環境・社会リスクへの対応

東京海上グループ 環境・社会リスクへの対応方針

東京海上グループは、「安心と安全をお届けすることにより、お客様や地域社会の“いざ”をお守りすること」を事業の目的としており、事業を通じて社会のお役に立ち続けることで、100年後もお客様や社会から必要とされるGood Companyをめざしています。

これまで私たちは、長年にわたり保険事業で培った知識と経験を活かして、安心と安全の提供を通じて社会の発展に貢献できるように努めてきました。これからも社会課題の解決に取り組み、安心・安全でサステナブルな未来づくりに貢献することで、グループの企業価値を永続的に高めながら、当社を取り巻く全てのステークホルダー、更には幅広く社会全体のお役に立つ価値を創りだしていきます。

東京海上グループは、環境・社会に対して負の影響を与えるリスクに留意し、取引先の環境・社会への配慮状況等を踏まえて取引(保険引受・投融資)を行います。また、事業活動の結果として生じる環境・社会に対する負の影響の低減を、対応すべき経営上の重要課題と位置づけ、国際的な行動原則やガイドラインも参考にしながら適切に対応します。

特定・評価する環境・社会リスク

東京海上グループは、環境基本方針・人権基本方針に基づき、環境・社会に対して負の影響を与えるリスクの適切な把握・管理に努めます。例えば、森林伐採は環境に負の影響を及ぼすリスクがあるだけでなく、人権侵害のリスクも内包するなど、その影響はさまざまです。これらを適切に把握し管理するため、リスクの性質、重大性、ステークホルダーからの要請等を踏まえて、環境・社会リスクを特定し、当該リスクが発生する可能性の高いセクターを特定します。

特定セクターに対する方針

1. 非人道兵器セクター

  • 生物兵器
  • 化学兵器
  • クラスター弾
  • 対人地雷
非人道兵器セクターは、人道上の懸念が大きいことを踏まえ、非人道兵器の製造に対する取引(保険引受・投融資)を実行しません。

2. 石炭火力発電所

石炭火力発電は、他の発電方式と比較して、温室効果ガスの排出量が多く、さらに硫黄酸化物や窒素酸化物などの有害物質を発生させます。

気候変動や大気汚染などの環境負荷のリスクが高いことを踏まえ、新設・既設に関わらず、石炭火力発電所(※1)に対する新たな取引(保険引受・投融資)を実行しません。

3. 炭鉱開発

石炭火力発電所と同様に、発電事業のための炭鉱開発は、将来の火力発電所等での燃焼を通じた温室効果ガス排出量増加をもたらす可能性があります。また、労働者の労働安全衛生へのリスクや有害廃棄物による地域の生物多様性への影響も認識しています。

気候変動、生態系、人権等への負の影響を踏まえ、新設・既設に関わらず、炭鉱開発(※1)に対する新たな取引(保険引受・投融資)を実行しません。

4. オイルサンド

オイルサンドの採掘には、より多くのエネルギーと水資源を必要とする採掘・精製工程により、在来型の石油・ガスの採掘方法と比較して多量の温室効果ガスを排出する可能性があることを認識しています。また、先住民の権利を侵害するリスク、野生生物や生態系への悪影響も認識しています。

気候変動、生態系、人権等への負の影響を踏まえ、オイルサンドの採掘事業に対する新たな取引(保険引受・投融資)を実行しません。

5. 北極圏における石油・ガス

北極圏(北極野生生物国家保護区(ANWR、Arctic National Wildlife Refuge)を含む、北緯66度33分以北の地域)における石油・ガスの採掘事業は、希少生物や海洋生物等の生息地や生態系を変化させる大きなリスクを伴います。また、先住民の生活や文化に悪影響を及ぼすことも認識しています。

生態系や生物多様性の観点、先住民の権利に与える負の影響を踏まえ、北極圏における石油・ガスの採掘事業(※2)に対する新たな取引(保険引受・投融資)は実行しません。

なお、東京海上グループの気候変動リスクに関する取引方針(保険引受・投融資)については、「気候変動に対する当社の基本的な考え方」をご参照ください。

  • (※1)パリ協定の合意事項達成に向け、CCS/CCUS(二酸化炭素回収・貯留/二酸化炭素回収・有効利用・貯留)や混焼などの革新的な技術・手法を取り入れて進められる案件については、慎重に検討の上、対応を行う場合があります。
  • (※2)パリ協定に沿った脱炭素計画を有する事業/企業は除きます。

東京海上グループ 責任ある調達に関するガイドライン

東京海上グループは、ビジネスパートナー(東京海上グループに物品や役務を提供するサプライヤー、業務委託先、代理店などの事業者)の皆様とともに、バリューチェーン全体を通じて責任ある調達および調達慣行を推進します。そして、安心・安全で持続可能な社会の実現と持続的な成長をめざします。
責任ある調達に関するガイドライン(以下、「本ガイドライン」)は、東京海上グループにおける関連方針等を踏まえ、責任ある調達を推進するためのガイドラインとして制定しており、ビジネスパートナーの皆様にもご理解・ご協力をお願いする事項を定めています。また、ご自身のビジネスパートナーに対しても、本ガイドラインに沿った取組みへのご理解・ご協力をお願いすることが期待されます。

  • 東京海上グループ コンプライアンス行動規範、東京海上グループ サステナビリティ憲章、東京海上グループ健康憲章、東京海上グループ人権基本方針、東京海上グループ環境基本方針 等

