用語集

あ行

ROE
自己資本利益率(株主資本利益率)のこと。企業における自己資本(株主資本+内部留保)に対する当期純利益の割合のことをいい、株式投資の際の判断基準の一つとなる。
ROEは企業が保有する自己資本をいかに有効活用して利益を上げるか、つまり株主価値がどれだけ高められているかという資本効率を示す指標となる。類似の指標に「ROA」アールオーエーがあるが、こちらは総資産(自己資本+借入金などの負債)に対する当期純利益の割合 のことをいい、企業がどれだけ収益率の高い事業に投資しているかを示している。
IFRS
「国際財務報告書基準」の略称。英国のIASB(国際会計基準審議会)が世界で単一の会計基準を目指して策定したもので、欧州連合 (EU)が域内の上場企業に強制適用し、現在、160を超える国 地域が採用している。
ERM (Enterprise Risk Management)
リスクベース経営のこと。企業などの組織体がその目的達成のために行う意思決定や業務遂行などにおけるすべてのリスクに関して組織全体の視点から総合的なリスク管理を行うリスクマネジメント経営手法のことをいう。当社および東京海上日動ではリスクベース経営体制の強化に取り組んでおり、リスクを定性的・定量的側面から捉えて総合的なリスク管理を行うことで健全性を維持し再保険の活用等により限られた資本を有効に活用して収益性(資本効率)の向上を図っている。金融庁でも主要な保険会社・グループを対象にERMヒアリングを実施しリスク管理態勢の整備状況についての検証を行っている。
異常危険準備金
責任準備金の一つで、日本の保険業法に基づき、通常の予測を超えるような保険金支払いに備えて毎年一定額を積み立てる準備金のこと。異常危険準備金は保険種目グループに分けて各々に正味保険料に一定割合を乗じた金額を積み立て、異常災害損失が生じた場合に取り崩す。損保事業において大数の法則が単年度で成り立つものもあるが、大規模災害のように数十年、数百年といった長期間が経過して初めて均衡するものもあるため必要となる。
MCEV (Market Consistent Embedded Value)
生保事業の価値評価・業績評価を示す指標で「修正純資産価値(貸借対照表の純資産に実質的な資本として内部留保されている負債および有価証券含み益等を加えた金額)+保有契約価値(保有契約から将来見込まれる利益の現在価値)」で計算される。ヨーロッパ・カナダ等で広く採用されている指標であるが、日本でも損保系生保会社を中心に10社を超える会社が採用している。現在の日本の生命保険会社の財務会計は契約者保護の観点から保守性に重点を置いているため契約当初は利益が過小に評価されるという特徴があり、生命保険の価値評価・業績評価を行う観点から見ると限界があるとされる。MCEVはこのような財務会計上の保守性を修正し事業実績実態を反映して適切に価値評価・業績評価ができると考えられている。MCEVの計算手法は様々であるが、あんしん生命では計算基準の整合性を高め ディスクロージャーの基準を統ーする目的から、'08年6月に欧州CFOフォーラムが公表したMCEV原則(市場整合的EV原則)に準拠したEVを'15年3月末より開示することにした。

か行

既経過保険料
個々の保険契約の保険期間は保険会社の事業年度をまたがるため、一定期間における計上保険料の合計を算出するには、その間の個々の契約ごとに入金保険料を保険期間であん分して既経過保険料を算出する必要がある。財務会計上の計算は12分の1法による。
コンバインドレシオ 略C/R
損害保険会社の正味損害率と正味事業費率との合計値のことで「合算率 」ともいう。保険料収入に対する保険金支払いや事業費の支出の割合を示すもので損害保険会社の収益力を示す重要な指標の一つ。コンバインドレシオが低いほど保険収益力が高いことを示し、反対に100%を超えると保険収益面では赤字になることを示す。

