2024年度決算電話会議

質疑応答要旨

以下は、2025年5月20日に開催された機関投資家・証券アナリスト向け2024年度決算電話会議の質疑応答の要旨です。

Q1インフレ影響について教えて欲しい。北米で賠責保険のリザーブが積増しとなり、日本では自動車の修理単価が想定よりも大きくなっている。ここまでのインフレ対応の評価と、今後のインフレリスクの拡大可能性について伺いたい。
A1

まず、北米の賠責保険に係るインフレ影響ついて。一般的に、インフレ影響は「プライマリー」と「エクセス」部分で発現タイミング等に差が生じ得るなか、TMNFがお引き受けしているのは、日系グローバル大企業の「エクセスポリシー」部分が中心。ここ最近で進んでいるソーシャルインフレの影響を受け、ケースリザーブの積み上がりが「エクセス」部分まで波及してきたことなどもあり、今回TMNFにおいてリザーブを積み増した。一方で、「プライマリポリシー」については、PHLYなど中心に、予てからロスコストの上昇に対応するリザーブを積み増すなど、確りと対応できている。
次に、日本の自動車保険について。自動車保険の保険金単価は、車両の高性能化等の影響で、従来から増加基調にあったなか、昨今のインフレ影響により拡大しているのが足元の状況である。24年度は下期にその傾向が一段と強まった結果、保険金単価の上昇は、24年度期初時点では+4%を見込んでいたのに対して、実際には+7%の上昇となった。25年度ガイダンスにおいては、日銀のCPI見通しが一定程度鈍化していることも踏まえ、+6%程度の上昇を織り込んでいる。今後も不確実性が高い状況が続くことが予想されるので、引続き状況を注視しつつ、必要に応じて打ち手を速やかに講じていく。 

Q2海外現法のリザーブ取崩し額が足元では減少してきているが、今後の取り崩し余地はどうか。 
A2

現状で、引き続き十分なリザーブ水準を確保していると考えている。 

Q3P44(決算電話会議資料、以下同様)のCREローンについて。①25年度にインカムが大きく減少する理由と、②ワークアウトの取組みについて、ここまでの成果を教えて欲しい。
A3

①インカム減少の理由は、24年度末から25年度末にかけて、残高が$11bnから$9bnに減少する見通しであることや金利低下等を織り込んでいるため。②足元のワークアウトの状況は、案件ごとで対応に個別性はあるが、昨年秋口と比べても全体の基調としては変わっておらず、シングルレンダー案件が大宗である強みを活かし、満期延長や差し押さえなどのワークアウトを通じ、運用パフォーマンスの維持に努めている。 

Q3(更問)コロナ禍に満期延長を既に実施した案件が多いと思うが、2回目の満期延長をすると、どのような影響があるのか。 
A3(更問)

ローンの借り手が苦しんでいるのは、オフィスの出社率が回復しないことと、金利の高止まりが続いていること。在宅勤務の定着は構造的な面があり、劇的な回復を見込めない一方、金利については、借り手と協議しつつ、借り手が利払い可能な範囲でビジネスプランを書き換え、市況の回復を待つこととなる。金利を減免するケースもあるが、その代わりに、市況が回復し良い価格で不動産を売却できた場合は、その利益の一部を享受するといったワークアウトも通じて、回収価値の最大化を図っている。 

Q3(更問)引当は十分という理解か。 
A3(更問)

25年度ガイダンスには$230Mの追加のキャピタル損失として織り込んでおり、現時点での市況を踏まえれば引当は十分と考えている。実際に、海外主要拠点の足元25年度1Q速報をみると、キャピタルを中心に資産運用利益が現地計画を上回っており、基調の悪化はみられていない。 

Q4P10の政策株式削減の計画について、三菱商事・Suzukiなどの公表案件が出てくる中、25年度はどの程度進捗しているのか。
A4

25年度までに、簿価ベースで4割の削減が進む見込みであり、26年度末の半減に向けては極めて順調に進捗している。今年度の売却計画6,000億円も、個別に売却目途のたっている銘柄を積み上げて算出しており、確度高く実行できる。2024年度は6,000億円の計画からスタートし、期中に追加の売却合意を頂きながら、最終的な売却額は9,000億円を越えたように、今年も確りと対応していきたい。 

