東京海上グループでは、経営理念の実践にあたって、社会的責任の観点で求められる行動原則として「東京海上グループサステナビリティ憲章」を制定し、お客様、株主・投資家、代理店、取引先、社員、地域・社会および未来世代等の全ての人々の人権を尊重していくこととしています。保険は”People’s Business”と言われており、人権の尊重は東京海上グループのサステナブルな成長の土台となるものです。
東京海上ホールディングスは、世界人権宣言やOECD多国籍企業行動指針、ILO国際労働基準、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、ISO26000を支持・尊重し、国連グローバル・コンパクトに署名しています。東京海上グループは、人権にかかる国際的な行動原則・ガイドラインを十分に理解し、社会的責任にかかるイニシアティブへの参加・貢献を通じ、持続可能な社会の実現に向けて役割を果たしていきます。
「東京海上グループサステナビリティ憲章」(抜粋)
東京海上グループは、以下の行動原則に基づいて経営理念を実践し、社会とともに持続的成長を遂げることにより、「企業の社会的責任(CSR)」を果たします。
人間尊重
- すべての人々の人権を尊重し、人権啓発に積極的に取り組みます。
- 安全と健康に配慮した活力ある労働環境を確保し、人材育成をはかります。
- プライバシーを尊重し、個人情報管理を徹底します。
また、東京海上グループでは、2021年12月に「国連ビジネスと人権に関する指導原則」等に沿った「東京海上グループ人権基本方針」を新たに制定し、雇用者としての人権尊重、本業を通じた人権尊重、バリューチェーンにおける人権尊重等にグループとして取り組んでいくことを明確化しました。
「東京海上グループ 人権基本方針」
東京海上グループは、お客様の信頼をあらゆる活動の原点におき、企業価値を永続的に高めていくことを経営理念としています。この経営理念を実践するための基盤が、お客様、社会(取引先や市民社会組織を含みます)、社員、株主・投資家、未来世代などあらゆる人々の人権の尊重であり、当社は、あらゆる事業活動において、人権の尊重に取り組んでいます。本「東京海上グループ 人権基本方針」(以下、「本方針」)は、これら経営理念および行動規範に基づき、バリューチェーン全体を含めたあらゆる事業活動における人権尊重を推進する姿勢を示すものです。
本方針において表明されている人権の尊重は、東京海上グループ各社の役職員(役員、社員、派遣社員などを含むすべての社員)の一人ひとりによって、実践されるものです。
また、ビジネスパートナーに対して、本方針において表明されている原則の支持と実践を期待し、協働して人権尊重を推進することを目指します。
1. 人権の尊重
東京海上グループは、国際人権章典※1および国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則および権利に関する宣言」※2に規定された基本的な人権を尊重します。そして、ビジネスと人権に関する指導原則などの国際行動規範を支持し、これらの原則に基づく取組みを実施してまいります。また、国連グローバル・コンパクトに署名し、その10原則を支持しています。
東京海上グループは、あらゆる形態の強制労働、人身取引、児童労働、差別やハラスメント等の人間の尊厳を損なういかなる行為を許容しません。また、適用される法規制を遵守しつつ、結社の自由および団体交渉権に関する基本的な権利を尊重します。
東京海上グループは、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEPFI)・持続可能な保険原則(PSI)、国連が支援する責任投資原則(PRI)等への署名・支持を通じて、保険引受や投融資を含む事業活動においても人権を尊重し、また、保険商品の提供や投融資を通じた人権課題の解決にも取り組んでまいります。
- ※1 国際人権章典は、「世界人権宣言」、とこれを条約化した「市民的および政治的権利に関する国際規約」「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」の3つの文書の総称です。
- ※2 ILOの「労働における基本的原則および権利に関する宣言」は、「結社の自由及び団体交渉権の効果的な承認」「強制労働の撤廃」「児童労働の実効的な廃止」「雇用及び職業における 差別の撤廃」の4つの分野を、労働において最低限守られるべき基準として定めたものです。
東京海上グループは、事業活動を行う国や地域において適用される法規制を遵守します。国際的に認められた人権と事業活動を行う国や地域の法令に矛盾がある場合は、法規制を遵守しつつ、国際的に認められた人権の原則を尊重する方法を追求します。
東京海上ホールディングスの取締役会は、本方針に沿ったグループの人権の取組みについて報告を受け、監督する責任を持ちます。グループ各社の各部署は、主体的に、また、連携して、人権尊重に関する活動を推進していきます。
2. 人権尊重についての基本的な考え方
