2022年度決算電話会議

質疑応答要旨

以下は、2023年5月19日に開催された機関投資家・証券アナリスト向け2022年度決算電話会議の質疑応答の要旨です。

Q1 資本政策について。足元ESRは124%と充実し、利益・ROEの計画も非常に高い。(資本の積み上がりに繋がらない)政策株式の売却益を除いたとしても、今年度は約6,000億円の資本が積み上がる中で、今後の資本政策の考え方をお伺いしたい。
A1

当社の株主還元の基本は配当であり、利益成長に応じて配当を着実に増やしていく方針。自己株式取得については、総還元性向の目標を定めるのではく、ESR水準やM&Aパイプライン、事業環境、ROEターゲット等を総合的に勘案して実行する。ESRは1年前の水準と概ね同水準であり、こうした状況を総合的に勘案し、現時点では前年度の実績である1,000億円の自己株式取得を実施することにしたもの。今後、利益の積み上がりや事業投資の状況等を踏まえ、金額の見直しを検討していく。 

Q2金利変動が2023年度の利益計画に与える影響を教えてほしい。 
A2

米国金利の上昇が当社業績に与える影響は、インカムリターンの増加と内外金利差拡大によるヘッジコストの拡大。
インカムリターンについては、グループ全体で2022年度に6,900億円だったところ、2023年度は+1,100億円増加の8,000億円を見込んでいる。
一方、TMNF・AL・NFの国内3社に係るヘッジコストは、2022年度に▲450億円だったところ、2023年度は▲450億円拡大の▲900億円を見込んでいる。
国内拠点ではヘッジコスト考慮後のネットインカムが2022年度実績に対して減少するが、ネットインカム利回りはプラスを維持する見込みであるし、グループ全体では十分にプラスが確保できている。 

Q3DFGは2023年度に+215億円の増益を見込んでいるようだが、その要因は。CREローンの減損や引当増加も踏まえた計画になっているか。 
A3

+215億円の主な要因は、良好なマーケット環境を捉えたインカム収益の増加で、CREローンの減損等も踏まえた計画になっている。
なお、北米の主要拠点全体では、2022年度の減損実績が▲200億円程度だったところ、2023年度はそれを若干上回る程度の減損を見込んでいる。 

Q4国内自動車保険の除く自然災害のL/Rについて。2022年度は60%で、2023年度は(開示はないが)63%弱と推測している。除く自然災害のL/Rが2pt強悪化することを見込んでいるようだが、その要因は。他社に比べても悪化幅が大きいようだ。 
A4

他社との違いは分からないが、当社のL/R悪化は2022年度の過年度リザーブ取崩しの反動や足元のインフレ影響等が主因。 

Q5国内自動車保険について。足元のロスコストの状況を踏まえた今後の価格戦略について教えてほしい。 
A5

コロナ後の経済活動の復調による交通量増加やインフレ影響により、足元のロスコストが増加していることから、2024年1月に料率の引上げを予定している。自動車保険は収益のブレが少ない特性もあるため、今後も安定的に収益を創出すべく取組みを行っていく。 

Q6決算電話会議資料のP.6について。「その他」の2022年度実績が、2月予想対比+144億円増益した要因は。 
A6

テクニカルな要因に拠るところが大きい。1つは、シンガポール生保における財務会計と事業別利益間の財管差で+50億円。また、TMNFにおける海外子会社配当に係る為替差益で+50億円など。なお、2月予想では、主要拠点の速報のみを反映しているため、多少のブレは必ず出ることになる。 

Q7DFGの2023年度の利益計画は約1,400億円と、TMNF並みの水準にまで成長している。運用中心のビジネスモデルだと思うが、リスクはないか。 
A7

DFGの運用収益が大きく伸びているのはご指摘の通りだが、足元保険引受利益も順調に推移している。運用サイドのリスクについては、ポートフォリオの分散やストレステストの実施を通じてしっかりと管理している。足元CREローンの残高を増やしているが、魅力的な物件・スポンサーを選別する力、いわゆる目利き力、を有する専門チームによって運用していること、また、基本的に単独レンダーであることによって、有事の際にも案件に応じた適切な対応ができる。加えて、長期予測可能な保険負債を資産運用の原資としていることで、市況の回復まで持ち切る運用が可能。
こうした点からDFG単体でも大きなリスクは懸念していないが、更にグループレベルでみれば、分散効果が50%近くまで拡大しており、万が一何かがあったとしても、グループ全体の健全性へのインパクトは限定的と考えている。 

