2018年度第2四半期決算電話会議

質疑応答要旨

以下は、2018年11月19日に開催された機関投資家・証券アナリスト向け2018年度第2四半期決算電話会議の質疑応答の要旨です。

Q1海外保険事業の2018年度業績予想において、第1四半期で進捗率が低かった欧州が上方修正しているが、どのような要因によるものか。また、欧米ではリザーブを積み増す保険会社もあるが、貴社グループは問題ないとみてよいか。
A1

欧州は20億円上方修正していますが、自然災害の減少および為替換算益の影響が主な要因となっています。これらの要因を除いた収益性も改善していますが、足元で海外における自然災害も発生しており、引き続き注視していきます。リザーブについては現時点で認識している問題はございません。

Q2国内自然災害について、今期の発生保険金の状況を踏まえて、来期以降、自然災害予算を引き上げることを考えているか。
A2

近年の自然災害の動向を踏まえ、今中期経営計画より事業計画上における平年ベースの自然災害ファンドを400億円から500億円(東京海上日動)に引き上げています。この水準は、過去の自然災害に係る支払実績やリスクモデル等を踏まえて設定しているものであり、単年度で見ればバラつきは生じ得るものと考えています。今回の自然災害による発生保険金は、モデル上の想定の範囲内であることからも、現段階でただちに平年ベースの水準を見直すことは考えていませんが、今後の動向を注視しながら検討していきます。

Q3海外保険事業における自然災害に係る発生保険金の通期予想は500億円から380億円に引き下げている。上期で既に112億円発生しているが、下期のカリフォルニアの山火事の影響はどの程度か。
A3

カリフォルニアの山火事については現在調査中であり、今後、決算への影響を精査していきます。

Q4デルファイは昨年に続き今期も業績が好調だが、今後も維持できるのか。
A4

昨年度は米国税制改正による影響もありましたが、今期は資産運用が好調であり、引き続き同社の強みである資産運用力を発揮して好調な業績を維持していきます。

Q5国内自然災害に対する再保険のカバー内容について伺いたい。
A5

保有再保険についてはリスクと再保険コストの兼ね合いを見ながら、保険引受成績の安定性と収益性、資本効率、ソルベンシー・マージン比率、再保険マーケットの動向や取引先との関係などを総合的に考慮して決定しています。
各種自然災害リスクに応じたプログラムを、数百年に1度の規模の災害であっても資本の健全性が確保されるように手配しており、再保険手配の効果により、正味保険金が一定金額に収まる仕組みとなっています。再保険スキームの詳細な説明につきましては、ご容赦ください。

Q6資本水準調整による株主還元を1,000億円とした根拠および自己株式取得と一時的な配当で実施した考え方を伺いたい。
A6

資本水準の調整は、市場環境・事業投資機会等を総合的に勘案して、機動的に実施し、資本政策における規律を維持する方針としています。2018年9月末のESRは資本水準調整前で201%と、引き続き、Target Rangeの中でも上限に近い水準であり、この水準は市場環境の急激な変化にも十分耐えられるものとなっています。さらに今後の事業投資機会などもあわせて総合的に検討し、1,000億円の資本水準調整を行うことといたしました。これによりESRは4ポイント低下し、197%となります。
一時的な配当については、昨年来、株主還元方針の中で、資本水準の調整手段として、配当を念頭に置きながら、自己株式取得以外の方法も加える形としました。今回、より多くの投資家の皆様のニーズに応えることを目指し、合計1,000億円の資本水準の調整の半分を一時的な配当としつつ、残りの半分を従来と同様、自己株式取得として、バランスをとることとしました。

Q7東京海上日動の2018年度業績予想における発生保険金は、自然災害と為替の要因以外で年初予想から129億円増加しているが、どのような要因によるものか。また、自然災害は2,200億円を見込んでいるが、元受ベースの保険金および企業物件の割合を伺いたい。
A7

自然災害と為替の要因以外の増加要因は、主に火災保険における大口事故の増加を見込んでいるものです。2018年度の自然災害の見込みは、正味ベースの数値のみお示ししています。また、企業物件については、割合で算出するのでなく、足元の状況を織り込んで予想しています。

