2019年度決算IR電話会議

質疑応答要旨

以下は、2020年5月20日に開催された機関投資家・証券アナリスト向け2019年度決算電話会議の質疑応答の要旨です。

Q1「コロナの影響は、6月末までのロックダウンを前提として、海外のイベントキャンセル保険(以下、EC)を中心に、20年度の修正純利益に対して▲300~400億円」と理解したが、EC以外の種目の影響額はどの程度か。
A1

影響額の大宗はECであり、これと比較すると、他の種目のそれは相対的に小さい。

Q2ロックダウンが9月末まで延びた場合、影響額はどう変動するのか。
A2

期間が延びても、ECの影響額は見積りが比較的容易。更に、コロナ禍の顕在化以降、新規引受のECは感染症免責としている。一方、EC以外の種目は、「ロックダウンの期間」以外の要素に不確実な面が多いので、確実に見積もることが難しいが、ロックダウンの期間が9月末まで延びたとしても、これらの影響額が倍になるような大きな変動はないと見ている。

Q3ESRは海外子会社の純資産を20/3末にすると153%から更に下がる(ターゲットレンジを割り込む)と思うが、これが今回自己株式取得を見送った大きな要因と考えてよいか。
A3

コロナの影響は、その収束時期やビジネスへの影響を含めて、非常に不透明である。更に言えば、コロナ後の世界を考えた時に、当社にとって成長投資の機会が拡がることもありうる。こうした様々な要因を踏まえ、現状は資本を蓄積していくフェーズと判断し、資本水準調整を見送った。

Q4コロナの影響で、米国では経済活動の停滞に伴うトップラインの減少と、料率のハード化による増収の双方が考えられるが、20年度の予想ではトップラインをどう見込んでいるか。
A4

現時点では、トップラインは上下に大きくブレうる状況。保険料が経済活動に比例する種目では減収の一方で、足元では保険料率は上昇傾向を強めている。これらを総合的に考慮した、具体的な見積りは現状できていない。

Q5補正ベースの20年度事業別利益で、DFGは減益を見込んでいる。20年1~3月の運用実績は確定している訳だが、これを補正ベースの予想にどう織り込んでいるのか。
A5

20年1~3月の金利低下の影響は織り込んでおらず、19年末の金利が20年度を通じて横ばいに推移するとの前提としている。

Q6自然災害、異常危険準備金、為替の影響を控除した、TMNFの修正保険引受利益は、19年度が1,330億円。これまで2,000億円弱の水準であったが、減少した理由を教えてほしい。
A6

大口・中規模事故の増加、自然災害責任準備金の積増(▲210億円程度)、初年度収支残の積増増加(▲190億円程度)が減益の主因。

Q7また、20年度補正ベースのTMNF修正保険引受利益を、私は1,100~1,200億円程度ではないかと見ているが、詳細を教えてほしい。
A7

異常危険準備金のネット繰入額は約180億円を見込んでいるが、自然災害と異常危険準備金を控除した保険引受利益は1,600億円程度。

Q820年度も自然災害責任準備金の積増はあるか。
A8

19年度ほど大きくはないが、積増を見込む。

Q920年度も増配の計画だが、21年度以降もこの傾向は続くのか。
A9

コロナの影響を除けば、実力ベースの収益力は着実に向上しており、20年度は増配の見通しとした。現時点で21年度の増配を確約することは難しいが、当社は今後も利益を稼ぐ力を高めていき、「利益成長に応じて、配当総額を高めていく」という大きな方針に変更はない。

Q1020年度の再保険コストの増加見込みはどの程度か。
A10

「再保険コストは4~5割の上昇」と報道されているが、当社についても概ねその水準。

Q1119年度に異常危険準備金の特別繰入を実施しているが、異常危険準備金と再保険の活用の考え方を教えてほしい。
A11

当社リスク管理上、19年度の自然災害は想定の範囲内であり、風水災リスクの引受方針や保有方針を大きく見直す予定はない。ただ、大規模自然災害が2年連続で発生しているので、従来以上に自然災害の傾向や再保険マーケットの動向を注視しつつ、異常危険準備金の繰入れのバランスを考えていく。