1. 公平・公正な取引

1.1 法令遵守・国際規範の尊重
事業活動にあたっては、適用される各種法律・規則を厳格に遵守します。国際規範を尊重し、各国の法令を遵守するとともに、東京海上グループ各社が事業を展開する各国の慣習・文化を尊重します。各種法律・規則には、環境、人権、労働、製品・安全関連の法令・規則を含みます。
1.2 公正かつ自由な競争
独占禁止法等の関係法令を遵守して事業を遂行します。談合やカルテル等、公正で自由な競争をさまたげる行為を行いません。
1.3 商品・サービスの品質・安全性
各国・地域の法令等を遵守し、商品サービスの品質や安全性の確保・向上に努めます。
1.4 知的財産権の保護
著作権、商標権、特許権等の知的財産権を尊重し、これらの権利を侵害しないよう、十分に留意します。
1.5 反社会的勢力との取引禁止
反社会的勢力による圧力に屈することは、結果的に反社会的な行為を助長することになります。自らの社会的責任を十分に認識し、反社会的勢力に対しては、毅然とした態度を維持していきます。
1.6 マネー・ローンダリングの防止
自らの行う業務がマネー・ローンダリングやテロ資金供与および大量破壊兵器の拡散金融に利用されることがないよう、防止に努めます。
1.7 政治活動・政治資金、腐敗防止
選挙、政治活動、政治資金等に関する法令を遵守し、公正な姿勢を貫きます。業務上の地位を利用して、金品その他の不正な利益を得ることや、法令に違反したり、社会的に不相当な接待・贈答の授受をすることは認めません。また、公務員またはこれに準じる者への不当な接待・贈答・便宜の供与その他の利益の供与を行うことは認めません。
1.8 通報者の保護
内部通報制度の整備に努め、通報者の匿名性を保護し、通報者等に対する報復を排除します。

2. 人権尊重と労働

2.1 強制労働、人身取引の禁止
強制労働を認めません。また、債務労働や人身取引を含む、いかなる形態の奴隷労働も認めません。
2.2 児童労働の禁止
児童労働を許容せず、法に定められた最低就業年齢を守ります。また、若年労働者を、危険有害労働に従事させません。
2.3 結社の自由と団体交渉権
労働者の結社の自由および団体交渉権に関する基本的な権利を尊重します。
2.4 差別・ハラスメントの禁止
性別、ジェンダー、性的指向・性自認、年齢、職業、国籍、人種、思想、信条、宗教、社会的地位または門地、心身の障がいに基づく、いかなる差別も行いません。また、セクシュアル・ハラスメント、パワーハラスメント、体罰、いじめ等の非人道的な扱いを含め、身体的、精神的であることを問わず、いかなる形態のハラスメントも認めません。
2.5 多様性の尊重とインクルージョンの推進
労働者等一人ひとりがお互いの個性と多様性を尊重し、意欲と能力のあるすべての労働者等が性別、ジェンダー、性的指向・性自認、年齢、職業、国籍、人種、思想、信条、宗教、社会的地位または門地、心身の障がいの有無に関わらず能力を最大限発揮することのできる環境の整備に努めます。情熱とチャレンジ精神をもって取り組む労働者等に対して、キャリア開発と成長の機会を均等に提供するよう努めます。
2.6 適切な労働時間管理と賃金の支払
労働関連法令を遵守し、適切に労働時間の管理や賃金・給与・報酬の支払を行います。
2.7 労働安全衛生と健康管理
労働者等の安全や健康、生活条件に配慮し、活力ある職場環境の確保および労働者等の健康増進に努めます。

3. 地球環境の保護

3.1 気候変動対策
気候変動対策を、気候変動の緩和・適応の両面から進め、地球環境の保護・環境価値の創出を推進します。再生可能エネルギーの分野における商品・サービスの提供等を通じて、クリーンエネルギーの普及を促進し、脱炭素社会への移行やカーボン・ニュートラルの実現に貢献していきます。
3.2 災害レジリエンス
災害等の緊急事態に備え、平時より事業継続計画書を制定するなど危機管理態勢の整備に努めます。災害発生時には、人命を最優先とした行動をとりつつ、正確な状況の把握や迅速かつ的確な指示・行動によって混乱の回避や適切な調達を維持しながら、業務継続および災害からの復旧に努めることで災害レジリエンスの向上に貢献していきます。
3.3 環境負荷の低減と資源の有効利用
資源・エネルギーの消費や廃棄物の排出による環境への負荷を認識し、省資源、省エネルギー、脱炭素・低炭素、資源循環、自然共生およびグリーン購入等をバリューチェーン全体の視点で推進し、環境負荷の低減に努めます。資源の削減、再利用、再資源化(3R)を推進し、サーキュラーエコノミーの構築に貢献していきます。
3.4 自然資本と生物多様性の保全
地球環境との調和、環境の改善に配慮した事業活動を実践し、環境保護活動等を通じて自然資本や生物多様性・湿地の保全、ネイチャー・ポジティブの実現に貢献していきます。

4. 情報セキュリティ

4.1 個人情報・プライバシーの保護
個人のプライバシーを侵害しないよう、関係法令やプライバシーポリシーに従い、個人情報等の管理を徹底します。
4.2 機密情報の取扱い
自社のみならずお客様や第三者から受領した機密情報については、社内等のルールに従って適正に管理し、権限のない者に機密情報を開示したり、利用目的以外のために機密情報を利用しません。
4.3 サイバーセキュリティの推進
サイバーセキュリティの確保・強化のための対策を講じ、被害の防止・軽減に努めます。

5. 管理体制の構築と情報開示

5.1 苦情処理メカニズムの構築
自社やビジネスパートナーの労働者が利用可能な苦情処理メカニズムの構築、運用、継続的改善に努めます。
5.2 情報開示・コミュニケーション
適時適切な情報開示やビジネスパートナーへのエンゲージメントを通じて、ステークホルダーとのコミュニケーションを充実します。

2023年3月2日制定