2020年度第1四半期決算電話会議

質疑応答要旨

以下は、2020年8月7日に開催された機関投資家・証券アナリスト向け2020年度第1四半期決算電話会議の質疑応答の要旨です。

Q1海外保険の保険引受におけるコロナの影響額▲400億円(新たに見込む▲170億円を除く)について、種目別の内訳を教えてほしい。
A1

具体的な金額の内訳は開示していないが、大きな割合で申し上げると、▲400億円の半分程度がEvent Cancellation(以下、EC)。感染症を明示的に補償するBIは残りの200億円の半分程度。残りは生保等、他の種目の合計だが、個々の種目別に見ると限られた金額。

Q2今回新たに見込んだNon-Damage BI(以下、NDBI)は、英国での引受分か。
A2

英国分とロイズで引受を行う米国源泉分も含んだ金額。

Q3欧米ピアは、2Q決算ではコロナの影響額をIBNRで見込む傾向が見えてきたが、貴社も同様か。
A3

通期の影響額▲570億円全てを2Qで積み切る訳ではないが、その大宗は中間決算で計上予定。

Q4中間期での自己株取得の再開の可能性は、3ヶ月前と比較して変化しているか。
A4

中間期においても、これまでの方針に沿って自己株取得を検討する。具体的には、ESRがターゲットレンジにある場合には、更なる事業投資、追加的リスクテイクを優先するが、そうした案件がなければ株主還元も柔軟に検討する。足元のESRは算出していないが、株価と金利は上昇、クレジットスプレッドはタイト化しているので、3月末と比べるとESRは上昇しているものと認識している。ただし、今後の経済情勢の変化等によってESRの水準がどうなるかも判断要素の一つであるので、現時点で自己株取得の確度が高まっているかは、明確にお話しすることはできない。

Q5欧州ピアにとっては、保険当局のスタンスが資本政策に重要な意味を持つが、今のご回答には規制の話は出てこなかったので、貴社固有のビジネス上の問題と経済環境を判断して決めるとの理解で良いか。
A5

資本水準・市場環境・事業投資機会を総合的に勘案して判断する。中間決算では海外保険は6月末までの数値を反映するので、それまでの状況がベースとはなるが、欧米での政治や訴訟など、7月以降も様々な動きがあり、中間決算の数値には表れてこないが、こうした動きも勘案しながら、資本政策を決定していくことになる。

Q6今回の通期予想は、前回の補正ベースの予想から何をアップデートしたのか。また、今回公表した予想の経常利益を教えてほしい。
A6

今回は前回予想にコロナの影響だけを織り込み、それ以外の部分は変えていない。TMNFの経常利益は5月の補正ベースで2,450億円、今回の予想では2,140億円。

Q7TMNFの1Q発生保険金は、前年同期比+347億円改善している。この影響を通期予想に織り込めば、今回予想の経常利益は、補正ベースよりも増えるのではないか。
A7

発生保険金はタイムリーに利益に反映される一方、減収や異常危険準備金取崩しの減少の影響は2Q以降に発現する。従って、決算期が進むほど、足元認識している改善効果は薄まっていく。なお、連結ベースの経常利益では5月に4,100億円を見込んでいたが、今回コロナの影響(▲1,450億円)を織り込んだ結果、2,650億円となった。

Q8通期予想ではコロナによる自動車保険の発生保険金の減少をどの程度見込んでいるか。
A8

4-5月は交通量の減少で事故受付件数が▲2-3割減少した結果、1Qでは自動車保険の発生保険金は前年同期比▲246億円の減少となった。ただし、6-7月の事故受付件数は前年同月とほぼ同水準まで戻っている。従って、1Qで認識した発生保険金の一時的な減少は今後大きく拡大するとは思っていない。一方、第2波、第3波の状況次第で、さらに発生保険金が減少する可能性もある。

Q91Qの国内損保の保険引受に対するコロナ影響は+145億円だが、初年度収支残をどう織り込んでいるのか。
A9

初年度収支残は、通常3年平均の収支残率(1-(損害率+事業費率))に基づく簡便法によって算出している。ただし、今回は自動車保険の発生保険金が大きく減少したことから、直近の状況を踏まえ一定額を積み増した。