Q12実質純資産▲4,000億円の減少要因を可能な範囲で定量的に教えてほしい。
A12

主因はPureの買収。それ以外の要因を含め、具体的な影響額はご説明を控えたい。

Q13Pure買収の影響は劣後債の発行で一定相殺されるので、政策株の方が影響が大きいと思うが、どうか。
A13

政策株は比較的大きな割合を占めている。

Q14補正ベースの修正純利益4,100億円が、中計ターゲットの上限4,500億円に届かない要因は何か。
A14

主な要因として、大規模自然災害の増加、再保険料の増加、TMRの売却などが挙げられる。

Q15P4で補正ベースでは20年度にロイズ事業の収益性改善を見込んでいるが、コロナの影響があっても可能か。
A15

ロイズのJohn Neal CEOがロイズの想定保険金を開示しているが、TMKもコロナの影響を一定受けるため、コロナ込みでは収益改善額は小さくなることは避けられない。

Q16US-GAAPでは、DFGの資産が減損すると、J-GAAPの「その他有価証券」と同様に、簿価は下がったままとなるのか。
A16

基本的には、ご理解の通り。

Q17コロナがPureグループの事業環境に与える影響はあるか。
A17

米国では自動車の使用頻度の低下に伴い、州によっては自動車保険料の一部返戻が決められているため、自動車保険を取り扱うPureもこの影響は受けうる。ただ、コロナによる影響額の大宗は、前述の通り、Pure以外の会社のスペシャルティが中心。

Q18今回の東京五輪の延期の影響は。
A18

延期に伴う今後の協賛形態やそれに付随する費用、開催に伴う日本経済の景気浮揚の可能性など、プラス・マイナス両面で様々な観点で影響が出てくると思うが、それらを含めて極めて不透明な状況あり、現段階で申し上げられることはない。

Q19国内の20年度C/Rの見込みを、損害率と事業費率に分けて教えてほしい。
A19

補正ベースでは、C/Rは93.0%。自然災害の減少でE/I損害率は60.1%と大きく改善、消費税増税の影響で事業費率は32.8%と若干の上昇を見込む。

Q20超過額労災に対するコロナによる影響は。
A20

超過額労災ではその名の通り、エクセス部分を支払うため、今のところ大きな支払いを見込んでいない。

Q21DFGが保有する負債の粘着性は引き続き高いか。
A21

DFGの負債Durationは長く、大きな支払いも想定していないため、今後も安定したC/Fを見込める。

Q22コロナの影響額「▲300~400億円」は税前か税後か。また、影響額を種目別にブレークできないか。
A22

影響額は税後。種目別の影響額は開示できないが、EC以外の種目は、スライド記載の通り、影響額が大きい順番にBI、Credit/Surety。

Q23超過額労災は保険料が給与に連動するが、これだけ米国で失業者が発生しても、トップラインに影響はないのか。
A23

おっしゃる通り、保険料は経済減速の影響を受ける。一方で、ロックダウン期間中は、医療従事者等の一部の労働者以外は自宅待機で、労災事故の一定程度の減少も見込まれる。このプラスとマイナスの影響がどう利益に効いてくるのか、見積もるのは時期尚早と考えており、これらの推移を注視していく。

Q24先ほど「今は資本を蓄積していくフェーズ」とコメントされたが、言葉通りに理解してよいか、確認したい。
A24

当社以外の事業会社でも資本を蓄積する動きが見られる。また、金融機関に対しては、事業を継続し、保険金支払いに耐えられる健全性を求める風潮も世の中一般的にあるのではないか。こうした世の中の動向も踏まえて、「資本を蓄積していくフェーズにあるのでは」と申し上げた次第。

Q25補正ベースの数値を決算短信に記載しなかったのはなぜか。
A25

コロナの影響が一定程度見込まれる中、その影響があたかもないと誤解されうる数値を決算短信に記載するのは適切ではないと判断したため。

本資料は、現在当社が入手している情報に基づいて、当社が本資料の作成時点において行った予測等を基に記載されています。これらの記述は将来の業績を保証するものではなく、一定のリスクや不確実性を内包しております。従って、将来の実績が本資料に記載された見通しや予測と大きく異なることになる可能性があることをご承知おきください。