CFOメッセージ

当社グループは「全てのステークホルダーに魅力的な価値をお届けするグローバル保険グループ」をめざしています。

取締役副社長 グループCFO
(グループ資本政策総括)
湯浅 隆行

2019年8月

資本政策を通じた企業価値の向上

当社グループは社会課題を解決した結果として、「全てのステークホルダー(お客様、地域社会、株主、社員)に魅力的な価値をお届けするグローバル保険グループ」、具体的には「安定した二桁ROE」と「高水準の株主還元」をめざしています。
この実現に向けて、国内外での内部成長をベースに、ポートフォリオも戦略的に見直し、資本を創出します。これをM&A等の事業投資に振り向け、良質な案件がなければ資本を株主に還元する、といった資本のサイクルを回していきます。

将来像を実現するための資本のサイクル

将来像 全てのステークホルダーに魅力的な価値をお届けするグローバル保険グループ 安定した二桁ROE 高水準の株主還元 /内部成長 国内の安定収益の持続 先進国スペシャリティの強化 新興国の成長取り組み /ポートフォリオの見直し 戦略的資本リリース 適切なリスクコントロール /資本の創出 /事業投資 規律ある戦略的M&A 規律あるリスクテイク /資本の調整 /株主還元 配当の引上げ 機動的な資本水準調整

(ご参考)中期経営計画のターゲットと進捗状況

修正純利益について、中期経営計画のターゲットは4,000~4,500億円、2019計画は4,000億円 修正ROEについて中期経営計画のターゲットは10%以上、2019計画は10.4% 株主還元・配当性向*2について中期経営計画のターゲットは35%以上、2019計画は38% *1:2017年度補正ベース3,720億円を基準とした年平均成長率。補正内容は自然災害を平年並みとし、為替変動による影響および米国税制改革における一時的な影響を控除。 *2:配当性向は5年平均の修正純利益がベース。

「安定した二桁ROE」に向けた取り組み

欧米での大型M&A等を通じた収益性の向上とリスク分散の進展により、当社グループは着実にROEを向上させてきました。足元のROEは資本コストである「7%*1」を安定的に上回り、かつボラティリティも低く抑えられています。ROEの水準はピアに近づきつつありますが、今後も更に引き上げていきます。

資本コスト*1 7% /2011 1.3% /2013 8.2% /2017-2018  [平年を大きく超える自然災害の影響]/2018 7% /2019(予想)修正ROE10.4% *1:資本コストとは投資家が投資先企業に期待する収益率のことをいいます。当社ではCARM法(資本資産評価モデル)により算出しており、成果指標の策定や事業投資の判断に活用しています。
欧米での大型M&A等を通じ、収益性およびリスク分散を向上させ、ROEを高めてきました。将来のグループ像に向けてROEを更に高めていきます。

「高水準の株主還元」に向けた方針

[配当] 株主還元は配当を基本とし、利益成長に応じて配当総額を持続的に高めていきます。 配当性向*2は5年平均の修正純利益の35%以上とし、将来像に向けて、ピア並みに段階的に引き上げていきます。 [資本水準の調整] 市場環境・事業投資機会等を総合的に勘案し、自己株式取得等の方法により機動的に実施します。 一株当たり配当金(円) 配当性向*2 配当総額*3(億円)資本水準調整*4 (自己株式取得等)(億円)/2016 140 35% 1,053 500/2017 160 35% 1,176 1,500/2018 180 36% 1,280 1,250/2019(予想) 190 38% 1,342 未定 [2019年度は8期連続の増配を見込む]/将来像 ピア水準*5 高水準の株主還元 *2:年初予想ベースの配当性向 *3:2019(予想)は自己株式取得反映前ベース *4:各年度の決算発表日までに決定した総額 2018には一時的な配当500億円を含む *5:ピアの配当性向は現時点では50%程度

リスクベース経営(ERM)

当社グループでは、中期経営計画を推進していくための経営基盤として「リスクベース経営(ERM*1)」に取り組んでいます。具体的には、「リスク」・「資本」・「利益」の関係を常に意識し、リスク対比での「資本の十分性」や「高い収益性」を実現することにより、企業価値の持続的な拡大をめざします。「資本の十分性」に関しては、AA格相当の資本を維持する方針としており、「高い収益性」に関しては、資本コスト*2(7%)を上回る資本効率を実現し、将来的に12%程度のROEをめざしています。
中期経営計画を、リスクベース経営(ERM)の観点で整理したものが、下図のフレームワークです。事業構造改革やグループシナジーの取り組みにより「持続的な利益成長」を実現するとともに、生み出された利益・資本を、健全性を維持しつつ更なるポートフォリオの分散や株主還元の充実といった「資本の有効活用」に振り向け、それがさらに次の成長に繋がることをめざしています。