Q5P43の北米全体の資産運用について。①CREローンのインカムが25年度に▲$260M減少する一方で、北米全体のインカムは+$120M増える計画となっている。どういったアセットクラスでインカムの増加を見込んでいるのか。②キャピタル損失の前提の置き方を改めて伺いたい。③特定のアセットクラスで注意しているものはあるか。 
A5

①CREローンのAUMは満期等により減少する見通しだが、北米全体のAUMは好調な保険引受を背景に、引き続き拡大していくことでインカム増加を計画している。②24年度、CREローンにおいてワークアウトを必要とする物件が増えてきたことを受けて、HDと現地が連携して精査した結果、2Qにキャピタル損の見込みを増額した。このことを踏まえ、25年度ガイダンスにおいては、キャピタル損の期待値を引き上げ、一定の損失が生じる想定としている。③足元、大きな懸念を持っているアセットはないが、注視しているのはCLO、ハイイールド、プライベートローンといったところであり、悪化傾向が見られないか日々モニタリングやストレステストを実施している。実際に、4月初めのトランプ関税発表直後にスプレッドがワイド化したが、その後は基調が戻っており、足元大きな懸念はない。 

Q6Moody’sの米国債格下げの影響はあるか。 
A6

市場は概ね織り込み済と認識しており、当社の投資行動が変わるものではない。 

Q7P11の自然災害の前提について伺いたい。LA山火事の影響を踏まえると、海外の25年度の自然災害予算が少ないと思うが、25年度予算の考え方について教えて欲しい。 
A7

まず日本について。現中計の年間予算の740億円(税後)は、セカンダリーペリルにおける災害増加も考慮して設定した上で、25年度は足元のエクスポージャー増加も織り込み、24年度対比で20億円増額の760億円(税後)とした。海外については、各拠点のリスク状況を踏まえて算出しており、24年度対比で40億円増額の730億円(税後)とした。現時点で、LA山火事を含めても年間の予算内に収まると見込んでおり、契約条件の見直しや非更新等の対応により、自然災害リスクの削減や更なる収益性改善の取組みを進めていく。 

Q8International事業の25年度ガイダンスにトランプ関税の影響を織り込んでいるのか。 
A8

トランプ関税による影響は、一定の不確実性をもたらしうることは否定できないが、25年度ガイダンスに明示的には織り込んでいない。例えば、財・サービス等の経済インフレの影響により、一般的にロスコストは増加するが、当社International事業の大宗を占める北米事業はSpecialty種目の引受が中心であり、自動車保険のような経済インフレの影響を受ける種目は相対的に少なく、現時点で影響は限定的と見ている。仮に一定の影響が出たとしても、ロスコストの上昇に見合うレートアップ等で適切に対応していく。 

Q9P39のInternational事業の事業別利益について。一部の地域で、為替の影響を除いたベースで減益計画となっている理由を教えて欲しい。 
A9

まず中南米については、過去最高益だった23年度と同様、24年度も最高益に近い利益水準だったのに対して、昨今の競争環境激化を踏まえ、25年度は一定程度は平年並みに戻ると見ているが、引き続きC/Rで90%台前半の良好な水準を計画している。
アジア・オセアニアにおける減益予想も同様に、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどで24年度が過去最高益だったことに対して、25年度は一定程度は平年並みに戻ることを見込んでいる。

Q10海外生保の25年度ガイダンスが大きく増益となる理由を伺いたい。 
A10

24年度に金利低下等の影響により大きなマイナスを計上した反動により、25年度は対前年ではプラスに出ている。 

Q11M&Aの実現に向けて、この1年どのように動いてきたのか。オーガニックでの業績拡大に加え、政策株売却効果が剥落した後も、更なる成長が望めるのか、考えを伺いたい。 
A11

M&Aについては従来から、買収3原則に基づき検討を続けている。その中で、大型M&Aについては、足元のValuationは引き続き高いと考えていることから、短期的なタイムラインではボルトオンM&Aを想定している。オーガニック成長とボルトオンM&Aを組み合わせることで、北米Specialty事業を中心に引き続き高い成長を実現していきたい。なお、25年度ガイダンスには、M&Aの想定利益は含まれておらず、仮に何かしらのM&Aが実現できれば、プラスアルファの利益貢献となる。 

本資料は、現在当社が入手している情報に基づいて、当社が本資料の作成時点において行った予測等を基に記載されています。これらの記述は将来の業績を保証するものではなく、一定のリスクや不確実性を内包しております。従って、将来の実績が本資料に記載された見通しや予測と大きく異なることになる可能性があることをご承知おきください。