Q10海外保険の資産運用におけるコロナ影響▲324億円(1~6月)を1-3月と4-6月に分けるとどうなるか。また、7月以降▲100億円ほどマイナス影響が拡大する理由は。
A10

1-3月は、株式の評価損▲270億円程度、クレジット資産の減損▲60億円を中心として、▲336億円の影響。したがって、4-6月は+12億円。これは、売却損、クレジットでの追加の減損を計上した一方で、評価益を計上したもの。7月以降の▲100億円はクレジット資産の減損等を見込んだものである。

Q11海外保険の保険引受についても、上期のコロナ影響(▲433億円)を1-3月、4-6月に分けて教えてほしい。
A11

1-3月の影響額は▲50億円、4-6月は▲383億円。

Q12FCA(英国当局)がBIの有無責を巡る訴訟に対して一定の方針を示した場合、今回新たに見込んだ▲170億円は変わるか。
A12

FCAが方針を出すのは9月一杯までかかると当社は見ているが、現時点のbest estimateとしての影響額を▲170億円に含めている。

Q13国内損保の(事業別利益ベースの)保険引受+50億円を要素別にブレークしてほしい。
A13

既経過保険料から発生保険金と手数料を差し引いた分で(税引後で)+150億円、差額の▲100億円は初年度収支残の増加。

Q14FCAの係争の影響を織り込んだのは年内の決着を貴社が想定しているからか。今回新たに見込んだNDBIの損失は、最大の損失額に対してどの程度か。
A14

係争決着のスケジュール感を具体的に想定している訳ではなく、現時点で見通せる情報を基に、現地のアクチュアリーも入った上でのbest estimate。エクスポージャーに関するコメントは差し控えたい。

Q15ECへのコロナ影響には実施予定のイベントが今後キャンセルとなるケースも含まれるのか。
A15

将来発生しうるイベントのキャンセルも一定程度影響額に含めている。

Q16自動車保険が足元の良好な損害率のまま推移した場合、期末に異常危険準備金を平時に比べて大きく積むことになるが、通期予想にはこの想定を織り込んでいるのか。
A16

自動車保険の損害率は7月以降、平時の水準に戻る想定であり、通期では若干の改善にとどまる見込み。この若干の改善分だけ、異常危険準備金の取崩しが減少することを見込んでいる。

Q17着地の損害率はどれくらいの数値を見込んでいるのか。
A17

自動車単体の損害率は回答を差し控えるが、コロナなかりせばベースでは19年度期末対比で+2.2ptの上昇を見込んでおり、ここからコロナの影響分だけ低下することになる。
なお、民保合計の通期C/Rは92.6 %と良好な水準を見込むが、この水準には主に自動車保険の損害率改善効果を含んでいる。

Q184月以降の海外のトップラインの状況やハード化の動向は。
A18

コロナの影響で保険料が減少するのは、新興国の自動車保険や旅行保険、保険料算出基礎が経済動向に左右される種目。一方で、マーケットのハード化の流れで2桁rate upを見込んでいる種目もあるため、今後その流れをうまく取り込んでいきたい。

Q19NDBIのコロナ影響を「保守的」と表現した意図は。
A19

NDBIを巡る状況は支払の有無責を含めて確定した部分がない。会社によっては結審するまでIBNRを積まないところもある中、当社はbest estimateで積むこととしたことから「保守的」と表現した。

Q20今回の予想部分のフォーマットを変えたのはなぜか。
A20

5月にコロナなかりせばベースの業績を例年通り開示しており、今回はコロナの影響だけをアップデートして通期予想としたため。

本資料は、現在当社が入手している情報に基づいて、当社が本資料の作成時点において行った予測等を基に記載されています。これらの記述は将来の業績を保証するものではなく、一定のリスクや不確実性を内包しております。従って、将来の実績が本資料に記載された見通しや予測と大きく異なることになる可能性があることをご承知おきください。