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低炭素社会づくりに向けた取り組み

2015年12月の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定において、世界共通の長期目標として、産業革命前からの平均気温の上昇を2℃より十分下方に保持することが明記されました。また、その長期目標の達成に向けて世界が協力して気候変動対策を推進する仕組みなどが規定されたことにより、今後の社会経済活動に影響を与え、低炭素社会への移行が推進されることが期待されています。
東京海上グループは、パリ協定における2℃目標の達成へ向けて、国際機関や政府、産業界、学界、NPOs/NGOs等さまざまなステークホルダーの皆様との建設的な対話や協働を通じて、気候変動対策に主体的に取り組むとともに、低炭素社会への移行推進に注力していきます。また、東京海上グループは、様々な社会的課題の解決や持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取り組み実施の際に、サステナブルな社会の形成に向けた取り組みの柱の一つとして、気候変動対策を推進していくことが重要であると考えています。

TCFDに基づく気候関連財務情報開示

気候関連財務ディスクロージャータスクフォース(TCFD、Task Force on Climate-related Financial Disclosures)は、金融安定理事会(FSB、Financial Stability Board)からの付託を受け、金融セクターにとって一貫性、比較可能性、信頼性、明確性をもつ効率的なディスクロージャーを促す任意的な提言を策定し、2017年6月に公表しました。
地球規模の課題である気候変動・自然災害は、保険・金融サービス事業を展開する東京海上グループに大きな影響を及ぼします。そのため、東京海上ホールディングスは、TCFDの活動を支援するとともに、日本国内外の官民関係当事者とも論議・意見交換を行い、投資判断に資するディスクロージャーを促す政策提言に向け取り組んでいます。東京海上ホールディングスは、昨年発行した「統合レポート2017」において初めてTCFD提言に基づくディスクロージャーを行い、今年発行した「統合レポート2018」および本レポートでは、内容を拡充して報告しています。
下表は、TCFD提言に基づくディスクロージャーの要素の概要を示しており、本レポートにおいて、各要素について詳細に報告しています。

TCFD提言に基づくディスクロージャー

気候関連ガバナンス 気候関連戦略 リスク管理 指標と目標
  • a)
    取締役会による監視
  • b)
    経営の役割
  • a)
    気候関連リスクと機会
  • b)
    気候関連リスクと機会による影響
  • c)
    異なる気候シナリオによる潜在的な影響
  • a)
    気候関連リスクの特定・評価プロセス
  • b)
    気候関連リスクの管理プロセス
  • c)
    気候関連リスクの特定・評価・管理プロセスの総合的リスク管理への統合
  • a)
    気候関連リスク・機会の評価指標
  • b)
    Scope1、2および3のGHG排出量
  • c)
    気候関連リスク・機会の管理に用いる目標

(出所)TCFD(June2017)“Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures”Figure 4(P.14)を基に弊社作成

気候関連ガバナンス

東京海上ホールディングスの取締役会は、東京海上グループの気候関連の対応方針の決議機関であり、グループ全体の気候関連を含むCSR戦略および中期計画・単年度計画を評価・決定しています。また、CSR推進専任部署(東京海上ホールディングス事業戦略部CSR室)の報告に基づき、グループ全体の気候関連課題への取り組み状況について、経営上、重大な事項のモニタリングを行っています。
東京海上ホールディングスCEOとグループ会社社長をメンバーとするCSRボードは、グループ全体の気候関連戦略の実行について責任を負っています。CSRボードは、定期的に開催され、グループ全体の気候関連CSR戦略および中期計画・単年度計画を評価・論議し、CSR室の報告に基づき、グループ全体の気候関連課題への取り組み状況のモニタリングを行っています。
グループ事業戦略・シナジー総括(Group Chief Strategy and Synergy Officer(グループCSSO)は、CSR室が設置されている事業戦略部の監視と、グループ全体のCSRおよびサステナビリティ課題への対応およびグループCEOへの報告について責任を負っています。グループCSSOとCSR室は定期ミーティングを開催し、進行中のプロジェクトについて協議しています。また、CSR室からの報告に基づき、気候関連事項についてのモニタリングを行っており、グループCSSOが確認を要する事項に対して、CSR室が調査し、回答しています。