  • *1 ERM:Enterprise Risk Management
  • *2 資本コスト: 投資家が投資先企業に期待する収益率のことをいいます。
    当社グループでは、CAPM法(資本資産評価モデル)により算出しており、成果指標の策定や事業投資の判断に活用しています。
リスクベース経営(ERM)を基軸に、健全性を確保しつつ戦略的に資本配分を行い、利益成長を達成する[リスクベース経営(ERM)][持続的利益成長]国内損害保険事業 グループ中核事業として持続的成長 新種保険の拡販によるポートフォリオ変革 /国内生命保険事業 グループの長期的利益に貢献する成長ドライバーとして、経済価値ベースの企業価値を拡大 保障性商品の拡大 /海外保険事業 グループの成長ドライバーとして高い内部成長の実現と新規事業投資の実行 /グループ全体 更なるシナジーの発揮 事業費の適切なコントロール[利益の創出][資本の有効活用]成長に向けた投資  分散の効いた新規事業投資 将来の収益基盤構築に向けた先行投資(新商品・新技術)/リスクの削減・コントロール 政策株式の継続売却、自然災害リスクや金利リスクのコントロール/株主還元 株主配当水準の引き上げ 機動的な自己株式取得などによる適正資本水準への調整[戦略的資本配分]→利益成長+株主還元の充実+健全性確保

当社グループでは、リスク軽減・回避等を目的とした従来型のリスク管理にとどまらず、リスクを定性・定量の両面のアプローチから網羅的に把握した上で、これらのリスク情報を有効に活用して会社全体の「リスク」・「資本」・「利益」を適切にコントロールしています。

定性的リスク管理

定性的リスク管理においては、環境変化等により新たに現れてくるリスク(エマージングリスク)を含めたあらゆるリスクを網羅的に把握して経営に報告する態勢としており、グループを取り巻くリスクについて随時経営レベルで論議を行っています。
こうして把握したリスクについては、経済的損失額や発生頻度といった要素だけではなく、業務継続性やレピュテーションの要素も加えて総合的に評価を行い、グループ全体またはグループ会社の財務の健全性、業務継続性等に極めて大きな影響を及ぼすリスクを「重要なリスク」として特定しています。

重要なリスク(2019年度)1.国内外の経済危機、金融・資本市場の混乱 2.日本国債に係るリスク 3.巨大地震 4.巨大風水災 5.火山噴火 6.サイバーリスク 7.革新的新技術による産業構造の転換 8.テロ・暴動 9.パンデミック 10.コンダクトリスク*1 11.法令・規制への抵触
  • *1 不正行為、不適切な対応、社内や業界慣行の世間との乖離等により、顧客保護、市場の健全性、有効な競争、公益等に対して悪影響を及ぼした結果、企業価値の毀損に繋がるリスク

定量的リスク管理

定量的リスク管理においては、格付の維持および倒産の防止を目的として、保有しているリスク対比で資本が十分な水準にあることを多角的に検証しています。
具体的には、リスクをAA格相当の信頼水準である99.95%バリューアットリスク(VaR)で定量評価し、実質純資産*2をリスク量で除したエコノミック・ソルベンシー・レシオ(ESR)の水準により、資本の十分性を確認しています。
当社グループのESRのターゲットレンジは150〜210%ですが、2019年3月末時点におけるエコノミック・ソルベンシー・レシオ(ESR)は174%となり、資本が十分な水準にあることを確認しています。

  • *2 実質純資産:財務会計上の連結純資産に、異常危険準備金、価格変動準備金等の資本性負債、生保保有契約価値等を加算する一方、株主還元予定額やのれん等を控除して算出します。
[エコノミック・ソルベンシー・レシオ(ESR)の状況]2019年3月末 リスク量2.6兆円 実質純資産4.6兆円/ESR 174%/リスク量は99.95%VaR(AA格相当)に基づくモデルで計算[エコノミック・ソルベンシー・レシオ(ESR)をベースとした資本管理の考え方]210%~ESR[更なる事業投資, and/or 追加的リスクテイク, and/or 株主還元]を実施 /150%~210%(Target Range)[ 更なる事業投資, and/or 追加的リスクテイク, and/or 株主還元]を柔軟に検討/100%~150%[利益蓄積による資本水準の回復をめざす リスク抑制的な事業運営により、リスク水準の抑制を図る/0%~100% リスク削減の実施 資本増強の検討 株主還元方針の見直しの検討