Vol.2 未来世代への取り組み

気候変動対策や生物多様性の保全等を通じて、未来世代へ持続可能な環境を引き継ぐこと、子どもたちへの教育啓発を通じて未来世代の挑戦を支えることは私たちの責務です。
東京海上グループは、さまざまなステークホルダーの未来を見据え、「未来世代」をステークホルダーに位置付けました。未来の世代に持続可能な環境・社会を引き継ぐために、事業活動・社会貢献を通じて、気候変動対策の推進、自然の豊かさを守る取り組み、子どもたちへの教育・啓発に取り組んでいます。

2022年度はグループ横断のグローバルな検討チームを立ち上げ、未来世代への貢献に向けた取り組みの議論を行い、注力すべき3つのテーマと、優先的に取り組む5つの取り組みを特定しました。

注力テーマ・自然資本の回復/気候変動対応の主な取り組みの概要は植林活動(マングローブ・森林の植林・アマモ場の再生)自然資本への投資(自然資本を対象としたインパクト投資、一般事業投資・運用商品の展開)注力テーマ・未来を担う人材の育成の主な取り組み概要は児童・学生への教育支援と産学連携(教育授業の開催と教育機関との連携を通じた人材育成)事業活動への参画支援(「高校生へのインターン・若手社員への経営参画」機会の提供)注力テーマ・サーキュラーエコノミーへの移行支援の主な取り組み概要は、保険を通じた廃棄削減とリサイクル促進の支援(財物保険での損害品の再生・再利用の促進)

これまでの取組み

東京海上グループが、これまでグローバルに展開してきた未来世代に向けた取り組みの一部をご紹介します。

「海を守る活動」の展開

東京海上日動は、2022年10月以降、「海を守る活動」を本 格的に開始し、「アマモ場の保全・再生活動」、「プラスチックごみ削減の取り組み」や本業を通じた海の環境保護に取り組んでいます。「アマモ場の保全・再生活動」は、海の環境を取り巻くさまざまな課題題(海水温上昇、海洋酸性化、プラスチックごみ問題、酸素濃度の低下、海洋資源の減少)を解決する手段として近年注目されており、「水質浄化」、「生物多様性保全」、「大気中のCO2を吸収・固定」等の効果が期待されています。

大学と連携した学生支援

米国PUREでは、未来世代への投資の一環として、投資ポートフォリオの1%をインパクト投資に充てています。最近では、経済的な余裕のない学生にも質の高い教育を提供することを使命とする大学と提携をしました。230万ドルの投資は、廃墟となった病院の建物を改修し、新しい大学院プログラムや銃撃犠牲者への追悼施設等を設置するのに役立てられる予定です。この取り組みは、大学に授業料と観光収入をもたらすと同時に、サウスカロライナの歴史におけるアフリカ系アメリカ人への貢献を記念する重要なサービスを提供することにもつながります。

消火栓活動による雇用の創出

南アフリカのHollard・Insureチームは、ツワネ市、国家防災センター(NDMC)との官民パートナーシップにより、「ツワネ-Hollard 消火栓活動」を立ち上げ、15人の失業中の若者がツワネ市全域の約3,500の消火栓を点検する訓練を受けました。市内の消火栓が正常に作動する状態を確保するとともに、雇用や技能開発の機会の創出に貢献しています。南アフリカ統計局によると、火災は南アフリカにおける事故死の原因の第4位に入っており、毎年約30億ランド(約246億円)の保険損害をもたらすと推定されています(保険未加入や未報告の損害は含みません)。

気候変動対策の推進

グリーン電力の調達やマングローブ植林で、カーボン・ニュートラルを達成

東京海上グループは、事業活動に伴うCO2排出量の削減に努めており、各国主要拠点でのグリーン電力調達等により、2021年度のCO2排出量は、対前年度7%の削減となりました。また、アジア太平洋地域でCO2固定効果のあるマングローブ植林に継続して取り組むことで、2013年度から9年連続で、CO2吸収・固定量が排出量を上回るカーボン・ニュートラルを達成しています。2050年に向けた世界的な脱炭素社会への移行に貢献するために、これからも、環境負荷削減や「カーボン・ニュートラル」の取り組みを推進してまいります。

子どもたちへの教育・啓発

東京海上グループは未来世代によりよい環境・社会を引き継ぐため、子どもたちとともに環境・社会課題への解決を考えるプログラムを実施する等、教育・啓発の機会を提供しています。
国内では、公益財団法人を通じた奨学金・交通遺児助成の運営等、経済的に厳しい状況にある学生たちの学習・進学の支援を行っています。また、環境啓発「みどりの授業」、防災啓発「ぼうさい授業」、キャリア教育プログラム「リスクと未来を考える授業」を展開し、2021年度末の累計受講者は、13万人を超えました。海外でも東京海上日動(中国)有限公司やTokio Marine Indonesiaは「ぼうさい授業」、南アフリカHollard Groupが金融教育「StreetWise Finance」を推進しており、これらの活動は社員によるボランティアを中心に展開しています。
東京海上グループでは、社員の社会貢献活動参加率目標(延べ)100%を設けて全社員参加型の社会課題解決の取り組みを推進しており、2021年度は国内外グループ会社において100%を達成しました。

「みどりの授業」の様子