東京海上グループは、事業活動に関係する人権への負の影響を特定、評価、防止、軽減するために適切な人権デューディリジェンスを実施することに努めるととともに、これらについての説明責任を果してまいります。また、人権デューディリジェンスと関連する法規制が適用される場合は、その法規制に基づく取組みも行います。東京海上グループの事業活動が人権への負の影響を引き起こしている、或いは助長していることが明らかになった場合は、適切な手続き及び関係するステークホルダーとの対話を通じて、その是正・救済に取り組みます。
3. 雇用者としての人権尊重
東京海上グループがお客様や社会のあらゆる「いざ」をお守りする存在であるためには、「社員一人ひとりが多様な価値観や働き方を認め合い、やりがいを感じ仲間とともにいきいきと働いている」ことや、「人権を尊重した行動を積み重ね、すべての人や社会から信頼される」ことが不可欠です。東京海上グループは、労働時間や賃金を含む労働条件に関する法令を遵守し、安全と健康に配慮した活力ある職場環境の確保に努め、人材育成をはかります。したがって、東京海上グループ各社の役職員は、下記の人権の尊重を実践する主体であり、かつ、保護の対象となります。
- 強制労働、人身取引の禁止:強制労働を認めません。また、債務労働や人身取引を含む、いかなる形態の奴隷労働も認めません。
- 児童労働の禁止:児童労働を許容せず、法に定められた最低就業年齢を守ります。また、若年労働者を、危険有害労働に従事させません。
- 結社の自由と団体交渉権:適用される法規制を遵守しつつ、グループ社員の結社の自由及び団体交渉権に関する基本的な権利を尊重します。また、これらの権利を行使する組合の代表や組合員に対する、いかなる脅迫や報復措置も行いません。
- 差別・ハラスメントの禁止:性別、ジェンダー、性的指向・性自認、年齢、職業、国籍、人種、思想、信条、宗教、社会的地位または門地、心身の障がいなどに基づく、いかなる差別も行いません。また、セクシュアル・ハラスメント、パワーハラスメントを含め、身体的、精神的であることを問わず、いかなる形態のハラスメントも認めません。
- 多様性の尊重とインクルージョンの推進:グループ社員一人ひとりがお互いの個性と多様性を尊重し、意欲と能力のあるすべての社員がジェンダー・年齢・国籍・障がいの有無等に関わらず能力を最大限発揮することのできる環境を整備します。情熱とチャレンジ精神をもって取り組む社員に対して、キャリア開発と成長の機会を均等に提供するよう努めます。東京海上グループの人材に対する考え方は「Tokio Marine Group – Our People」においても示しています。
4. 本業を通じた人権尊重
東京海上グループは、商品やサービスの提供において、すべてのお客さまを公平に取り扱い、不当な理由に基づき差別することを禁止します。
お客様や社会の「いざ」を支えることで、あらゆる人や社会から信頼される“Good Company”をめざします。商品やサービスの提供において、人権への負の影響を防止・軽減するだけでなく、広く社会の安心と安全のニーズに応える商品やサービスを提供することで、すべてのお客さまの人権を促進し、包摂的な社会の実現に貢献します。
保険事業等において、個人のプライバシーを侵害しないよう、関係法令および東京海上グループ プライバシーポリシーに従い、お客様の情報をはじめ、個人情報の管理には十分注意を払い、業務上必要な目的以外には利用しません。
東京海上グループは、保険引受および投融資に係る判断等のプロセスにおいて、人権を含む環境・社会・ガバナンスの課題(ESG課題)を考慮することに努めます。
5. バリューチェーンにおける人権尊重
東京海上グループは、ビジネスパートナーとともに社会的責任を果たし、ともに持続的な発展を遂げることをめざしています。
東京海上グループは、ビジネスパートナーに対して、本方針の支持と実践を期待し、協働して人権尊重を推進することを目指します。
また、東京海上グループは、自社事業およびバリューチェーン(サプライチェーン)において奴隷労働および人身取引が生じないように努めるとともに、さまざまなステークホルダーにもその解決に向けた取組みを働き掛けてまいります。
6. 通報窓口・苦情処理
東京海上グループは、グループ各社の役職員が、人権の問題が懸念される事案について、報告・相談できるホットライン(内部通報窓口)を社内外に設置しています。社内外の窓口や監査役ホットラインの設置等を通じて、グループ各役職員に対し、複数の窓口と通報ルートの選択肢を提供しています。これらの報告・相談を理由とした、当該役職員本人や調査に協力した者に対する不利益な取り扱いや報復行為は決して許しません。また、匿名性の確保を徹底し、実効的な調査・是正措置を行うために必要な範囲でのみ情報共有を行うことで、報告・相談に関する秘密について厳重に管理しています。東京海上ホールディングスは、東京海上グループ各社による通報対応をモニターし、内部通報制度の適切な設置・運営に関する支援を行うことで、グループ各社の役職員が、報復を受ける心配なく、通報できる仕組みを整備しています。
7. 教育・啓発
東京海上グループは、グループ各社の役職員に対して、本方針の実践に必要な教育及び能力開発等を行っていきます。また、人権に関する最新情報やツールを公開し、人権を尊重する文化の醸成に努めます。
8. 報告・情報開示
東京海上グループは、人権方針の運用状況を継続的にモニタリングし、実効性を確保するため、必要に応じて改善していきます。また、社内外に対して人権尊重の取組みを定期的に開示し、透明性と説明責任の確保に努めます。
9. 改廃