Q8TMNFは自然災害予算を変更しなかったようだが、その中で再保険コストの上昇はどの程度だったか。他の2メガは自然災害予算を引き上げたようだが。 
A8

再保険マーケットのハード化に伴い、当社の再保険コストも増えてはいるものの、2022年度に他社に先駆けて実施したアーニングスカバー見直しに続き、2023年度も非効率なプログラムを廃止する等、サイクルマネジメントを実行した結果、ほぼリスク量を増やさずに、再保険料の上昇を抑制することができた。
当社は、国内の自然災害リスクの影響を緩和するために、海外展開を加速した。その結果としてリスク分散が進展していることや、それを背景とした機動的なサイクルマネジメントが実行できていることが、自然災害予算の設定における他社との差に繋がっているのではないかと考えている。
なお、自然災害予算については、過去の自然災害に係る支払実績やリスクモデル等を踏まえて設定しており、2023年度は、前年度と同額の730億円を設定した。 

Q9インフレや再保険料の高騰もある中で、北米のトップライン計画が保守的に見えるが。 
A9

2023年度は、ハードマーケット環境の鈍化と再保険コストの上昇を踏まえ、前年度ほどの伸び率は見込んでいない。当社は元よりボトムフォーカスで闇雲にトップラインを追うことはしないが、強みであるリスク選択能力を活かし、取るべきリスクはしっかり取りながら、更なる利益成長に繋げていく。なお、レートアップの状況は、種目別にみるとマチマチ。プロパティ種目は引き続きハード化が継続しているが、一部のスペシャルティ種目はレートアップ率が鈍化、D&Oについてはソフト化に転じている。 

Q10政策株式の売却について。今般売却ペースの加速の1年前倒しを公表されるなど、御社は常に先をいっているが、それができる要因は何か。 
A10

当社は、株主の皆様からお預かりした大切な資本を、より当社のパーパス実行力を高める領域に投じていく必要があるという考えのもと、一昨年の秋から政策株式の売却加速に関する検討を続けてきた。そして、今般、2023年度は1,500億円と、昨年11月のIR時にお伝えした“次期中計からの1.5倍への加速”を1年前倒しで実行することにしたもの。発行体を巡る環境も変わってきており、投資先企業と丁寧な対話を継続しながら、2026年までの4年間で6,000億円の売却をしっかりと実行する。そして、2026年も1つの通過点。その先も売却は継続していく。 

Q11決算電話会議資料のP.28について。TMNFが2023年度に+164億円増益する要因を詳しく教えてほしい。 
A11

+164億円の内訳は、保険引受利益で+200億円強、資産運用で▲57億円。保険引受利益の中では、火災保険の収支改善の効果が最も大きい。資産運用が減益計画となっている理由は、ヘッジコストの増加を見込むため。 

Q122023年度の利益計画は6,700億円と非常に強いが、2024年度以降はどのように考えたらよいか。海外ではインフレ、ハード化・金利上昇の一巡、国内でもこれまで成長ドライバーとなっていた火災保険の収支改善の目途が立とうとしている中、見通しはそこまで明るくないようにも思うが。 
A12

当社は2017年に中長期ターゲットとして掲げた「修正純利益5,000億円超/修正ROE 12%程度」を2021年度に達成。その後は「持続的な利益成長を通じてグローバルピア並みのEPS Growth、具体的には+5~7%を着実に実現していくこと」、「ROEをグローバルピアと比して遜色ない水準にまで高めていくこと」を中長期的な目標としている。
次期中計の定量計画は来年お示しさせていただく予定だが、引き続きOrganic Growthをベースに、グローバルピア並みのEPS Growthを実現していきたい。また、M&Aについては、大型のものは引き続きpatientという認識だが、ボルトオンM&Aではありとあらゆる可能性を追求しており、その前提のもとで2024年度以降の計画を作っていく。 

本資料は、現在当社が入手している情報に基づいて、当社が本資料の作成時点において行った予測等を基に記載されています。これらの記述は将来の業績を保証するものではなく、一定のリスクや不確実性を内包しております。従って、将来の実績が本資料に記載された見通しや予測と大きく異なることになる可能性があることをご承知おきください。