さ行

再保険
元受保険(原保険)の責任の一部または全部を他の保険者に移転し(出再)、相手方保険者がそれを引き受ける(受再)ことを言う。「保険の保険」なので再保険という。保険会社間で再保険の引受けを行う場合のほか再保険専門会社等が引受けを行う場合がある。この制度は元受保険会社が危険(リスク)を分散したり、収益を追求するために行われる。元受保険会社が再保険によらず自ら保険責任を負うことを保有という。
事業別利益
東京海上グループにおける各事業単位の経営管理上の利益指標。それぞれの事業特性に照らして取り組み成果をより適切に示すため、例えば、国内損保事業の事業別利益には、政策株式売却益は含まない形としている。
修正純利益
資本効率(修正ROE)や配当原資の前提となる東京海上グループ全体の利益指標。市場から見た透明性や比較可能性の向上、株主還元との連鎖の確保を目的として、保険会社特有の異常危険準備金やのれん(買収のプレミアム)の影響を捨象している。
純保険料(率)
保険数理上、付加保険料(率)とともに営業保険料(率)を構成する要素で、保険事故が起きた場合に保険会社が支払う保険金に充当される部分のこと。純保険料(率)は過去の統計資料により算出した大数の法則に基づき保険事故発生の確率をもとに算出される。
正味収入保険料
元受正味保険料に再保険の要素を加味し、収入積立保険料を控除した保険料のことで次の算式により算出される。正味収入保険料は一般事業会社の売上高に相当するもので損害保険会社の損益計算書における保険引受収益を算出する際の数値となる。
正味収入保険料 = 元受正味保険料 + 受再正味保険料 - 支払再保険料 - 収入積立保険料
正味事業費率
正味収入保険料に対する保険会社の保険事業上の経費の割合のことで、正味損害率と同様に保険会社の経営分析や保険料率の算出に用いられる。具体的には損益計算書上の「諸手数料及び集金費」に「保険引受けに係る営業費及び一般管理贄」を加えて「正味収入険保料」で除した割合を指している。
正味損害率
正味収入保険料に対する支払った保険金の割合のことで、正味事業費率と同様に保険会社の経営分析や保険料率の算出に用いられる。具体的には損益計算書上の「正味支払保険金」に「損害調査費」を加えて「正味収入保険料」で除した割合を指している。
責任準備金
保険業法に基づき保険会社が保険契約上の責任を果たすために負債として積み立てる資金のこと。支払備金が既に発生していて保険金が未払いの保険事故に対応するのに対して、責任準備金は保険事故が発生していないが次年度以降に発生する事故等に関する保険金支払いなどに備えるもの。損害保険会社における責任準備金には普通責任準備金、異常危険準備金、危険準備金、払戻積立金・契約者配当金準備金などがある。
ソルベンシー・マージン比率
保険会社における通常の予測を超えたリスクに対応する保険金の支払余力を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つで、計算方法は保険業法施行規則で定められている。ソルベンシー・マージン比率が高ければ高いほど経営の健全度の高さを示すとされる。ソルベンシー・マージン比率が200%を下回ると金融庁は当該保険会社に対して早期是正措置を発動し経営改善への早期取組みを促すこととしている。

た行

当期純利益
損益計算書上で経常利益から特別損益(固定資産処分損益、価格変動準備金繰入額等)、法人税・住民税、法人税等調整額を差し引いた後の利益のことで、事業年度に発生したすべての取引によって生じた損益を示している。当期純利益は損益計算書の最も下の項目に記されることから「ボトムライン」とも呼ばれている。

は行

付加保険料(率)
営業保険料(率)のうち保険会社の経営に必要な事業費(人件費や物件費)、代理店手数料、集金事務費などの諸費用および利益に充当される部分のことを指し保険会社ごとに決定する。保険数理上、純保険料(率)とともに営業保険料(率)を構成する。
普通責任準備金
責任準備金の一つで、決算期末において未経過保険料(保険期閻の未経過期間に対応する責任に相当する保険料)か初年度収支残(当期の収入保険料から当該契約の保険金、支払備金、事業費等を控除した金額で日本の保険業法に基づく準備金)のいずれか大きい金額を積み立てる準備金のこと。保険会社が収受した保険料は保険引受収益として把握するが、決算期で区切ると保険料を収受していても保険期間未了の契約が多数残るため、この未経過部分への保険責任を遂行するために必要な金額を負債として認識する必要がある。普通責任準備金は貸借対照表の負債の部に積み立てられるが、翌期に全額を取り崩し新たに必要額を積み立てることになる。
保険引受利益
正味収入保険料等の保険引受収益(正味収入保険料、積立保険料、積立保険等運用益)から保険引受費用(正味支払保険金、損害調査費、満期返れい金等)と保険引受けに係る営業費および一般管理費を差し引き、その他収支(自賠責保険等における法人税相当額)を加減して計算される利益額のこと。保険本業における最終的な損益を示す。