本方針の改定および廃止は、取締役会において決定。ただし、軽微な修正は人事部長が行うことができます。
本方針は、東京海上ホールディングス株式会社取締役会において承認されました。
2021年12月21日制定
日々の業務運営のなかで最優先すべき重要事項をまとめた「東京海上グループ コンプライアンス行動規範」では、以下を明示し、役職員は、法令遵守と社会規範にもとることのない誠実かつ公正な活動を遂行し、公正な事業活動を行うこととしています。
「東京海上グループ コンプライアンス行動規範」(抜粋)〈対象範囲:東京海上グループ各社の役職員(派遣社員を含む)〉
この行動規範、法令、社内ルールに対する違反が認められた場合、東京海上グループ各社は、事実関係の調査、対応策の策定、監督当局等への届出、関係者の処分、再発防止策の策定等、社内ルールに従って必要な措置を講じます。
人権・環境の尊重
お客様、役職員をはじめ、あらゆる人の基本的人権を尊重します。また、地球環境に配慮して行動します。
- 差別の禁止
人権は、世界的に認められた価値基準です。性別、性的指向・性自認、年齢、職業、国籍、人種、思想、信条、宗教、社会的地位または門地等を理由とする差別や人権侵害は、決して容認しません。 - ハラスメントの禁止
セクシュアル・ハラスメント、パワーハラスメント等のいかなるハラスメントも認めません。 - 個人情報の取扱
個人のプライバシーを侵害しないよう、関係法令および東京海上グループ プライバシーポリシーに従い、お客様の情報をはじめ、個人情報の管理には十分注意を払い、業務上必要な目的以外には利用しません。 - 地球環境への配慮
地球環境の保護が重要な責務であるとの認識に立ち、関係法令および各種規制を遵守し、地球環境との調和、環境の改善に配慮して行動します。
人権尊重にかかるマネジメント態勢、および各種取り組み
東京海上ホールディングスは、グループサステナビリティ委員会の下にオペレーション部会・人権分科会を設置し、グループの人権尊重の方針制定、取組推進等に向けた論議を行っています。また、グループ会社の業務運営に対して、人権・コンプライアンス・リスク管理の取り組み方針を策定の上、定期的にモニタリングを実施し、人権尊重に係る問題の把握リスクの対策を実施しています。
人権デューディリジェンス
東京海上グループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権デューディリジェンスの仕組みを構築しています。東京海上グループにとって、人権デューディリジェンスとは、企業活動の人権への負の影響を防止・軽減するための予防的かつ主体的な「良い会社」になるための継続的なプロセスのことをいいます。上記のプロセスに沿って、東京海上グループは、2017年に経済人コー円卓会議日本委員会、2022年に外部の有識者、専門家の協力を得て人権リスク評価を実施しており、今後、事業活動の大幅な見直し等を踏まえて定期的に更新していく予定です。人権リスク評価は、国内外グループ会社を対象としており、リスク発生防止策を講じるべき、主要なステークホルダーに対する人権リスクを特定しました。詳しくは、2022年に実施した人権リスクマップの結果をご覧ください。
人権リスクマップ 目的と特定プロセス
人権リスク特定の目的
- 東京海上ホールディングスでは、経営理念の実践にあたって、社会的責任の観点で求められる行動原則として「東京海上グループサステナビリティ憲章」を制定し、お客様、株主・投資家、代理店、取引先、社員、地域・社会および未来世代等の全ての人々の人権を尊重していくこととしています。また、「東京海上グループ人権基本方針」を制定し、雇用者として、本業を通じて、バリューチェーンにおける人権尊重に取り組んでいます。
- 東京海上ホールディングスは、世界人権宣言やOECD多国籍企業行動指針、ILO国際労働基準、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、ISO26000を支持・尊重し、国連グローバル・コンパクトに署名しています。私たちは、人権にかかる国際的な行動原則・ガイドラインを十分に理解し、社会的責任にかかるイニシアティブへの参加・貢献や人権尊重/人権デューディリジェンスの取組みを通じ、持続可能な社会の実現に向けて役割を果たしていくため、特に、私たちの事業に関係する主要なステークホルダーの人権課題を特定しました。
特定プロセス*1
Step 1: 人権課題の整理
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて、世界人権宣言やOECD多国籍企業行動指針、ILO国際労働基準、SA8000を参考に、事業に関連すると想定される人権課題を整理。
Step 2: 人権課題の評価と特定
主要なステークホルダー(自社、代理店を含む取引先、投融資先、保険引受先)にとって最も関係の深い人権課題を評価、特定。評価、特定にあたっては以下のデータや方法を用いて人権リスクの発生可能性と深刻度も評価し、人権課題を特定。
発生可能性*2 | 深刻度*2 | |
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内部通報制度の活用状況 | ![]() |
