キャンペーン「Fun to Share」に賛同し、低炭素社会に向けた取り組みを積極的に行っています。

グリーン購入ネットワーク

東京海上日動は
グリーン購入ネットワークの会員です

グリーン購入ネットワークは、グリーン購入が環境配慮型製品の市場形成に重要な役割を果たし、市場を通じて環境配慮型製品の開発を促進し、ひいては持続可能な社会の構築に資する極めて有効な手段であるという認識のもとに、グリーン購入に率先して取り組む企業、行政機関、民間団体等の緩やかなネットワークと情報発信の組織として1996年に設立しました。
東京海上日動は、グリーン購入ネットワークのメンバーとして、グリーン購入を推進しています。

環境省・生物多様性のための30by30 アライアンス

30by30(サーティ・バイ・サーティ)とは、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)ことをめざし、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとするグローバル目標です。環境省は、2030年までに国土の30%以上を自然環境エリアとして保全することをめざし、2022年4月に「生物多様性のための30by30 アライアンス」を発足させました。
東京海上日動は、1999年以降マングローブ植林プロジェクトを通じて生物多様性保全を推進してきましたが、2022年度以降は「30by30 アライアンス」の設立時賛同企業としても生物多様性のための取り組みを推進していきます。

GXリーグ

GXリーグは、カーボンニュートラルに積極的に取り組む企業が、GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた挑戦を行う企業と共に、一体として経済社会システム全体の変革のための議論と新たな市場の創造のための実践を行う場として設立されました。
東京海上日動は、GXリーグにおける取り組みの1つである「市場創造のためのルール形成」において、『GX 経営促進ワーキング・グループ』にリーダー企業として73社のメンバー企業とともに参画しました。2023年3月には「気候関連の機会における開示・評価の基本指針」を公表する等、カーボンニュートラル実現に向けて、日本企業が持つ気候変動への貢献の機会面(市場に提供する製品・サービスによる排出削減等)が適切に評価される仕組みを構築することを目的として活動しています。
また、東京海上日動は2023年5月にGXリーグに参画しました。カーボンニュートラルに向けた社会構造変革のための価値提供に貢献してまいります。