2021年度決算電話会議

質疑応答要旨

以下は、2022年5月20日に開催された機関投資家・証券アナリスト向け2021年度決算電話会議の質疑応答の要旨です。

Q1P4やP6によれば、22年度予想はトップラインで+4%程度、ボトムは為替除きでもNormalizedベースで+5%成長ということだが、当社のEPS growthについて、グローバルピア対比でどのように評価しているか。
A1

当社のEPS Growthは、単年度で見ても、より長期のCAGRで見ても、世界トップクラスの水準にあると考えている。この背景としては、特にこの数年、コロナや自然災害の激甚化など、様々な課題があった中で、グループ各社で収益性重視の姿勢がより高まり、リスクの選別能力やアンダーライティング能力が一層強化されたと共に、グループ会社同士が自発的にシナジーに関する議論を行うなど、グループシナジーを推進する力もより強化されたことによるものと考えている。今は不確実で不透明な時代ではあるが、今後もプロアクティブな対応を続けていきたい。

Q2海外利益の2022年度予想について、P50を見ると、財務会計では+234億円に対し、事業別利益は+106億円となっているが、この差は何か。併せて、予想の前提となる為替レートと、ロシア・ウクライナの状況について教えてほしい。
A2

差異の主因は、事業別利益には非連結の子会社も含まれていることと、海外生保の会計基準が財務会計と事業別利益とで異なることによるもの。為替レートは2022年3月末ベースとなっている。ロシア・ウクライナについては元々エクスポージャーが小さいことに加えて、原則、戦争危険は免責としており、リスクは適切にコントロール出来ていると考えている。従って業績への影響も限定的であり、足元1-3月にも見られる好調な業績を踏まえれば、十分に賄えるレベルだと考えている。

Q3DFGの運用について、2021年度実績はキャピタルゲインの上振れもあり好調だったが、2022年度予想も更に増益となっている。その理由について教えてほしい。
A3

足元の金利上昇に加え、保険引受・資産運用両面のビジネス拡大を背景としたAUMの増加に伴い、引き続き高いインカムゲインが確保できると考えている。DFGはこれまでもインデックス対比でボラティリティを抑えながら、高い利回りを確保してきたわけだが、これは経験豊富な運用チームの存在に加え、長期で予測可能な負債特性により、流動性リスクを許容できることが大きい。今後も、HDによるリスク管理・モニタリングも確りと行いながら、安定的に高い収益を上げていきたいと考えている。

Q4内部成長だけでも高い成長が遂げられることはよく分かったが、当社のM&A戦略やアペタイトについて改めて確認させて欲しい。
A4

当社のM&Aの目的は、あくまでリスク分散であり、M&A自体を目的としているわけではない。そういう意味では、地域や種目等といった観点から、リスク分散に資する案件が対象となりえる。この目的を前提とした上で、当社は厳格な買収基準を設け、カルチャーフィットを始めとした買収原則を満たすとともに高いリターンを上げられる案件のみを厳選して、M&Aを実行している。足元では特に、コロナ禍でカルチャーフィットの確認が難しい部分はあるが、良質な大型M&Aには忍耐やタイミングも大事であると考えており、常にロングリスト・ショートリストを精査している。
他方で、グループ会社が実行するボルトオン型のM&Aについては、元々、互いのビジネスをよく分かっていることもあり、今後も積極的に良質な機会を捉えていきたいと考えている。

Q5資本政策について、現時点では1,000億円を掲げたうえで、機動的に実施するということだが、この1,000億円という金額の意味合いについて教えてほしい。この金額が固定されるとすると、機動的にはならないと思うので。また、2021年度の実績は非常に好調で、2022年度予想も強いわけだが、金額を去年と同水準とした背景は。
A5

まず当社として、株主還元の基本は利益成長に伴う配当拡大と考えている。ご指摘の通り、確かにフローとしての利益は増加しているが、一方で当社としては自己株式取得はあくまで資本ストックの調整であると考えており、足元のESRを踏まえながら、経済環境やM&Aのパイプライン等を総合的に勘案して金額や実行時期等を決定している。その中で、直近のESRについては自己株式取得前で128%と、前年2021年3月末と概ね同水準であり、市場環境含め不透明な状況もある中で、現時点では1,000億円を実行すると考えている次第。今後の状況も踏まえて、金額の変更要否は都度判断していく。

Q6P28に記載されている2022年度予想について、TMNFも海外も実力ベースで増益する計画となっているが、何かリスクが無いか確認させてほしい。
A6

予想策定にあたっては、4-3月決算の国内は直近の状況を確りと確認しており、また1-12月決算の海外についても、12月末までに一旦計画を取りまとめた後、年度初にもう一度様々な状況を見直したものを公表している。そういう意味で、現時点において確度が高い予想だと思っており、強い実行力の下、目標を達成したいと考えている。そしてそのためには、「ビジネスの内側」をより強くすることが大事だと思っている。具体的には、これまで高めてきたグループ一体経営の力を更に強化するとともに、これまでも注力してきたカルチャーや人材ネットワーク、テクノロジーやERMといった分野について、今後も重要になると考えているので、引き続き力を入れていきたい。