気候関連戦略

物理的リスク
地球温暖化がもたらす気候変動によって、将来発生する気象災害の頻度や規模が大きく変わってしまう可能性があると考えられています。その場合、過去の統計データに基づいた分析だけでは適切なリスク評価ができず、保険料率の算定や大規模災害の保険金支払いへの備え等に大きな影響を及ぼすこととなります。また、洪水などの自然災害により当社グループの拠点に浸水、停電等の被害が発生した場合、当社グループ業務が中断し、収入減少や対応コストの発生など財務的影響が発生する可能性があります。そのため、東京海上研究所等では、例えば将来気候下における、台風リスクの変化(IPCC RCP4.5およびRCP8.5シナリオ環境下)や降水量の増大に伴う洪水リスクの変化(RCP8.5シナリオ環境下)による保険損害額への影響を評価・算出しており、このようなシナリオ分析結果を参考にして、気候変動により深刻化する自然災害が保険引受に及ぼす影響を考慮し、グループ全体でリスクベース経営(ERM)に基づいたリスク管理を実施しています。また、台風等による広域災害発生時の損害対応の迅速化、円滑化に向け、日本国内支援体制の強化および代理店・社内の事故報告電子化を進める等、損害サービスの競争力化を図っています。
移行リスク
低炭素社会への移行に伴い、法規制等の強化やテクノロジーの急速な進展が当社グループの事業環境や顧客ニーズの変化をもたらし、当社グループの事業運営や商品・サービス開発・提供に影響を与える可能性があります。しかし、既存製品・サービスから低炭素オプションへは漸次置換すると予想され、毎年更新など比較的短期の保険契約では適切なリスク管理、事故対応サービスの開発・提供が可能であると想定されます。
機会
GHG排出削減が推進される過程で、より低排出型の発電に移行する可能性があり、太陽光発電や地熱発電などクリーンエネルギー事業者向け保険へのニーズが増大する可能性があります。このような変化に際しても保険引受における適切なリスク評価を実施するための研究を行い、これまでも太陽光発電や地熱発電などクリーンエネルギー事業者向け保険を開発・提供しており、収益機会の拡大を図っています。また、「事業活動に伴うCO2排出量」とマングローブ植林等による「CO2固定・削減効果」を指標に、グループベースでの「カーボン・ニュートラル達成」を目標として、移行リスクへの対応能力を強化することで資源の効率的利用とコスト削減という機会を創出しています。
東京海上グループを取り巻く、これらの気候関連リスクと機会をふまえ、当社グループでは、気候変動・自然災害をCSRマテリアリティ(重要課題)として特定し、気候関連戦略として、産学連携による気候変動・気象災害リスク研究をはじめ、災害リスク関連商品・サービスの開発・提供や環境・防災啓発、さらに事業活動に伴う環境負荷低減とカーボン・ニュートラルの推進等に取り組んでいます。

リスク管理

東京海上ホールディングスでは、CSR推進専任部署(東京海上ホールディングス事業戦略部CSR室)において、グループ全体のCSR戦略案の策定のため、気候関連も含むリスクと機会の特定および評価の結果を取りまとめています。CSR室は毎月、CSSO(Senior Managing Director)とのミーティングを実施し、これらの結果についても協議しています。
また、東京海上グループでは、ステークホルダー・エンゲージメントからのフィードバックの分析により、気候関連機会・リスクの特定・評価も行っています。この取り組みには、「CSRダイアローグ」も含まれ、社外の有識者をお招きし、当グループ経営層との間でCSRに関する最新知見の共有、東京海上グループのCSR取り組みに関する対話(意見交換や論議)を定期的に行っています。
さらに、当グループでは、ISO14001を参照した独自の環境マネジメントシステム「みどりのアシスト」によるPDCA管理を行うとともに、省エネ・省資源の取り組みを推進しています。東京海上日動(本店)では1999年度から、ISO14001規格の環境マネジメントシステムを導入し、グループ各社(国内・海外)では、東京海上ホールディングスおよび東京海上日動と連携した独自の環境マネジメントシステムを導入し、毎年、気候関連リスクを含む環境課題の特定・評価の実施および環境目標の策定を行っています。
一方、当グループでは、東京大学、名古屋大学および京都大学等と連携し、短期・中期・長期にわたる気候変動の保険事業に与える影響を研究し、気候関連リスクの特定・評価を行っています。例えば、当グループは、約100年先という将来気候下で、台風の平均強度の増大とともに、台風リスクが増大することを特定しました。
当グループでは、リスクの概念を基軸とした意思決定をあらゆる局面に組み込み、リスク対比での資本の十分性とリスク対比での収益性を経営の意思決定の指標として活用し、企業価値を拡大していく「リスクベース経営(ERM)」を推進していますが、ERMでは、上述の気候変動下における台風リスクの変化といった研究結果や、降水量の増大に伴う洪水リスクの変化による保険損害額への影響等を考慮し、リスク管理を実施しています。また、国内外トップマネジメントで構成される「リスクベース経営(ERM)委員会」では、グループを取り巻く重要なリスクの特定と対応方針の策定を行い、2017年度の重要リスクには、国内巨大風水災や海外巨大自然災害が含まれています。なお、重要なリスクの特定にあたっては、環境変化等により新たに現れるリスク(エマージングリスク)を含めたあらゆるリスクを網羅的に把握し、経済的損失額や発生頻度といった定量的要素だけでなく、業務継続性やレピュテーション等の定性的要素も加えて総合的に評価する態勢としています。さらに、巨大な自然災害など、低頻度ではあるものの、発生すれば影響が甚大なシナリオを用いて、ストレステストを実施しています。

指標と目標

「事業活動に伴うCO2排出量」とマングローブ植林等による「CO2固定・削減効果」を指標に、グループベースでの「カーボン・ニュートラル達成」を目標とし、2018年度以降もその達成を目指していきます。