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海外子会社CSA*3データ | ![]() |
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社内ヒアリング・論議 | ![]() |
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NGO等からの要請内容 | ![]() |
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国際的な団体が発行するガイドライン(UNEPFI、British International Investment) | ![]() |
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保険業界(同業他社)のリスク評価結果 | ![]() |
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Step 3: 外部レビュー
人権分野における専門家・アドバイザーとの意見交換会の実施
Step 4: レポーティング
上記を踏まえた本資料の作成・公表
- *1東京海上グループでは、2017年に経済人コー円卓会議日本委員会、2022年に外部の有識者、専門家の協力を得て人権リスク評価を実施しており、今後、事業活動の大幅な見直し等を踏まえて定期的に更新していく予定です。
- *2〇マークの有無は、そのデータ・方法を用いて人権リスクの発生可能性または深刻度の評価を実施していることを示します。
- *3海外子会社が、所定の内部統制基準(Control Standard)に基づき適切に業務運営が行われているかどうかを確認するために毎年実施している自己評価(Control Self Assessment)のこと。
人権リスクマップ 特定・評価の結果
〇印:各事業活動(ステークホルダー)において特定された人権課題
事業活動(ステークホルダー) | |||||
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人権課題 | 雇用者 (役職員) |
バリューチェーン (保険代理店を含む取引) |
本業 (保険のお客様) |
本業 (投融資先) |
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強制労働・人身取引 | ![]() |
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児童労働 | ![]() |
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差別・ハラスメント | ![]() |
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結社の自由・団体交渉権 | ![]() |
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労働時間・賃金 | ![]() |
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労働安全衛生 | ![]() |
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移民労働者/外国人労働者の待遇(※1) | ![]() |
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プライバシーに対する権利 | ![]() |
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コミュニティへの負の影響(※2) | 周辺住民の健康 | ![]() |
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土地の問題、移住 | ![]() |
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生活・生計 | ![]() |
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水へのアクセス、衛生 | ![]() |
![]() |
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先住民の権利 | ![]() |
![]() |
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ハイリスクな状況(※3) | ![]() |
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救済へのアクセス(通報窓口・苦情処理) | ![]() |
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- (※1)オフィスワークではなく、かつ、専門技術に関する免許・資格等を要しない定型的な作業(単純労働や反復作業)に従事する目的で雇用された外国籍労働者を指します。
