2021年度第3四半期決算電話会議

質疑応答要旨

以下は、2022年2月14日に開催された機関投資家・証券アナリスト向け2021年度第3四半期決算電話会議の質疑応答の要旨です。

Q1業界全体で足元インフレの影響が見られる一方、当社では3Qから4Qにかけてリザーブを取り崩されている。特に米国拠点において、インフレの影響をどの様に評価しているのか。
A1

米国において経済インフレが進行しているという理解であり、足元で、人件費やロスコスト等の上昇の傾向が見られるものの、現時点では業績への影響は軽微と考えており、今後も、ロスコストを上回るレートアップを続けていくつもりである。リザーブについても、特にロングテールについては将来のロスコスト上昇も織り込んでいる。なお、ソーシャルインフレについては、コロナ禍において裁判の進行が停滞していることもあり、一定程度落ち着いていると理解しているが、将来的な再上昇に備えて、慎重にリザーブの評価を行っている。

Q2足元の米国信用スプレッドのワイド化はESRにマイナスに働く。その影響度は海外の期ずれも考慮する必要があるが、当社では昨年9月末対比で、どの程度ワイド化しているとの認識か。
A2

昨年9月末には80bpsの半ばであったが、これが足元では100bps強まで、およそ20bps程度拡大していると認識している。

Q3国内の火災保険について、2Qでは計画対比良好な進捗との説明であったが、直近の状況はどうか。また、今後の料率改定について、アップデートがあれば教えて欲しい。
A3

足元も、火災保険の収益は良好に推移していると認識している。今後の料率改定については、現時点で特段のアップデートは無い。

Q4海外の事業別利益が+450億円上方修正となっているが、その内訳を教えて欲しい。
A4

拠点別の詳細は非開示とさせていただいているが、要因としてはスライドP6に記載の通り、自然災害と為替以外では、保険引受で+50億円上方修正しており、このうち増収効果と過年度リザーブの取り崩しの影響がおよそ半々程度。資産運用等については+240億円上方修正しており、うちキャピタルゲインの増加が+70億円程度、差し引き+170億円のうち半分程度がインカム収益の増加で、残りは細かいもの。

Q4(更問)キャピタルゲインについて、11月予想においても上振れとの説明であったが、これが今回の予想では更に上振れていると考えれば良いか。また、この要素は2022年度の年初予想においては剥落するという理解で良いか。
A4(更問)

元々11月予想において+120億円上振れを見込んでいたものが、今般更に追加で+70億円、合計で+190億円の上振れを見込んでいるもの。この中には市況に左右されるFVTPLなどが入っており、一過性要因として捉えている。当社の年初予想では、通常市場環境はフラットになると見ており、2022年度も同様となる見込み。

Q5TMNFの財務会計利益が、政策株売却益も含めて+250億円上方修正となっているが、その内訳を教えて欲しい。また、火災保険が好調のようだが、これは大口事故の減少による一時的なものと考えれば良いのか。
A5

TMNFの上方修正+250億円の内訳は、自然災害の減少+110億円、既経過保険料の増加+90億円、政策株式売却益の増加+50億円となっている。なお、火災保険の大口事故は前年対比では減少しているものの、通期予想では引き続き平年並みを見込んでおり、今回の上方修正要因にはなっていない。また、来期も同様に、平年並みの大口事故の発生を見込むことになるのではないかと考えている。

Q6米国の金利上昇について、当社への影響を教えて欲しい。
A6

当社は適切なALMに基づく資産運用を行っており、足元の上昇ペースであれば大きな影響は出ないと考えているが、変動金利資産や再投資を通じたインカム収益の増加は起こり得ると考えている。一方で、より急激な金利上昇や、スタグフレーションが起こった場合には、信用スプレッドの変動等を通じた影響が生じうるため、当社としては状況を注視していきたい。

Q7修正純利益の実力値は、昨年の11月には4,700-4,750億円程度という説明であったが、今回+300億円程度上方修正し、5,000億円を突破する見込みであると理解している。この3か月の間に、+300億円上方修正となった背景について教えて欲しい。また、2022年度年初予想においても、修正純利益は5,000億円を越える水準が発表されると期待して良いか。
A7

実力値の上方修正の背景については、昨年11月時点で一定程度保守的に見込んでいた要素が、3か月経過してリリースされてきたものとご理解いただきたい。2022年度の年初予想はまだ決めていないが、当期の実力値を上回る様な水準をお示ししたいと考えている。