Q8下期の自然災害はどの程度を見込んでいるか。北米では複数のハリケーン等が発生しているが、現在の見込みでどの程度余裕があるか。
A8

下期の自然災害の見込みについては、国内は通期2,370億円の見込みに対して上期発生分が2,131億円、海外は通期380億円の見込みに対して上期発生分が112億円となっており、それぞれ、その差額が下期の見込みとなります。なお、北米において発生したハリケーン・フローレンスとマイケルの発生保険金は、各拠点から情報収集を進めている段階ですが、それぞれ数十億円程度を見込んでいます。

Q9一時的な配当の基準日が9月末となっている理由を伺いたい。
A9

資本水準調整の手段として一時的な配当を追加することは昨年に公表させていただいておりますが、今回は、9月末のESRを基本に据えて資本水準の調整を決定しているものであり、速やかに資本水準を調整するとの観点から、基準日は9月末とさせていただきました。

Q10今期発生した国内自然災害は、貴社のリスクマネジメント上、想定の範囲内と捉えているか。また、来期以降の自然災害リスクの引受や再保険手配、異常危険準備金の繰入等の方針に影響を与えるか。
A10

過去の自然災害の支払実績やリスクモデル等を踏まえると、今回の一連の自然災害による発生保険金は、概ね30年に1度程度の規模と考えており、想定の範囲を超えたものではありません。当社としてはこうした事態も想定し、異常危険準備金も含めた十分な資本基盤を構築してきているため、一連の自然災害が当社の健全性に与える影響は軽微であると認識しています。従って、異常危険準備金については、基準以上の繰入を行うこと等は検討していません。

Q11今期発生した国内自然災害が、中期経営計画のターゲットに与える影響はあるか。
A11

想定を上回るものではないため、現時点でターゲットの変更は考えていません。

Q12自然災害に係る発生保険金において、再保険の回収額が他社対比で低いようだが、どのような考え方に基づいて再保険を手配しているのか。
A12

一般的に巨大災害に対するリスクヘッジの手段としては、再保険や異常危険準備金制度がありますが、それらのバランスが重要と考えています。再保険をどうしていくかという戦略につきましては、カバーの在り方、必要となるコスト、異常危険準備金等を総合的に考慮して決定しており、引き続き、リスクヘッジ効果とコストのバランスを精査しながら判断してまいります。

Q13あんしん生命の事業別利益を上方修正しているが、金利上昇によるものか。年初予想ではシステム投資により減益予想となっていたが、その要因は含まれているか。
A13

事業別利益の上方修正要因は、ご認識のとおり主に金利上昇によるものです。システム投資の影響は修正予想に含まれています。

Q14資本水準調整のための一時的な配当の基準日を9月末に設定したのは、株価を考慮したのか。また、株主の長期保有を促すことも目的として考えているのか。
A14

今回の一時的な配当は、資本水準調整が目的であり、株価だけを考慮したものではありません。規律ある資本政策が株主の皆様の長期保有につながることは当社としても期待しています。

Q15火災保険は、今後どのように収益を確保していくのか。
A15

火災保険は自然災害リスクを多く引き受けており、収益性の向上は喫緊の課題と認識しています。事業費削減をはじめとした経営努力を踏まえた上で、収支動向等を見極めながら適正な料率水準を検討していきます。

Q16東京海上日動の有価証券売却損益は、上期は高い進捗率となっている一方、通期でそれほど変わらない要因は何か。
A16

有価証券売却損益は主に政策株式売却によるものですが、通期の売却額は年初予想である1,000億円から変更していないためです。

Q17海外において企業信用力の格下げ懸念が指摘されているが、今後も信用リスクを取った資産運用を進めていくのか。
A17

米国中心に企業信用力の懸念が指摘をされていることは認識していますが、そうした経済環境も踏まえた上で、当社のリスクマネジメントの枠組みの中で総合的に検討しています。信用リスクの運用に強みを持つデルファイでは、幅広いネットワークを活用しながら、金融環境の変化に応じて、バランスの取れたポートフォリオを機動的に見直ししています。

本資料は、現在当社が入手している情報に基づいて、当社が本資料の作成時点において行った予測等を基に記載されています。これらの記述は将来の業績を保証するものではなく、一定のリスクや不確実性を内包しております。従って、将来の実績が本資料に記載された見通しや予測と大きく異なることになる可能性があることをご承知おきください。