(例:管理系の業務に従事する外国籍従業員は、本類型には含まれません。) - (※2)事業活動による環境への悪影響、生物多様性の損失、災害の発生等で引き起こされる地域住民の人権への負の影響を示しています。
- (※3)人権侵害の危険性が高い特定の状況(紛争、政治的不安、腐敗が蔓延した状況等)で事業を展開することによる人権侵害への関与リスクを指します。
特定した人権リスクの軽減対策・救済措置
事業活動(ステークホルダー) | ||||
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雇用者 (役職員) |
バリューチェーン (保険代理店を含む取引先) |
本業 (保険のお客様) |
本業 (投融資先) |
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人権尊重についての基本的な考え方 |
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各事業活動における方針 |
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軽減対策・救済措置計画対象拠点 |
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リスク軽減・予防・救済措置(具体的な取組み事例) |
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- *1 FSC (Forest Stewardship Council®) 認証は、環境配慮に加え、林業や林産物産業における人権の尊重を保証するツールでもあり、FSC認証製品の購入は人権に配慮した製品の購入となります。
グループ内での人権尊重
グループ各社では、全社員およびともに働くすべての人が差別やハラスメントのない活力ある企業風土を築いています。
東京海上日動では、毎年、年度初に「人権関連 基本方針・施策」を策定し、人権啓発推進体制のもと、全ての部店における人権関連業務の取り組みを支援し、年度末には各部店の取り組み状況の点検を行い、継続的にPDCAサイクルを回して状況調査、課題抽出、改善策を講じています。
(主な取り組み)
- 人権啓発研修(全社員受講)の実施と人権を意識した日常業務の実践
- ダイバーシティ&インクルージョンの実現(社内ノーマライゼーションの実現、障がい者の雇用と定着の推進)
- ハラスメント防止の啓発と適切な対応
- 公正採用選考
- 代理店向け人権啓発の取り組み
人権啓発推進体制(東京海上日動)

人権啓発に関するモニタリングプロセス(東京海上日動)
- 1.人権啓発の推進に向けた方針を策定し徹底する。
- 2.社長を責任者とする人権啓発推進の組織体制を整備する。
- 3.全役職員を対象とした人権啓発研修を年1回以上実施する。
- 4.公正採用選考の実施に向けた方針を策定し、徹底するとともに、「公正採用選考人権啓発推進員」を設置する。
- 5.ノーマライゼーションを推進する。(障がいがある社員の積極採用およびソフト・ハード両面の職場環境の整備)
- 6.職場におけるハラスメントの防止に向けた規定を策定し、社内相談窓口を設置する。
- 7.代理店における自主的な人権啓発の取り組みを依頼し、支援する。
人権啓発研修
グループ各社では、毎年、全社員およびともに働くすべての人が参加する職場内での人権啓発研修やe-Learning研修などを実施し、差別やハラスメントのない活力ある企業風土を築いています。研修は社会課題を反映したテーマで行い、同和問題、ノーマライゼーション、LGBTQ+、ハラスメント、在留外国人やSDGなど数々の人権問題を広く学んでいます。
東京海上日動では、人権啓発全店推進本部、各部店推進委員等による推進体制を設置し、毎年「職場内人権啓発研修」の100%受講を維持しているほか、役員セミナーはじめ階層別研修を実施しています。また、人権に関する最新情報やツールを社内イントラネットにて公開し、常時全社員が活用できるようにしている等、人権尊重文化の醸成に努めています。加えて、代理店に対しても、社員同様さまざまな研修ツールを提供し人権啓発研修の実施を支援しています。
「人権標語」の募集・表彰制度等を通じた人権尊重文化の醸成
毎年12月4日~10日の人権週間にちなみ、職場・家庭・地域社会において、人権尊重の重要性について理解を深め、人権意識の高揚を図ることを目的に、東京海上グループ全社員および家族を対象に「人権標語」の募集を行っています。入選作品については、社内イントラネットとグループ報および各職場にポスターを掲示して人権尊重意識の浸透を図っています。
人権の視点を意識した日常業務の実践、差別事象を看過しない対応の徹底
東京海上日動では、お客様向けに発信する広告や保険募集文書を含め、日常業務においても人権尊重の観点から問題となる表現(イラスト、写真・動画を含む)や文言がないか、必要のない個人情報を取得しているようなことはないかを確認する文書点検体制を整えています。また、差別事象を発見した場合や遭遇した場合の対応ルールを定め社内への周知を行うことで適切に報告・対応を行える体制を整えています。
相談窓口(ホットライン)