Q7修正ROEについて、元々「中長期ターゲット」として掲げてきた12%を2022年度予想も上回っているが、ターゲットの引上げについてどのように考えているか。
A7

足元、リスク分散を始めとした各種経営戦略が、当社の企図通り実績に表れてきており、ある意味数年前とは違うステージにいると考えている。元々「12%」という数字については、当社としては安定的にROE2桁を達成したいという想いを持って設定したものだが、今後更に引き上げたいと考えており、「その先のターゲット」については、引き続きしっかりと議論・検討していく。

Q8利益成長のスピードがやや鈍化しているようにも見えるが、利益成長に関してこれまで取り組んだこと、および、今後取り組むことについて教えてほしい。
A8

保険ビジネスはサイクル性のあるビジネスだと考えているが、その中でも当社はこれまで、収益性を重視しながら、リスク分散戦略をベースに、事業領域を確実に拡大してきた。今回の中期経営計画においても持続的な成長を掲げているが、その先の姿については、当社のパーパスに則り社会課題の解決に貢献しながら、「グループ一体経営」を当社独自の強みとして更に磨き、そしてリスク分散を種目・地域・時間軸といった観点で一層進めることで既存の保険収益力をより強化し、グローバルピアに負けない成長を続けたいと考えている。そして内部成長のみならず、大型M&AやボルトオンM&Aについても良質な機会を確りと捉えてリスク分散と成長に繋げていくし、防災・減災やヘルスケア、再生可能エネルギー、サイバーなどの新規事業の構想や準備は着々と進めている。保険会社としての役割を確りと果すと共に、「ビジネスの内側」の力をしっかりと高めていきたい。

Q8(更問)将来に向けた投資が直近少ないように見えるが、その背景は。
A8(更問)

当社にとってM&Aは目的ではなく手段であり、厳格な買収基準を満たす案件が無い中では、むやみに買収は行わない。2021年度については、こうした当社の買収基準やマーケットのバリュエーション等も勘案した結果として、大型のM&Aを実行しなかった。

Q9資本政策について、前年度から何が変わったのか、背景や考え方も含め改めて教えてほしい。
A9

もとより当社は資本を意図的に貯めるつもりは無く、「資本水準調整をやるのか、やらないのか」ではなく「やるのだ」という想いもあり、前年度は「1,000億円-X(事業投資)」というスキームを設定したものの、分かりづらいという声もあったため、この「-X」という方式をやめて、よりシンプルなものに変更した。金額については、ESRを踏まえながら、経済環境やM&Aのパイプライン等も総合的に勘案し、現時点では1,000億円としたもの。今回決議した500億円という金額も、足元の様々な状況を勘案して決定したものだが、今後については、都度状況を見ながら、規律を持って機動的に実行していく。

Q10経済インフレ・ソーシャルインフレへの対応について、教えてほしい。
A10

各拠点のマーケットの中で、よく状況を見ながら判断し、対応していくのが原則と考えている。その上で、経済インフレについてはプロパティや自動車といった種目が特に影響を受けると考えているが、当社の海外事業のポートフォリオはスペシャルティ種目中心であり、相対的には影響は小さいのではないかと考えている。ソーシャルインフレについては、足元で裁判も再開している中で慎重に見ているピアもいると認識しているが、当社は、PHLYが数年前にいち早くリザーブの積み増しを行っており、またアンダーライティングやプライシングの見直しや強化についても、早い段階からしっかりと対応できているのではないかと考えている。今後も機動的・プロアクティブに対応していきたい。

Q11TMKの利益水準が見事に回復しているが、その背景は何か。また足元で、状況を注視している拠点はあるか。
A11

TMKについては海外事業の共同総括でもあるChrisと共に、リーダーシップの強化や企業文化改革に取り組んだことや、アンダーライティング能力の強化を通じて、漸く利益成長が軌道に乗ってきたものと考えている。他の拠点については、特定の名前を挙げることは難しいが、当社は現在40以上の国や地域でビジネスを展開しており、その中で課題を持っている会社もあるものの、HDと各拠点の連携・ガバナンスも年々強化している中で、グループの英知も結集して各拠点の課題をタイムリーに把握・サポート・対応する体制が整っていると考えている。

本資料は、現在当社が入手している情報に基づいて、当社が本資料の作成時点において行った予測等を基に記載されています。これらの記述は将来の業績を保証するものではなく、一定のリスクや不確実性を内包しております。従って、将来の実績が本資料に記載された見通しや予測と大きく異なることになる可能性があることをご承知おきください。