保険の本当の価値を届ける

2023年11月16日

保険契約の本当の価値は、保険が必要になったときに初めて分かるものです。東京海上日動火災保険の常務執行役員(損害サービス担当)である太田征宏氏が、保険を通じてお客様をお守りし、災害後の生活再建を支援するための取り組みを紹介します。

「事故や災害が発生した際の保険金のお支払い、つまり損害サービスこそが、我々の商品そのものだと思っている」と語るのは、東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)の常務執行役員(損害サービス担当)を務める太田征宏氏です。東京海上日動に入社以来、主に損害サービスに携わるキャリアを積んできた同氏は、お客様の声や感謝の言葉が成長の糧になってきたと言います。現在、約1万人が働く損害サービス部門を統括し、「お客様や地域社会の“いざ”をお守りする」という同社のパーパスを一貫して実現する責務を負っています。

東京海上日動 常務執行役員(損害サービス担当) 太田征宏

損害サービスのプロセス高度化と高品質化

東京海上日動はこのパーパスを実現するため、損害サービスとそれを支える損害サービス関連システムのデジタル化を進めることで、お客様への保険金のお支払いなどを担う損害サービス担当者による対応力を強化しています。お客様のニーズが進化するにつれて、同社とお客様との主なコミュニケーション手段は電話からオンラインチャネルへと移行しつつあります。そして、人工知能(AI)を活用した自動化や音声認識などのテクノロジーによって、損害サービスのプロセスが効率化されスピードアップしています。

軽微な事故であれば、AIが保険金請求に必要な情報や書類を特定し、必要な提出書類を自動的にお客様へお知らせします。「これによって、お客様のご都合に合わせて快適に手続きを進めることができるようになり、保険金をお届けするプロセスが大幅にスピードアップしました」と太田氏は言います。平時においても高品質で迅速な保険金支払いが実現していますが、一度に多くの保険金請求に対応する必要がある大規模な自然災害の発生時にはさらに効果を発揮しています。

保険金を迅速にお届けすることが重要なのは、「そもそも保険とは、個人の生活や企業の再建に欠かせない社会インフラであると考えているからです」と太田氏は言います。日本で度重なる自然災害を経験した東京海上日動は、お客様をお支えするための新しい保険商品やサービスの開発に継続的に取り組んできました。例えば、地震による被災直後に、生活再建に必要となる当座の資金を最短3日で受け取ることのできるパラメトリック地震保険「EQuick保険」もその一つです。

このような取り組みをさらに拡充するため、東京海上日動は社外のパートナーとも協業しています。例えば、企業が災害から早期に復旧できるよう、被害に遭われた財物を独自の汚染除去技術によって修復できるドイツの災害復旧専門会社・ベルフォア社をご紹介するサービスを提供しています。また、人工衛星画像の分析技術を持つフィンランドのICEYE社との協業により、解析した衛星画像を活用して大規模水災の被害範囲の把握に要する時間を大幅に短縮し、より迅速に保険金をお届けすることができるようになりました。

テクノロジーは保険事業の持続可能性の向上にも役立てられます。「健全かつ安定的な損害保険制度の運営のためには、適正な保険金のお支払いが求められます」と太田氏は言います。そのためには、不正請求を徹底的に排除しなければなりません。東京海上日動は米国、フランス、日本などのスタートアップ企業と提携し、事故情報を分析して不正請求の可能性がある事案を検知するAIを活用したスコアリングシステムの開発を進めています。

損害サービス担当が付加価値の高い業務に注力できる体制を整備

今後の保険金のお支払いに関する業務では、人の力とデジタルを組み合わせることが重要となるでしょう。東京海上日動の「人の力とデジタルのベストミックスによる安心・快適な事故解決プロセス」が、2021年度グッドデザイン賞を受賞しました。

「人の力とデジタルのベストミックスは、当社の損害サービスにおけるデジタル戦略を支える重要な考え方です」と太田氏は語ります。「競争力の源泉はいつの時代も“人”である」という同社の考えは変わりません。お客様の状況を理解し、お客様と地域社会の“いざ”をお守りできるよう、デジタルによって“人”の力を最大化し、「メンバーがお客様によりよいサービスをお届けできるよう、“人”が担うべき領域にできるだけ注力できる環境」を整えました。

デジタルツールを活用することで、東京海上日動の社員はいざというときに、お客様に一層寄り添ったサービスの提供ができるようになっています。「デジタルを徹底的に活用することによって、大きな災害が発生した際に、より迅速かつ快適に適正な保険金をお届けできるようになりました」と太田氏は言います。

東京海上日動では、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震といった過去の大規模な震災などから得た知見を生かし、保険金のお支払いプロセスのデジタル化を進めた結果、直近の10年間で、おおよそ半分の人員で、より迅速かつ快適に、適正な保険金をお支払いする体制が構築できました。
また、損害査定業務の一部に人工衛星やドローンを活用して、保険金のお支払いプロセスの効率化を実現するとともに、テクノロジーを駆使することで、全国さまざまな拠点から遠隔地支援ができる体制を整備しました。

東京海上日動は現在、人工衛星を活用した水災被害推定結果のデータをボランティア支援団体に提供することで、地方自治体やボランティア団体の行動計画の策定を支援しています。特に重要な社会的取り組みの一つが、防災・減災のためのコンソーシアム「CORE」の設立です。さまざまな業界から約100社の日本企業が参加する「CORE」の活動によって、災害に関する研究成果や専門知識を結集して社会のレジリエンスを強化し、新たなビジネス機会を創出しています。

PayerからPartnerへ

太田氏はこれからの東京海上日動に、従来のやり方にとらわれない「新たな発想」を期待しています。「この先もテクノロジーの急速な進化が予想され、当社が向き合う社会課題もますます多様化、複雑化するでしょう」。しかし、新しい技術を取り入れて課題解決力を絶えず向上することで、同社はこれからも競争力を高めていくはずです。
一方で東京海上日動は、保険金のお支払いだけではなく、損害を未然に防ぎ、復旧や復興を加速させるサービスに対するお客様のニーズが高まっていることを認識しています。例えば、サイバーセキュリティの分野では、サイバー攻撃による損害の軽減に関するアドバイスや専門家の紹介を求めるお客様が増えています。

太田氏は次のように述べています。「“いざ”というときの保険金のお支払いだけでなく、事故の未然防止や早期復旧、再発防止といった“事前・事後”のサポートやサービスに関心を持つお客様が増えています。私たちは“適切な保険金をお支払いする”という従来のPayerとしての役割だけではなく、お客様や地域社会の“いざ”をお守りする“Partner”となることへ挑戦しているのです」

この記事は、「Economist Impact」の東京海上グループの記事広告「レジリエント・シティ・インデックス 2023」の一部です。
詳細は、以下のURLをご覧ください。
https://impact.economist.com/projects/resilient-cities/jp/article/delivering-the-true-value-of-insurance/