社内相談窓口に加えて社外専門家が受け付ける相談窓口を設置し、利用方法や相談窓口の信頼性向上に向けた取り組みを各種媒体を通じて周知しています。年に一度、グループ内役職員を対象としたアンケートを通じて、各社の相談窓口の認知度や信頼性等の観点で社員の声を把握し、社員がより働きやすい職場環境を実現するよう努めています。
バリューチェーンでの人権尊重
東京海上グループは、ビジネスパートナーの皆様とともに、公平・公正な取引や人権尊重、環境保護、情報セキュリティ等に取り組んでいくための行動規範「責任ある調達に関するガイドライン」を制定し、バリューチェーン全体を通じて責任ある調達・調達慣行を推進しています。
東京海上日動では、社会的責任の観点から、取引先(調達先・業務委託先)に「取引における行動指針」を交付し、人権尊重に関連する領域を含め、「法令等・社会規範の遵守」「公平・公正な取引の推進」「情報管理の徹底」「環境への配慮」への取り組みを要請しています。
企業のサプライチェーン構築における人権リスク低減取り組みを支援
世界にまん延する強制労働・児童労働等の人権問題を解決には、政府機関の取り組みだけでなく、グローバル企業がそのサプライチェーン全体で責任をもって対処してもらいたいとの要求が高まっています。この問題への対処が不十分であったことによって、グローバル企業のブランド価値が大きく低下し、製品不買運動等に発展するケースも散見されます。そこで、東京海上日動は、2017年度より特定非営利活動法人経済人コー円卓会議日本委員会(CRT日本委員会)と業務提携し、世界に拡がるグローバル企業のサプライチェーン内で発生するおそれのある強制労働や児童労働などの人権リスクを低減する取り組みを支援しています。東京海上日動は、「責任あるサプライチェーン」の推進に取り組む企業にCRT日本委員会を紹介し、当該企業はCRT日本委員会のアドバイスを受けてそのバリューチェーン全体における人権リスクの低減を図る体制を整備します。そして、東京海上日動は、CRT日本委員会のアドバイスを受けた企業が、そのサプライチェーンの構築において人権リスクについて十分な対策を講じていたにもかかわらず、海外における2次・3次製造委託先などで隠れた人権リスクが発覚した際に、緊急対策を講じることによってかかる追加コストなどについて、オーダーメイドで保険を設計・提供します。東京海上グループは、これからもグローバル企業のサプライチェーン構築を支援していきます。

サステナブル投融資での人権尊重
投資・融資においてESG(環境・社会・カバナンス)に配慮することは、長期的なリスク・リターン向上の観点から重要性を増しています。東京海上日動は、2012年6月、保険業界が果たすべき社会的な役割と責任を重視し、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「持続可能な保険原則(PSI)」に起草メンバーとして署名しました。また、東京海上アセットマネジメントは2011年4月、責任投資原則(PRI)の考え方に賛同し、運用会社の立場として署名、東京海上日動は保険会社として保険引受や投資分析等において、ESGを考慮した取り組みを進めてきたことをふまえ、2012年8月、責任投資原則(PRI)に署名しました。東京海上グループではPRIおよびPSIに関連する活動を通じて、投資・融資における人権への取り組みを強化していきます。
2015年英国現代奴隷法、2018年豪州現代奴隷法への対応
現代奴隷法 声明文
東京海上日動は、2015年英国現代奴隷法(UK Modern Slavery Act 2015)に基づき、2016年以降毎年声明文を公表しています。2018年豪州現代奴隷法(Modern Slavery Act 2018)に対しても、2020年から毎年声明文を豪州政府当局に報告(登録)しています。今後も確実に報告を実施するとともに、社員やビジネスパートナーとともに、奴隷労働や人身取引が発生することのないように取り組んでまいります。
「UK Modern Slavery Act 2015」に関する声明
「Modern Slavery Act 2018」に関する声明
現代奴隷(Modern Slavery)とは
奴隷状態や隷属状態、あらゆる形態の強制労働、人身取引等のことをいいます。
国際労働機関(ILO)は2014年の調査で、強制労働による犠牲者は世界で約2100万人(2012年時点)、違法利益は毎年1500億ドル(推定)に達していると報告しており、奴隷労働および人身取引は現代においても深刻な社会問題となっています。
2015年英国現代奴隷法
英国政府は、強制労働等現代的な奴隷労働や人身取引を防止するために、2015年3月に英国現代奴隷法(UK Modern Slavery Act 2015)を制定し、同年10月に施行しました。
同法54条は、年間売上高3600万ポンド以上の、英国で事業を行う企業に対し、会計年度毎に自社事業およびバリューチェーン(サプライチェーン)において奴隷労働および人身取引が生じないようにするためにとった措置について公表することを求めています。
2018年豪州現代奴隷法
英国に続き、オーストラリア政府も2018年1月に現代奴隷法(Modern Slavery Act 2018)を施行しました。
年間連結収益が1億豪ドルを超えるオーストラリアで事業を行う企業に対し、会計年度ごとに1回、当局にオペレーションやサプライチェーンにおける現代奴隷に関するリスク評価方法や軽減措置等について報告(登録)することを求めています。