2019年度第2四半期決算電話会議

質疑応答要旨

以下は、2019年11月19日に開催された機関投資家・証券アナリスト向け2019年度第2四半期決算電話会議の質疑応答の要旨です。

Q1海外での自然災害は見込みより少なかったが、海外保険の事業別利益が下方修正となった理由は。
A1

陪審員評決の高額化、事故対応専門の原告弁護士の関与度上昇等を背景に、米国では賠償額の高額化が顕著であり、こうしたソーシャルインフレーションが賠償責任保険のロスコスト上昇に影響している。これを受け、Philadelphiaでは過年度リザーブの洗い替えを進めており、今回の修正予想にその影響は織り込めていると考えている。足元ではロスコストの上昇をカバーできるレートアップを実施しており、次年度にも影響が及ぶとは想定していない。
また、米国では医療費の高額支払い事案の増加に伴い、TMHCCのメディカルストップロスの損害率が悪化している。収益改善に向け、TMHCCでは足元2桁水準のレートアップを進めている。

Q2金利変動によるESRの低下が資本政策に与える影響は。
A2

金利変動により移動制約資本だけが増減する場合、当社の株主還元スタンスに大きな変更はない。金利変動によるESRの変動と、自然災害などによるESRの変動は性質が異なると考えており、この考えに基づき資本水準調整を検討している。

Q3金利リスクに対する今後の対応方針は。
A3

JGB等の購入により、上期は金利リスクを削減してきたが、引き続き金利リスクは適切にコントロールしていく。

Q4自然災害、為替、異常危険準備金の影響を控除した、TMNFの保険引受利益は、通期では年初予想対比下方修正だが、その要因を教えてほしい。
A4

自然災害に伴う復元保険料の影響や小規模事故の増加を主因に、減益を見込んでいるもの。

Q5今回の資本水準調整額500億円は、1年前に比べると減少したが、その理由は。
A5

ハイブリッド債の発行で買収に伴うESR低下の全てをカバーする訳ではなく、その分資本を費消することになる。加えて、国内では自然災害が年初の想定を上回って発生したこと、当社は今後も成長に向けた事業投資に取り組んでいくスタンスに変わりなく、一定の資本余力の確保も必要であること、などを総合的に勘案した。

Q6今回の自然災害を受けて、リスクモデルを変更するのか。
A6

今回の自然災害は、気候変動の影響が顕在化した結果である可能性は否定できない。一方、専門家によっても様々な見解があり、今後も最新の知見を収集し、判断していく必要があると考えている。

Q7通期の自然災害発生保険金が前年度対比減少する理由は。
A7

通期の自然災害発生保険金は、上期の自然災害に加え、下期に発生した台風19号や過去の実績を踏まえた下期の損害額を織り込んだ上で、見込みを作成している。元受ベースの自然災害発生保険金は去年より今年の方が少ないと予想している。

Q7(更問)今年度は前年に比べて再保険金の回収を多く見込むということか。
A7(更問)

再保険については、昨年度から大きな変更は無い。

Q7(更問)TMNFでは今年度の元受ベース自然災害発生保険金をどの程度予想しているのか。
A7(更問)

元受の発生保険金は、上期時点で1,300億円程度。下期に発生した台風19号は1,100億円程度と見込んでいる。

Q8自然災害発生保険金が通期予想対比で上振れした場合、火災保険の異常危険準備金の追加繰入を実施するのか。
A8

今回の修正予想では追加繰入は実施しない前提としている。

Q9今後の異常危険準備金残高の推移を踏まえ、引受を絞ることはありえるのか。
A9

引受制限を行うことは想定していない。

Q10業績予想に織り込んでいる自然災害責任準備金の金額は。また、修正純利益への影響はあるのか。
A10

業績予想には150億円を織り込んでいる。これは修正純利益にも影響する。

Q11決算短信に米国における有価証券の区分を変更したとの記述があるが、詳細を教えてほしい。
A11

米国会計基準の変更に伴い、従来はTMHCC、Dephi、Philadelphia等の北米拠点が保有する株式をその他有価証券としていたところ、2019年度期首からは売買目的有価証券に区分変更しており、株式の時価変動を純損益として認識することとなる。

Q12資本性劣後債の発行でESRが上昇する部分は、株主還元の原資の増加と考えてよいのか。
A12

資本性劣後債の発行による資本の増加は、純粋な資本の増加であるため、株主還元の原資となる。一方で、資本性劣後債を株主還元原資の確保のみを目的として発行していくことは勿論考えておらず、大規模な買収があった際等に、検討していくもの。

Q13次年度の再保険コスト上昇の見通しは。
A13

足元の状況を踏まえると、概ね1-2割上昇する見込み。

Q14連結純利益の通期予想において、昨年度と違い、自然災害による減益を異常危険準備金の取崩で完全にカバーできないのはなぜか。
A14

火災保険における商品改定前の中途更新の影響でW/P損害率の分母である保険料が伸びたこと、火災Gの異常危険準備金の繰入率を5%から6%に引き上げたことが主因。

Q15貴社の自然災害の通期予想は、モデリング会社のモデル値等と比較すると小さい印象だが、この要因は何か。
A15

モデル値は一定の幅を持っており保守的である一方、当社では、足元の事故受付状況や過去の自然災害のロスを実績踏まえて見積りを行っている点に違いがある。

本資料は、現在当社が入手している情報に基づいて、当社が本資料の作成時点において行った予測等を基に記載されています。これらの記述は将来の業績を保証するものではなく、一定のリスクや不確実性を内包しております。従って、将来の実績が本資料に記載された見通しや予測と大きく異なることになる可能性があることをご承知おきください。