Q8昨年11月に開示されたESRの金利感応度は、パラレルシフトを前提とした数字と理解しているが、足元のイールドカーブのフラット化等の影響はどの様に考えれば良いか。
A8

現在当社がお示ししているESRは移動制約資本控除後の数値ということもあり、フラット化等の影響は軽微であると考えている。

Q9国内の自然災害予算(税前)は、年初予想の725億円から、今回は430億円と大きく減少しているが、来年度以降の水準はどう考えれば良いか。
A9

自然災害の影響額は年度によって大きくブレが生じるものであり、当年度は今のところ、平年よりも自然災害の発生が少ない状況と考えている。来年度以降の予算については現在検討中であるが、当期年初の水準と変わらない規模感の数字をお示しすることになるのではないかと考えている。

Q10資本水準調整のスキームについて、現在の検討状況や方向性を教えてほしい。
A10

当社の資本ストック調整は、ESR水準やM&Aパイプライン、事業環境、ROEターゲット等を総合的に勘案し、機動的に実行するというもの。その「やり方」については、皆様にとって分かりやすいものとすべく、現在検討中である。

Q112021年度の配当性向は、昨年11月43%から47%に引き上げられたが、今回修正純利益を上方修正したことに伴い、通期のDPSを245円で固定すると、45%程度まで低下するのではないかと考えている。2023年度に配当性向50%をめざしている中で、現時点でDPSの上方修正は考えていないのか。
A11

今年度は期中で配当性向を引き上げたが、当社の配当性向は原則年初予想の利益をベースに考えていく方針。今年度の配当をどうするかは、期末の利益実績も踏まえながら、最終的に判断する。

Q12足元、「5年平均の修正純利益」と、「単年度の修正純利益」との間で、金額規模に乖離があるが、今後も配当原資は「5年平均の修正純利益」とするという理解で良いか。
A12

保険会社は自然災害等で利益水準にブレが生じうるため、安定的な配当を行うという観点から、今後も「5年平均の修正純利益」を使うことを考えている。

Q13新たな資本水準調整スキームの検討状況や方向性については、先ほどのご説明以上のものは現時点でなく、足元マーケットの意見も取り入れながら検討が行われている、との理解で良いか。
A13

ご理解の通り。様々な投資家の皆様とコミュニケーションを取りながら、5月の公表に向けて検討を進めている。

Q14Greensill案件について、Credit Suisse社から当社に対して保険金請求が行われるという報道も出ていたが、引き続き、業績への影響は限定的と考えて問題無いか。
A14

個別契約の詳細はお応えできないが、本件については、当社は2年以上前から調査を進めた上で、昨年3月および6月のリリースの通り、業績への影響は限定的と判断しているものであり、現時点においても同様の認識。なお、今後万が一、状況に変化があれば、速やかに公表したいと考えている。

Q15当期の業績について、4Qにかけて潜在的な減益要因はあるか。
A15

特段想定しているものは無い。

Q16当期は年初予想に対して期中で上方修正が繰り返されたが、来期以降も年初は保守的な予想が公表されると考えれば良いか。
A16

当期は結果的に上方修正を2回行うこととなったが、意図的に保守的な予想を作ってはおらず、来年度以降については、更に予想の精度を高めていきたいと考えている。

Q17資本水準調整の枠方式において、総枠の1,000億円から差し引かれる中小規模の事業投資について、今年度の投資規模を教えて欲しい。
A17

資本水準調整枠の対象となる事業投資案件は、国内外共に無い。なお、TMNFにおいて、企業価値向上に資する多くのデジタル投資を実行しているが、こちらも規模が小さいことから対象外である。

Q18海外のレートアップの動向について、足元でPHLYやTMHCCは順調のようだが、持続性についてどう考えているか。
A18

種目によって程度の差はあるものの、米国ではインフレが生じていることもあり、良好なレート環境はもうしばらく続くのではないかと考えている。当社としても、今後もマーケットの状況やロスコストの動向を見ながらレートアップを続けていくつもりではあるが、レートの上昇幅は若干鈍化するのではないかと考えている。

本資料は、現在当社が入手している情報に基づいて、当社が本資料の作成時点において行った予測等を基に記載されています。これらの記述は将来の業績を保証するものではなく、一定のリスクや不確実性を内包しております。従って、将来の実績が本資料に記載された見通しや予測と大きく異なることになる可能性があることをご承知おきください。